美しい地域環境資源を未来へ「つなぐ棚田遺産」第6弾

オフィシャルサポーターとしてのJAMHAの取り組み
美しい地域環境資源を未来へ「つなぐ棚田遺産」第6弾
奈良県明日香村稲渕の棚田
SDGs委員会 石指 紀子
今年で30周年目!
棚田オーナー制度を運営する「NPO明日香の未来を創る会」
奈良県のほぼ中央に位置する明日香村は、文化遺産が点在する歴史的な風土や景観を色濃く残した地域です。飛鳥時代にはこの周辺に都がおかれ、日本の古代国家体制がつくられました。推古天皇が大和の地で「薬猟り」をした頃といえばピンとくる方も多いかもしれません。
今回訪問した奥明日香の「稲渕の棚田」は、奈良県内で唯一「日本の棚田百選」に選ばれており、奈良盆地の東南部にあり、平安〜室町時代に開墾された300枚余りの水田と畑により成り立っています。
地域住民とオーナー有志で組織された「NPO法人明日香の未来を創る会」では、この歴史ある明日香村の景観と稲渕の棚田を残すため、1996年から棚田オーナー制度を運営しています。「稲渕の棚田」の大きな特長は、大都市大阪に近いということもあり、約半数のオーナーは大阪府等の他府県から参加されています。30年前に始まった全国の棚田保全活動は、農業従事者の高齢化で運営に苦労を強いられる地域もある中、「稲渕の棚田」は、大都市に近いこと、明日香特別措置法で自然が守られていることもあり、継続して活動が続いています。
春にはれんげ・菜の花祭り、秋には、その年の話題の「ジャンボ案山子」案山子ロードに陳列される案山子祭り(旧彼岸花祭り)、案山子コンテストも開催し、訪れる人々を楽しませてくれています。
飛鳥川のキレイな水が育む棚田米 耕作放棄地を活用し、真菰や蓮根栽培にも取り組む!
稲渕の棚田からさらに南東の飛鳥川上流に進むと、延喜式内社の一つ「飛鳥川上坐宇須多岐比売命神社」があり、この周辺に、棚田米を栽培する迫田晃亘氏の水田があります。「ここで育つお米は飛鳥川のキレイなお水と、神社に守られるお陰で格段においしくなる」といわれています。
迫田氏は明日香へ移住就農し周辺の仲間と共に、休耕田を活用して、棚田米だけでなく真菰や蓮根の栽培にも取り組まれています。また、たくさんの方が棚田に興味をもち訪れ、共に汗を流して作業をすることで、よりこの地のよさを実感して頂きたいと援農の受け入れをしています。海外からも見学や体験に来られるとか。
夏休みには子ども向け体験プログラム「あすかのサマバケ」にも参画し、蓮の花の時期の田んぼでアーシングイベントも行っています。
オーガニック栽培の品が並ぶファーマーズマーケット生産者・消費者のコミュニティーの場「明日香ビオマルシェ」
環境にも人にも優しい栽培で育てられた農産物とその加工品を販売する「明日香ビオマルシェ」は、地元の比較的若い生産者約30名のメンバーにより運営され、毎週金曜の午前中、20ブースほどが出店し賑わっています。
「こだわりの品を対面販売することでお客様とも一緒に学ぶ場となり、生産者が経済的にも自立していく」という思いでスタートし今年で12周年!「毎週決まって開催しているのがよい。約束しなくてもここに来れば仲間に会えるから」と代表メンバー樽井一樹氏は語ります。生産者様から美味しい野菜の見分け方などを教えて頂き、会話も楽しむお買物は、毎回とても豊かな時間です。
歴史ある飛鳥と棚田の景観が満喫でき、人と人とのつながりが楽しめる、棚田での援農体験やマルシェなど。
魅力あふれる明日香村「稲渕の棚田」に、皆様もぜひ訪れてみてください!
明日香の未来を創る会
https://www.asukamirai.org/
明日香ビオマルシェ
https://asuka-biomarche.com/




●関西地区イベント
10月3日に明日香村稲渕の棚田で真菰収穫体験を行います。
https://www.medicalherb.or.jp/archives/316027
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第72号 2025年6月





