2026.8.25

コリアンダーの効果・効能

当協会理事

木村 正典

コリアンダーは、葉・茎・根・果実・花の全ての部分を利用できるハーブです。 根も捨てずに煮込み料理やスープストックなどに活用し、 栄養素を余さずとり入れましょう。

  • 01 消化促進 コリアンダーの果実のさわやかな柑橘系の香りの主成分は、精油に含まれるリナロール。消化促進、腸内のガス蓄積防止、胃液分泌促進、整腸など胃腸の働きを整える効果や老廃物の排出を助ける効果が期待できます。
  • 02 食欲増進 葉や茎の独特の香りの元であるヘキセナールをはじめ、デセナール、ドデセナールなどのアルデヒド類には食欲をそそる働きがあります。その一方で、これらの成分がパクチー嫌いの人の原因にもなっているといわれます。
  • 03 リラックス 果実の香り成分リナロールにはリラックス効果や消炎作用があり、心身のストレス軽減や睡眠の質の改善に役立ちます。また、抗菌作用によって口内環境をととのえたり、血行を促して身体を温めたりする効果が期待できます。
  • 04 美肌 葉や茎に豊富なビタミンCがコラーゲンの生成を促し、同時に紫外線による活性酸素の害から皮膚を守って美肌づくりをサポートしてくれます。ビタミンCは熱に弱いので、生の葉を加熱せずに摂るのがベストです。
  • 05 むくみの改善 葉や茎にはカリウムも豊富です。体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を促し、細胞の浸透圧や水分バランスを保つ働きにより、むくみの改善に有効とされています。カリウムは適正な血圧の維持にも役立ちます。
  • 06 免疫力アップ 葉や茎に含まれるβ-カロテンが皮膚や粘膜の健康を維持し、免疫機能を高め、老化を予防します。100g当たりのβ-カロテン含有量は1700μgとされ、ブロッコリーの900μgと比べても約2倍と高い数値です。

TOPICS

日本におけるコリアンダーの歴史

コリアンダーの和名は「コエンドロ」といいます。これはポルトガル語の「コエントロ(coentro)」が転訛したもので、南蛮貿易でポルトガルから導入された際の名前です。それより古い平安時代には中国から伝わったために「胡荽(こすい)」という中国名で呼ばれており、野菜や薬草として使われていたようです。明治時代になると西洋料理の食材としてコリアンダーシードが入ってきますが、カレー粉に使われる程度で一般に広まることはありませんでした。 状況が一変したのは1980年代後半。東南アジアへの旅行者の増加やエスニック料理の流行などを背景に、生の葉が「パクチー」として認知され始めます。流行が鎮静化しても“パクチー愛好者”は増え続け、2000年代に入ると有名料理家がパクチーを使った料理を紹介するなどして若い世代を中心にさらに愛好者が増え、国内でのコリアンダーの生産量も増えていきます。2010年代半ばには「パクチーブーム」が起こり、大手食品会社がパクチーを使った調味料を売り出したり、パクチー料理の専門店が登場したりしてメディアにも頻繁にとり上げられるようになります。 こうして長い時を経て、コリアンダーは身近な食材として日本人の食卓に上るようになりました。

当協会理事
木村 正典 きむらまさのり
(株)グリーン・ワイズ。博士(農学)。ハーブの栽培や精油分泌組織の観察に長く携わると共に、都市での園芸の役割について研究。著書に『有機栽培もOK! プランター菜園のすべて』(NHK 出版)など多数。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第76号 2026年6月