スパイスで毎日の食事をもっとおいしく、もっと楽しく

フレッシュな香りと味わいが魅力
料理の幅も広がる手作り調味料
この秋、手作り調味料にチャレンジしてみませんか? 買うのが当たり前だと思っている調味料も、新鮮なスパイスを使って自分で作ってみると、市販品とは段違いの高い香りとおいしさに驚くはず。料理の幅も広がるので、毎日の食事でマンネリを感じている方にもおすすめです。
柚子胡椒は、青トウガラシの辛みと青柚子のさわやかな香りが特徴です。鍋物や麺類の薬味だけでなく、肉や魚のソテーに添えたりサラダやパスタの隠し味に加えたりといろいろな使い方ができます。
五香粉は、中国を代表するミックススパイス。甘くエキゾチックな香りで、台湾のソウルフードである魯肉飯(ルーローハン)にも欠かせません。煮込み料理に加えたり料理の下味に使ったりする他、塩を混ぜて「五香粉塩」にし、揚げ物などのつけ塩にするのもよいでしょう。
トウガラシオイルは、イタリアでは「オリオ・ピカンテ(Olio Piccante)」と呼ばれ、ピザやパスタ、サラダなどにスパイシーな風味を加えたい時によく使われます。まずはレシピを参考にして作り、トウガラシの辛さやオリーブオイルの風味などをだんだんと自分好みに整えて、毎日の食卓でいろいろな料理に展開させましょう。

01
五香粉(ウーシャンフェン)
ひと振りでいつもの中華料理が本場の味に
〔用具〕 スパイスミル、保存容器
〔ドライハーブ〕
スターアニス(八角) 2個
花椒 小さじ2
フェンネル 小さじ1と1/2
クローブ 小さじ1
シナモン 小さじ1/2
1.スパイスミルにすべてのスパイスを入れ、粉末状になるまで挽けばでき上がり。保存容器に移し、早めに使い切る。
POINT
五香粉はブレンドするスパイスに決まりはなく、花椒(または山椒)、クローブ、シナモンの3種類に、スターアニス、フェンネル、陳皮のうちから2種を加えるのが一般的です。
02
魯肉飯(ルーローハン)
五香粉が香る、定番の台湾料理
〔用具〕 まな板、包丁、フライパン
〔材料〕(2人分)
ごはん•••お碗2杯分
豚バラブロック•••200g
片栗粉•••大さじ1/2
ごま油•••小さじ2
しょうゆ•••大さじ1
砂糖•••大さじ1
オイスターソース•••大さじ1/2
おろしニンニク•••小さじ1/2
おろしショウガ•••小さじ1/2
水•••50mL
五香粉•••小さじ1/4
1.豚バラブロックを1cm角に細かく切り、片栗粉をまぶす。フライパンにごま油を入れ、豚肉を炒める。
2.火が通ったらA を加えてとろみがつくまで3分ほど加熱し、五香粉を入れて混ぜ合わせる。
3.ご飯を盛った器に盛りつけて完成。
POINT
お好みでゆで卵や茹でた野菜、パクチーをトッピングしましょう。
03
柚子胡椒
市販品にないフレッシュな味と香りが魅力
〔用具〕 すり鉢、保存容器
青柚子(小)•••7〜8 個(皮の重量にして50g)
青トウガラシ•••50g
塩•••20g
1.青柚子はヘタを取って皮をむき、白いワタの部分を丁寧に取り除く。むいた皮をみじん切りにする。
2.青トウガラシはヘタを落として縦半分に切り、種をきれいに取り除いてみじん切りにする。
3.すり鉢に①②と塩を入れてよくすり混ぜ、全体がなじんだらでき上がり。煮沸消毒した保存容器に移し、冷蔵庫で保存する。
POINT
青柚子の皮は、丸のままおろし器でおろすとさらに香りが立ち、なめらかに仕上がります。作ってすぐに使えますが、冷蔵庫で1週間ほど熟成させると塩のカドが取れ、味が深まります。
ATTENTION
青トウガラシは刺激が強く、素手で調理すると肌がヒリヒリすることがあります。調理用の手袋を着用し、トウガラシを触った手で目の周りなどに触れないようにしてください。
04
トウガラシオイル
スパイスを漬けるだけでできる万能オイル
〔用具〕 保存用の瓶
オリーブオイル•••150mL
〔ドライハーブ〕
トウガラシ•••10〜15本
〔フレッシュハーブ〕
ローズマリー•••1本
ニンニク•••1片
1.ローズマリーは洗い、キッチンペーパーなどで水分を拭き取っておく。ニンニクは薄皮をむき、縦半分に切る。
2.煮沸消毒した瓶に①とトウガラシを入れてオリーブオイルを注ぎ、冷暗所に2週間ほど置けばでき上がり。
POINT
トウガラシは種の辛みが強いので、マイルドにしたい方は種を除いて漬けてください。食材がオイルから出てきたら取り出し、フレッシュな香りを楽しむために1カ月を目安に使い切りましょう。
スパイスのパワーを
ドリンクで取り入れよう
スパイスの魅力を感じたいなら、ドリンクもおすすめです。シナモン、フェンネル、カルダモンなどは、ホールで買っておくと料理にもお茶にも使うことができます。
シナモンは、甘く優しい香りでリラックスを促してくれる他、お腹を温める作用や血流を改善してくれる作用があります。フェンネルは、茴香(ういきょう)とも呼ばれ、健胃作用があることから漢方胃腸薬にも配合されています。飲み過ぎや食べ過ぎで疲れた胃腸を回復してくれるので、食後のティーに最適です。
スパイスウォーターは、インドの伝統医療アーユルヴェーダに学んだスパイス活用法の1つ。カルダモンには消化促進、口臭予防、デトックスなどの効果があり、さわやかで上品な香りを味わえます。朝の目覚めの一杯に、お風呂上がりに、また食事と一緒に楽しんでください。

05
カモミール&シナモンティー
ほっこりする甘い香りでリラックス
熱湯…200mL
〔用具〕
ティーポット、カップ
〔ドライハーブ〕
カモミール…1g
シナモンスティック…2〜3cm
1.ポットにハーブを入れ、熱湯を注いだらふたをして5分ほど抽出する。
2.カップに注ぎ入れる。
POINT
リラックス効果のあるシナモンに、ストレスや不安、不眠によいとされているカモミールを合わせました。ハチミツなどで甘みをつけたり、ミルクを加えたりしてもおいしく飲めます。
06
ミント&フェンネルティー
胃腸の不調を感じる人におすすめ
熱湯…200mL
〔用具〕
ティーポット、カップ
〔ドライハーブ〕
ペパーミント…1g
フェンネル(シード)…2〜3cm
1.ポットにハーブを入れ、熱湯を注いだらふたをして5分ほど抽出する。
2.カップに注ぎ入れる。
POINT
フェンネルが消化不良や胃の不調からくる痛みや不快感を緩和し、ペパーミントが胃腸の働きを助け、消化を促してくれます。ミントにはリラックス効果もあるので、ストレス性の胃腸の不調にも向きます。
07
カルダモンウォーター
刺激的で上品な香りは目覚めの一杯にも
熱湯……200mL 〔用具〕ティーポット、カップ
〔ドライハーブ〕カルダモン…2個
1.カルダモンは殻を割ってポットに入れ、熱湯を注いだらふたをしてそのまましばらく置く。
2.粗熱がとれたらカップに注ぎ入れる。
POINT
カルダモンはスッとした甘くさわやかな香りをもち、「スパイスの女王」とも呼ばれます。使う時は殻を割るかスリットを入れて種をむき出しにすると香りが引き立ちます。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第73号 2025年9月




