2025.6.5

ショウガの植物学と栽培

当協会理事

木村 正典

今回は、ショウガの特徴や栽培方法などを、植物学の視点で解説します。

分類・名称

分類

 ショウガ(Zingiber officinale Roscoe)はショウガ科ジンギベル属(ショウガ属)の植物です。 ショウガ科の主なハーブを表に示しました。ジンギベル属にはショウガのほかにミョウガやジャワショウガ、ハナショウガなど184種が知られています。ジンギベル属以外には、ゲットウやクマタケラン、ナンキョウ(タイショウガ)、コウリョウキョウ、ハナミョウガ、レッドジンジャーなどのアルピニア属、ブラックジンジャーやバンウコンなどのカエンプフェリア属、オオバンガジュツなどのボエセンベルギア属、ハナシュクシャなどのヘディキウム属、ターメリック(秋ウコン)や春ウコン、ガジュツなどのクルクマ属、カルダモンなどのエレッタリア属、ブラックカルダモンやビャクズク、シュクシャなどのアモムム属、ギニアショウガやアフリカンカルダモンなどのアフラモムム属など、多くのハーブ・スパイスがあります。

 ショウガ科のハーブには、大きく、根茎を利用するものと種子を利用するものがあります。根茎を利用するもののうち、ショウガと名のつくジャワショウガはショウガと同じジンギベル属ですが、タイショウガはアルピニア属、黒ショウガはカエンプフェリア属と別属植物です。同じように根茎を利用する、ガランガルと呼ばれる4種も、タイショウガ(ナンキョウ)とコウリョウキョウはアルピニア属、バンウコンはカエンプフェリア属、オオバンガジュツはボエセンベルギア属と、属をまたがっています。クルクマ属も根茎を利用しますが、美しい花が多く、ほかのショウガ科も含めて観賞用に栽培されるものも多いのがショウガ科の特徴です。主として種子を利用するのは、カルダモンの仲間で、グリーンカルダモン(小豆蔲)はエレッタリア属、ブラックカルダモン(香豆蔲)アモムム属、ラウンドカルダモン(白豆蔲)はウルフバイニア属、アフリカ原産のカルダモン類はアフラモムム属に分かれています。一般名だけでは近縁関係が分かりませんので、学名(特に属名)をチェックすることが大切です。

名称

 ショウガの属名のZingiber(ジンギベル)は、ショウガを意味するサンスクリット語の「śṛṅgavēra」を語源とし、民間語源では「角」の意のsringamと「体」の意のveraの合成語で、根茎の形に由来するとされています。種小名のofficinaleは「薬用の」を意味するラテン語で、officinalis(男性形、女性形)の中性形です。英名はgingerもしくはcommon gingerです。日本の園芸業界では、カタカナでジンジャーと書くとヘディキウム属のジンジャーリリー(ハナシュクシャ)、あるいはショウガ科の観賞用植物の総称に用いられるので注意が必要です。

 中国の中薬や日本の昭和以前の漢方では、乾燥させたショウガを「乾姜(かんきょう)」と呼び、生のショウガを「生姜(しょうきょう)」といいます。ところが、平成以降の日本では、「乾姜(しょうきょう)」は蒸して高熱処理してから乾燥させたショウガを指し、単に乾燥させたショウガは「生姜(しょうきょう)」、生のショウガは「ひねショウガ」と称するようになりました(小池ら、2020)。日本薬局方では、第十五改正(2006)から、コルク層(茶色い皮)を除去した根茎を乾燥させたものを生姜(しょうきょう)、湯通しまたは蒸してから乾燥させたものを乾姜(かんきょう)としています。

 このほか、日本では、根茎の大きさによって、大ショウガ、中ショウガ、小ショウガの品種群に分類されます。このうち、中ショウガに分類される品種は人によって異なり、大ショウガとごっちゃになっています。

 また、出荷形態や利用方法によって日本固有の名称があります。漬物用や調理用、加工用に根茎だけを出荷するものを「根ショウガ」といい、大ショウガや中ショウガが用いられます。一方、生食用、酢漬け用に葉付きで出荷するショウガを「葉ショウガ」といい、小ショウガが用いられます。葉ショウガのうち、遮光と加温による超密植軟化栽培によって根茎を分枝させずに細長く生育させて、主として酢漬け用に出荷するものを「筆生姜」、「矢生姜」、「棒生姜」、「一本生姜」、「芽生姜」、「軟化生姜」、「もやし生姜」などと呼び、特に焼き魚のあしらいとして添えられる紅白の甘酢漬けを「はじかみ(薑)」と称します。また、軟化しない生食用の葉ショウガを一般には「葉生姜(はしょうが)」と呼び、特に根茎を分枝させて左右の芽が地上に出る前に収穫したものをその形から「錨生姜(いかりしょうが)」、葉鞘が地表に顔を出した程度で収穫するものを「燕生姜(つばめしょうが)」といいます。ショウガを栽培する際に植え付けるショウガを「種生姜(たねしょうが)(収穫時には親生姜(おやしょうが))」といいます。親生姜は収穫時にも腐らずに残っており、それを「ひね生姜(老成生姜(ひねしょうが)、古根生姜(ひねしょうが)、陳生姜(ひねしょうが))」や「囲い生姜(かこいしょうが)」といいます。収穫直後の白い根ショウガは「新生姜(しんしょうが)」と呼ばれます。新生姜も保存して表面が乾燥して変色してくるとひね生姜と呼ばれます。ひね生姜には収穫時の親生姜と、新生姜の時間の経ったものの2種類があります。収穫した新生姜は食用、親生姜のひね生姜は生薬利用されます。


葉ショウガ。上から、筆生姜、錨生姜、燕生姜、葉生姜。葉鞘は地中が白〜赤色で、地上に出ている部分が緑色になっている。

 人とのかかわりの歴史

 ショウガは南アジア〜東南アジア原産です。欧州では、ショウガはディオスコリデス(A.D.40頃-90頃)の『De Materia Medica(薬物誌)』に初出し、古代ローマ時代には紅海沿岸地域に導入されて食用、薬用の両方に供されており、地上部はヘンルーダと同じように食前酒として煮たり、煮た食べ物に混ぜたりとさまざまな用途に使用され、根茎は有用な食品で乾燥した塩漬けの食べ物と一緒に食べられるほか、体を温め、消化を促進し、適度に腹部を柔らかくするので、胃に良く、目の瞳孔の陰影を治療するのに効果があり、解毒剤に混ぜられると記されています(Touwaide & Appetiti, 2023)。

 中世の欧州ではショウガは高価なスパイスでした。その後、中米に導入されると、1585年にはイスパニョーラ島(ドミニカ、ハイチ)からの欧州向けの輸出が始まり、欧州でのショウガ利用が普及、現在ではジャマイカ産のものが「ジャマイカジンジャー」と呼ばれる優良品となっています。

 東アジアでは欧州よりも古くからショウガが利用されており、孔子の『論語』(B.C.500年頃)にもショウガの意の「薑」の記載が見られます。また、『史記(しき)』(B.C.97年)などから、当時、四川や江南で大ショウガが栽培されていたと考えられています。『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』(200年頃)には、中品(ちゅうほん)(病気予防や虚弱体質改善、滋養強壮などの養生薬で、毒性のあるものもあるので注意が必要と分類されるもの)として「乾薑(カンキョウ)」が記されています。

 古代インドから続くアーユルヴェーダでは、生ショウガを「adraka、ardraka(アドラック)」、乾燥ショウガを「sunthi、sunthee(スンティ)」と呼ぶ以外に、「偉大な薬」の意の「Mahaushadha(マハウシャダ)」とか、「世界中で普遍的な薬」の意の「Vishvabhesaja(「ヴィシュヴァベサジャ)」とも称し、特別な地位が与えられています(Jahan et al., 2021)。

 インドネシアでは、クルクマ類(ターメリックやガジュツ、ジャワウコン、クルクマ・アエルギノーサなど)やガランガル類(ナンキョウやバンウコン)と共に、伝統的薬用飲料のジャムウに常に使用されるショウガ科原料の一つになっています。

 日本では、『魏志倭人伝』(3世紀後半)に倭の山にあるものとして「薑(きょう)」の記載のあることから、弥生時代には渡来していたと考えられています。『古事記』(712年)には「椒(はじかみ)(波士加美(はじかみ))」の記述があるほか、『新撰字鏡(しんせんじきょう)』(892年)には乾生姜を「久礼乃波自加弥(くれのはじかみ)」と記しています。当時、サンショウも「椒(はじかみ)」と称していたことから、ショウガを「呉薑(くれのはじかみ)」として区別していました。ちなみに呉は中国江南地域を指します。この当時の日本のショウガは中ショウガや小ショウガで、乾燥または漬物での保存利用が主でした。江戸初期に大ショウガが渡来しますが商業栽培されるまでには至らず、1938年に広東から台湾経由で導入されて以降、暖地を中心に栽培が普及しました。日本では八朔(陰暦8月1日)を「生姜節句」ともいい、神社で市が開かれていたほか、重陽の節句(陰暦9月9日)にも生姜の奉納される神社があり、芝大神宮(東京)では11日間、生姜祭(だらだら祭り)が開催され、境内や参道で生姜が売られます。金沢には香辛料の神様をおまつりする「波自加彌神社(はじかみじんじゃ)」があり、6月15日にははじかみ大祭(しょうが祭り)が開催され、清められた生姜湯が参拝者に振る舞われます。

 現在では、ショウガは和食に欠かせない食材で、根ショウガは、生姜焼きや煮込み料理、スープなど、特に肉料理や魚料理の矯臭や呈味に用いられるほか、すりおろして刺身の辛味や、麺類の薬味、甘酢漬けの生姜漬や紅生姜などの漬物、生姜味噌などの調味料、生姜糖(しょうがとう)や生姜せんべいなどの菓子、生姜湯(しょうがゆ)や冷やし飴などの飲料など、幅広く食用とされます。また、葉ショウガは味噌などをつけて生食されるほか、軟化して酢漬けされた「はじかみ」は焼き魚のあしらいになります。ショウガの葉も、腐りにくいことから屋根材や壁材、敷物、ラッピングなどに利用されます。葉にもよい香りがあるので、料理に使いたいものです。

 形態・成分 

形態

 ショウガは温帯では冬枯れして翌春芽吹きますが、熱帯では常緑多年草です。草丈は50〜80cmで、品種によっては120cmに達するものもあります。

 流通する可食部は地下にある肥大した茎です。根の様に見えることから一般には根茎(rhizome)と呼ばれますが、人によっては塊に見えるとして塊茎(tuber)とする記述も見られます。根茎には筋の様に見える節(ふし)があり、植え付けたショウガの節から分枝して真上に一次根茎を形成します。一次根茎からは二次根茎、二次根茎から三次根茎と分枝して殖えます。

 根は単子葉類の特徴であるひげ根で、一次根茎の2〜5節目から7〜8本、二次根茎の2節目から数本出ます。根は直径1.5 cm、長さ20 cm程度と太く、香りも辛味もあるので根茎同様に利用できます。

 地上に立ち上がっている部位は葉柄に当たる部位が鞘のように巻き付いていることから葉鞘(ようしょう)と称し、茎のように見えることから偽茎(ぎけい)とも呼ばれます。葉身は葉鞘から180度反対側に交互に展開する二列互生となり、長さ15〜30 cm、幅3 cmと細長く、先がとがります。葉脈は、単子葉植物の特徴である平行脈です。地上部はミョウガとよく似ていて見分けがつきにくいですが、ショウガの方がかなり小型です。ショウガの葉にはショウガの香りがありますので、ちぎって切り口を嗅げばすぐにわかります。

 暖地や温室では稀に9月頃に開花することがあります。開花に当たっては、まず、根茎から花茎が直接立ち上がり、高さ20 cm程に伸長して頂部に花序を形成します。花序は緑色の苞葉が密に集まって紡錘形を呈し、苞葉の隙間から赤い花を咲かせます。花が咲いても結実しませんので、ショウガは種子繁殖できずに根茎で殖やす栄養繁殖のみが行われます。

 香り成分も辛味成分も精油細胞に存在します。シソ科では腺毛、セリ科では油管、フトモモ科やミカン科では油室に精油を蓄積しますが、これらはいずれも精油分泌細胞から放出された精油を細胞間隙に蓄積する精油分泌組織であるのに対し、ショウガでは精油分泌細胞で作られた精油をそのままその細胞で蓄積します。このような精油細胞は、モクレン科やクスノキ科、コショウ科などの原始的被子植物やイネ科、ショウガ科などの単子葉類の特徴です。香りや辛味成分は、ショウガがかじられたり傷ついたりして精油細胞が壊れない限り放出されず、そのままでは香りません。これらの成分には、敵に囓られた時の撃退や傷口からの菌やウイルスの侵入防止といった役割があると考えられます。精油細胞は全草に分布し、根も葉も香るため、全草が利用されます。

ショウガの花序と花
ショウガの精油細胞。光って見えるのが精油。精油細胞で精油が作られ、そのまま蓄積される。

伝統的な薬用利用

 アーユルヴェーダでは、食欲不振や消化不良、便秘、吐き気、咳、痰、喘息、呼吸器疾患、心臓病、炎症、歯痛、歯肉炎、リウマチ、関節炎など、さまざまな病気の治療に使用されますが、ハンセン病や排尿困難、黄疸、潰瘍、発熱、火傷には禁忌とされています。

 中薬では、姜(キョウ)の生の根茎を生姜(ショウキョウ)と呼んで、感冒風寒や嘔吐、吐き気、胃弱、冷痰嗽、咳嗽、結核性の咳、急性細菌性痢疾、回虫性腸閉塞、急性睾丸炎、中毒、リウマチ痛、歯痛、マラリア、禿頭、諸瘡痔瘻、狂犬による咬傷、蝮蛇毒、打撲傷などの治療に用いられます。また、乾燥した根茎を乾姜(カンキョウ)と呼んで、突然の心痛、嘔吐、下痢、吐血、下血、胃弱による食欲不振、腎臓疾患、痰、咳嗽などに用いられるほか、根茎の皮(コルク皮)を乾燥させたものを姜皮(キョウヒ)と呼んで、顔面の浮腫や四肢の腫脹、心腹膨張、飲食障害があって挙動に呼吸緊迫の少ないものの治療や半身不随の治療などに用いられます。さらに、葉を姜葉(キョウヨウ)と呼んで、肉が消化されずに腹部に硬結ができた時や、魚や肉を生で食べて起こる諸症を殺すのに用いられます。

一方、平成以降の日本の生薬では、根茎を乾燥させた生姜(しょうきょう)には健胃作用があって食欲不振、吐き気などの改善に、湯通しまたは蒸してから乾燥させた乾姜(かんきょう)には解熱、鎮痛、鎮咳、抗炎症、冷え改善などの作用があり、咳、手足の冷え、胃腸の冷えから来る下痢や腹痛の改善などに用いられます。沖縄では、ショーガー、ソーガーなどの方言で呼ばれ、根茎を風邪や咳、下痢で吐いたり熱の出る食あたり、打ち身、破傷風、おでき、しらくも、水虫、睾丸の腫れ、脱毛に用いられてきました(前田・野瀬、1989)。

機能性成分と作用

 ショウガは全草に精油を含有します。根茎の精油濃度は0.25〜3%です(林、2023)。香りの主成分はジンギベロールやジンギベレン、フェランドレン、カンフェン、シトラール、リナノールなどです。

 また、根茎に辛味成分を0.6〜1%含有します(林、2023)。生の根茎の辛味の主成分は6‐ジンゲロールで、辛味成分のほとんどを占めるほか、辛味や抗酸化力のより強い6-ショウガオールが6-ジンゲロールの数%程度含まれます。

 朝稲ら(2018)は、辛味成分に品種間差があり、‘房州中太’や‘近江’に比べて‘三洲’で6-ジンゲロール含量が低く、6-ショウガオール含量の高いこと、いずれの品種も11月収穫に比べて9月収穫で6-ジンゲロール含量が顕著に高いことを報告しています。ジンゲロールは脱水分解によって、油状のショウガオールや結晶性のジンゲロン、ジンギベロンなどに変化するため、乾燥保存や加熱調理によってショウガオールの割合をやや高めることができます。

 森山・藤田(2011)は、熱風乾燥したショウガの方が真空凍結乾燥したものよりもショウガオールの組成比が高く、真空凍結乾燥したショウガパウダーを熱処理するとジンゲロールがショウガオールに変化することを報告しています。

 伊藤ら(2024)は、茹でる、蒸すといった加熱調理により、6-ジンゲロール量が減少して6-ショウガオール量が増加し、加熱によって6-ジンゲロールから6-ショウガオールへの変換の起きていることを解明しています。詳細は、本誌の「ショウガの主要成分濃度と抗酸化能:調理 法による比較(伊藤)」を参照してください。

林(2023)は、ショウガには、消化機能促進や利胆、制吐、陽性変力、消炎、鎮痛などの作用があり、消化不良やつわり、乗り物酔い、関節炎などの炎症性疾患に用いられ、胆石のある人は医師に相談する必要があり、ニフェジピン(血管拡張薬)との併用で抗血小板作用の相互作用があると記しています。

 近年、ショウガに関する様々な研究が進んでおり、in vitroin vivoでの実験によって、6-ショウガオールは抗癌、抗炎症、抗酸化、神経保護などの作用を示し、6-ジンゲロールよりも有益な効果のあることが示されています(Suekawa et al., 1984 ; Prasad and Tyagi, 2015 ; Nonaka et al., 2019 ; Ma et al., 2021)。また、ショウガに含有されるクロロゲン酸やヘスペリジンの効果などが注目され、生ショウガ、乾燥ショウガ共に新型コロナウィルスの予防や症状緩和効果が期待されています(Jahan et al., 2021, Dubey et al., 2023)。一方、乾燥ショウガは、イブプロフェン、アスピリン、ワルファリン、ヘパリンなどの抗炎症薬や、出血傾向に影響する薬との相互作用の可能性が報告されています(Singh et al., 2023)。

 性状と栽培   

品種

 ショウガは古くから栽培されていた割には、種子繁殖しないこともあって、品種分化があまりみられません。大きさによって、大ショウガ、中ショウガ、小ショウガの品種群に分けられ、それぞれに品種があります。

 大ショウガは支那種や印度ショウガ、広東ショウガなどとも呼ばれ‘お多福’などの品種があります。また、中ショウガには‘近江(おうみ)’、‘三州(さんしゅう)’(黄ショウガとも)、‘土垂(どだれ)’(土ショウガとも)、‘摂津(せっつ)’(中ショウガ、中太とも)などが、小ショウガには‘谷中(やなか)’(盆ショウガとも)、‘金時(きんとき)’(紅ショウガ、弁慶、武州、遠州とも)、‘茅根(かやね)’(小ショウガ、芽ショウガとも)などの品種があります。

性状と栽培

 ショウガは熱帯原産のため、生育適温は25〜35℃で、寒さに弱く、15℃以下で枯死、10℃以下では根茎が腐敗し始め、萌芽には18℃以上を要します(村上、2001)。したがって、北日本ほど栽培期間が短くなります。また、栽培に当たっては、乾燥も過湿も嫌います。

 植え付けや栽培、収穫方法については、本誌の「エコロジカルガーデニングデザイン」に記しましたので、参考にしてください。

引用文献

朝稲香太朗・庄野巧・反町公子.2018.千葉県内産在来種ショウガに含まれる機能性成分等の調査と加工品の開発.千葉県産業支援技術研究所研究報告.16.8-12.

中薬大辞典. 1988. 上海科学技術出版社・小学館編. 東京.

Dubey, S. K., S. K. Mishra, V. Singh, Y. B. Tripathi, R. N. Chaurasia, P. S. Byadgi, H. Jani, R. Mishra, N. Joshi, T. B. Singh, A. Kumar, A. Yadav and A. Jaiswa. 2023. Sunthi (dry Zingiber officinale) as a prophylactic agent against SARS-CoV-2 transmission and COVID-19 symptomatology: eidence from a non-randomised single-arm study. Journal of Herbal Medicine. 41. 100712.

林真一郎編・木村正典監修.2023.ジンジャー.メディカルハーブの事典三訂新版主要100種の基本データ. pp.76-77. 東京堂出版.東京.

Jaha, R., A. K. Paul, T. A. Bondhon, A. Hasan, K. Jannat, T. Mahboob, V. Nissapatorn, M. L. Pereira, C. Wiart, P. Wilairatana and M. Rahmatullah. 2021. Zingiber officinale : Ayurvedic uses of the plant and in silico binding studies of selected phytochemicals with Mpro of SARS-CoV-2. Natural Product Communications. 16(10). 1–13.

小池宙・松岡尚則・笛木司・牧野利明.2020.「生姜」と「乾姜」の定義について江戸時代と現代日本漢方での違いとその経緯についての一考察.日本東洋医学雑誌.71 (4).406-417.

Ma, R. H., Z. J. Ni, Y. Y. Zhu, K. Thakur, F. Zhang, Y. and Y. Y. Zhang. 2021. A recent update on the multifaceted health benefits associated with ginger and its bioactive components. Food & Function. 12, 519–542.

前田光康・野瀬弘美編集・飛永精照監修.1989.ショウガ.沖縄民俗薬用動植物誌.pp. 82-84.ニライ社.那覇.

森山洋憲・藤田竜.2011.高知野菜元気応援食品の量産化を目指した研究開発 新規ショウガペーストの開発.高知県工業技術センター報告.42.7-12.

村上次男.2001.ショウガ.新編野菜園芸ハンドブック(西貞夫監修).pp.720-727.養賢堂.東京.

Nonaka, K., M. Bando, E. Sakamoto, Y. Inagaki, K. Naruishi and H. Yumoto. 2019. 6-Shogaol inhibits advanced glycation end-products-induced IL-6 and ICAM-1 expression by regulating oxidative responses in human gingival fibroblasts. Molecules 24, 3705. 

Prasad, S., and A. K. Tyagi. 2015. Ginger and its constituents :  Role in prevention and treatment of gastrointestinal cancer. Gastroenterology Research and Practice. 2015, 142979.

Singh, A. K., S. Kumar and S. N. Tiwari. 2023. A pharmaceutical standardization of Shunthi (Zingiber officinale): a research article. Journal of Ayurveda and Integrated Medical Sciences. 8 (12). 82-86.

Suekawa, M., A. Ishige, K. Yuasa, K. Sudo, M. Aburada and E. Hosoya. 1984. Pharmacological studies on ginger. I. Pharmacological actions of pungent constitutents, (6)-gingerol and (6)-shogaol. Jounal of Pharmacobio-Dynamics. 7(11). 836–848.

Touwaide, A. and E. Appetiti. 2023. Ginger. in Herbs in history. American Herbal Products Association. Silver Spring, Marlyland. https://www.ahpa.org/herbs_in_history_ginger

World Flora Online. 2023.  http://www.worldfloraonline.org/

当協会理事
木村 正典 きむらまさのり
(株)グリーン・ワイズ。博士(農学)。ハーブの栽培や精油分泌組織の観察に長く携わると共に、都市での園芸の役割について研究。著書に『有機栽培もOK! プランター菜園のすべて』(NHK 出版)など多数。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第71号 2025年3月