2026.2.21

スパイスの健康効果のヒミツ 植物由来のフィトケミカル

スパイスに特徴的な香り、辛み、色のもととなる成分には、フィトケミカルが含まれます。
フィトケミカルが、どのように私たちの健康に役立つのかを知りましょう。

スパイスに豊富なフィトケミカルとは

 スパイスの健康効果をもたらしてくれる成分の中で特に注目されているのが、「フィトケミカル(phytochemical)」です。フィトケミカルはギリシャ語で「植物」を表す「フィト」と英語の「ケミカル(化学)」を組み合わせた造語で、「植物由来の化学物質」あるいは「植物化学成分」などと訳されます。
 フィトケミカルは、植物が紫外線、有害物質、害虫、外敵などから自身を守るためにつくり出す物質で、野菜、果物、穀類、豆類などの植物に、色、香り、苦味、辛味などの成分として存在しています。ポリフェノール、カロテノイド、硫黄化合物などに大別され、その種類は数千種以上ともいわれます。
 フィトケミカルは、タンパク質や脂質のように通常の身体機能維持には必須とされていないため、欠乏症の心配はありません。しかし、病気予防や健康維持に役立つ働きをもつことから機能性が高く評価され、5大栄養素と食物繊維に次ぐ第7の栄養素とも呼ばれています。

フィトケミカル
フィトケミカルは植物が紫外線、有害物質、害虫、外敵などから自身を守るためにつくり出す物質で、スパイスの香り、辛み、苦味、色などの成分に含まれます。
スパイスに含まれるフィトケミカルと作用

 フィトケミカルが注目されるようになったのは、その優れた「抗酸化作用」が明らかになったためです。
 私たちの体の中では、様々な栄養素を使って生きていく上で必要な代謝が繰り返されていますが、その副産物として活性酸素が発生しています。活性酸素は、細菌やウイルスを退治するなど体に有益な働きをする一方、増え過ぎてしまうと細胞や遺伝子を傷つけ、肌老化の原因となったり、血管の動脈硬化を進めて生活習慣病のリスクを高めたりする原因となります。また、細胞が傷つけられることで免疫力が低下し、様々な病気にかかりやすくなることも大きな問題です。
 フィトケミカルは、この活性酸素にくっつき、自分自身が酸化することで活性酸素から私たちの体を守ってくれます。このように活性酸素の発生やその働きを抑制したり、活性酸素そのものを取り除いたりする働きを抗酸化作用といいます。
 それぞれのスパイスには特徴的なフィトケミカルが含まれますが、ほとんどのスパイスには複数のフィトケミカルが存在します。スパイスのフィトケミカルは高濃度なため、少量でも効果が期待できるのがメリットです。また、加熱調理しても比較的安定しているものが多いのも特徴です。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第74号 2025年12月