2025.8.14

ドクダミ:スキンケアに役立つハーブを学ぶ

当協会理事

木村 正典

  • 【学名】 Houttuynia cordata L.
  • 【科名】 ドクダミ科
  • 【使用部位】 全草
  • 【主要成分】 精油(デカノイルアセトアルデヒド、ラウリルアルデヒド)、フラボノイド(クエルセチン、クエルシトリン、イソクエルシトリン)
  • 【作用】 利尿、緩下、解毒、消炎、強心、抗菌、解熱、排膿
  • 【適応】 便秘、水虫、いんきん、たむし、吹き出物、高血圧、動脈硬化、尿道炎、冷え、むくみ、蓄膿症、痔

様々な薬効で健康を支える日本人に身近なハーブ

東アジア〜東南アジア原産のドクダミは、ゲンノショウコ、センブリと並ぶ日本の3大民間薬草の1つ。山野や人家の日陰など少しジメジメした場所に群生し、5月〜6月には白い可憐な花を咲かせるとても身近なハーブです。独特の臭気があり、繋殖力が強いため厄介者扱いされがちですが、古くから万能薬として重宝され、日本人の健康を支えてきました。

メディカルハーブとしては、開花時に採取した全草を利用します。全草を乾燥させて煎じたドクダミ茶は、膀胱炎や尿道炎の治療、高血圧や動脈硬化の予防などに有効とされ、現在でも健康茶として人気です。

また、皮膚疾患の外用薬や入浴剤として用いられることも多く、民間療法では化膿性の腫れものや水虫、外傷などに生葉をそのまま揉んで患部に塗布したり、火であぶって柔らかくして貼ったりします。

ドクダミの独特のにおいのもとは、デカノイルアセトアルデヒドやラウリルアルデヒドなどの精油成分です。これらは強力な殺菌作用をもち、食中毒や傷口の化膿の原因となる黄色ブドウ球菌や白癬菌にも有効といわれています。そんなドクダミのパワーを、暮らしの中で生かしていきましょう。

当協会理事
木村 正典 きむらまさのり
(株)グリーン・ワイズ。博士(農学)。ハーブの栽培や精油分泌組織の観察に長く携わると共に、都市での園芸の役割について研究。著書に『有機栽培もOK! プランター菜園のすべて』(NHK 出版)など多数。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第72号 2025年6月