2026.3.28

「地球のパッチガーデン」― 耕作放棄をエコロジカルなハーブ畑へ

当協会理事・事務局長

木村 正典

 山梨県早川町で開催された第28回全国ハーブサミット早川大会(2023年9月16、17日開催)に向けて、会場脇の耕作放棄地を何とかしてほしいとの町長の依頼を受け、そこをハーブ畑に変える取り組みを始めました。故村上志緒理事が「地球のパッチガーデン」と名付け、小さなガーデンを地球の視点で考えていることが一目でわかる素敵な手描きの看板も作ってくれました。この取り組みは現在も続いており、これまで2年間の進捗をご報告いたします。
 町長は一面ラベンダー畑になるようなイメージだったのかもしれませんが、元々水田であったと思われるイネ科雑草の生い茂る耕作放棄地でしたので、エコロジカルハーバリズムの手法を用いて、最低限の管理だけで、雑草と共存するハーブ畑にすることにしました。
 ここでは耕してゼロからのスタートではなく、イネ科に覆われた中に植穴をあけて植え付ける方式にしました。まずはどんなハーブが共存可能なのか、スクリーニングを目的として、2023年5月3日に300平米の耕作放棄地に、花の目立つ多年草ハーブ100種類200鉢を植栽すると共に、こぼれダネで勝手に殖える10種類くらいのハーブや野菜のタネを覆土せずに散布しました。最低限の管理を目指していたので、2カ月近く放っておいたら、イネ科雑草に覆われて、当初植えたハーブは半減、播種した植物はコスモスとヒマワリがどちらも1本という状況で、サミット開催に向けて急遽8月14日に100鉢を補植しました。その後は、2024年、2025年と、いずれも5月に100鉢の補植を繰り返し、イネ科に限った選択的除草(根を残して地際での刈り取り)を年に1~2回行いました。当初、猛威を振るっていた多年生イネ科雑草は、次第に勢いが衰え、代わりにヒメジョオンやヒメムカシヨモギ、ノゲシ、イヌタデなどのキク科を中心とした広葉雑草が見られるようになりました。これらは開花すると遠目にはハーブと区別がつかず、ハーブと雑草とを溶け込ませる重要な役割を担っています。現在、元気なハーブは、キク科のヤロウ類、エキナケア類、タゲテス類、タナケトゥム類、アルテミシア類、シソ科の新世界セージ類、ミント類、キャットミント、マウンテンミント、セリ科のフェンネル類、オトギリソウ科のオトギリソウ、アオイ科のマロウ類などです。
 2年継続して見えてきたことは、年2~3回のイネ科雑草の地際での刈り取りによる選択的除草と、年1回の堆肥供給で次第にイネ科雑草の耕作放棄地はエコロジカルハーブガーデンに近づくということです。
 管理を継続する意味でも、2026年5月30、31日にJAMHAイベントとして、苗の植付けと雑草管理、収穫したハーブでのクラフトや食体験など、1泊でのリトリート開催を計画中です。
 このほか、山梨県丹波山村でも、クズとカナムグラに覆われる急勾配傾斜地の耕作放棄地をハーブ畑に変える取り組みを行っていますので、いずれご紹介いたします。

当協会理事・事務局長
木村 正典 きむらまさのり
ハーブの栽培や精油分泌組織の観察に長く携わると共に、都市での園芸の役割について研究。著書に『有機栽培もOK!プランター菜園のすべて』(NHK出版)など多数。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第74号 2025年12月