2023.10.14

関西地区イベント報告:漢方メッカ奈良の地で薬用植物栽培プロジェクト体験

ハーバルセラピスト

萬玉浩子

日程:2023年4月27日(木) 会場:佐藤薬品工業(和漢薬研究所)、三光丸クスリ資料館

古くから薬との関係が深い奈良県で、薬用植物の栽培や生薬製剤の製造工程に触れるツアー。前日の雨を吹き飛ばすような晴天に、心がはずみます。

芍薬の花摘みの体験

まずは、佐藤薬品工業の田圃で芍薬の花摘みの体験です。生薬として利用する「根」の品質向上のために花やつぼみを摘み取ります。かわいそうな気もしますが、必要な作業です。この畑、もとは耕作放棄地で、現在はブルーベリーや当帰なども栽培されています。その後は社屋に戻り、乾燥した芍薬のつぼみ、当帰葉などで香り豊かな入浴剤を作りました。

株式会社三光丸に移動して、地元素材を取り入れたお弁当をいただいたあと、生薬製剤「三光丸」の工場を見学。倉庫には桂皮(シナモン)の香りがただよいます。原料生薬は原形のまま仕入れて、自社で粉末やエキスに加工しているそうです。工場では鎌倉時代から伝わる作業を、人に代わって機械が担当。厳格な品質管理を目の当たりにして、三光丸への信頼が深まりました。

「三光丸」の工場

ほかにも黄檗の苗つくりや資料館の見学など、貴重な体験ができました。スタッフの方々の丁寧な説明や、参加者同士の交流も有意義で楽しく、忙しい日常から離れ、自己と向き合う時間となりました。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第65号 2023年9月