ショウガ:胃腸のためのハーブを学ぶ

【学名】 Zingiber officinale Roscoe
【科名】 ショウガ科
【使用部位】 根茎
【主要成分】 精油2.5〜3%(ジンギベレンなど)、辛味成分0.6〜1%(ジンゲロール、ジンゲロン、ショウガオール)
【作用】 消化機能促進、利胆、代謝促進、制吐、消炎、鎮痛、発汗、解熱
【適応】 消化不良、つわり、乗り物酔い、関節炎などの炎症性疾患
清々しい芳香と爽やかな辛味成分が様々な薬効をもたらしてくれるハーブ
熱帯アジア原産のショウガは、優れた薬効をもつことから「食べる万能薬」と呼ばれます。中国では2500年以上前から薬用として使用され、中国、インド、日本などの医療において重要な役割を果たしてきました。
ショウガの薬効をもたらしてくれるのは、主にジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンといった特有の辛味成分です。これらは血行をよくする作用や発汗を促して熱を下げる作用、吐き気を鎮める作用などをもち、かぜのひき始めに有効です。また胃液の分泌を促進し消化吸収を助けるので、食欲がない時や胃がもたれる時に摂ると、症状の改善に役立ちます。精油に含まれるジンギベレンやシトロネラールなどの香り成分にも、食欲増進作用や血行促進作用、消臭作用があります。
漢方では平成以降、ショウガを加熱せずに乾燥させたものを「生姜(ショウキョウ)」、蒸すか湯通しした後に乾燥させたものを「乾姜(カンキョウ)」と呼んで区別しています。生姜には吐き気や食欲不振を改善する作用があり、乾姜は生姜よりも体を温める作用が強いと考えられています。加熱によって成分が変化し、効果が少し変わるので、目的によって使い分けてみるのもよいでしょう。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第71号 2025年3月