2025.6.12

2025年8月29日 第11回学術フォーラム『エコロジカルハーバリズム〜ハーブを基点に地球環境を考える』

 メディカルハーブとして恩恵を与えてくれる植物、それを活かす私たちは、共に地球の自然環境の中に生き、各々の社会の中で暮らしています。メディカルハーブをしっかりと効果的に活用するためには、植物、人間、自然の性質についてより深く知り、それらの緻密なつながりによるバランスがそれぞれの健やかさを産むことに意識を向けることはとても大切です。今回の学術フォーラムでは、環境教育から持続可能な社会を目指す研究をされてきた増田先生と、植物間や植物と昆虫のコミュニケーションについて化学生態学の分野で研究をされてきた塩尻先生のお二人にご講演いただきます。自然療法としての植物療法といった視点から、健やかなハーブ、私たち、社会、自然環境について考える機会となることを目指します。

実施概要

  • 行事名:第11回学術フォーラム
  • テーマ:「エコロジカルハーバリズム〜ハーブを基点に地球環境を考える」
  • 日時:2025年8月29日(金) 13:00〜17:00
  • 開催方法:オンライン(1か月の録画配信あり)
  • 参加費:JAMHA会員:2,200円/一般:3,300円/学生:無料
  • 定員:300名
  • 申込締切:2025年8月25日(月)15:00
  • 注記
    • 上記期日までにお申込みをされた皆様に、当日のウェビナーURLをお送り致します(開催3日前~前日頃配信)
    • 申込締切後のお客様都合によるキャンセル・返金は致しかねます。
    • 本フォーラム終了後にアーカイブの準備が整い次第、ご視聴案内をお送り致します。
    • JAMHA会員の方はログイン後に本商品価格が割引で表示されます。

プログラム

  • 13:00〜13:10 JAMHAからの挨拶
  • 13:10〜14:20 Program1.増田直広(鶴見大学短期大学部保育科講師)
    • 「環境教育×エコロジカルハーバリズムを通して持続可能な社会の実現を考える」
  • 14:20〜14:30 質疑応答
  • 14:30〜14:40 休憩
  • 14:40〜15:50  Program2.塩尻かおり(龍谷大学農学部生命科学科教授)
    • 「植物の香りを介した生物のコミュニケーション」
  • 15:50〜16:00 質疑応答
  • 16:00〜17:00  Program3.パネルディスカッション
    • 〔進行〕林真一郎(当協会理事長)

講演概要

増田 直広(鶴見大学短期大学部教員):環境教育×エコロジカルハーバリズムを通して持続可能な社会の実現を考える】

 環境教育は持続可能な社会実現のために主体的に行動できる人を育てる教育であり、エコロジカルハーバリズムの理念とつながる教育とも言えます。今回の学術フォーラムでは、環境教育の基本的な考えや近年の関連する動き、環境教育と深い関わりのあるESD(持続可能な開発のための教育)およびSDGs(持続可能な開発目標)などを俯瞰すると共に、それらを展開する際の要点を確認します。さらに、環境教育×エコロジカルハーバリズムの組合せを通して、持続可能な社会の実現のためにどのような取組みができるかについて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
 環境教育は参加体験型の学びを大切にしています。当日も一方的に話を聞いていただくだけでなく、皆さんのお考えや取組みをおたずねしながら、双方向・多方向の学びである環境教育として進めていきたいと考えています。皆さんの積極的なご参加をお願いいたします。

塩尻かおり(博士(農学)):植物の香りを介した生物のコミュニケーション
 植物はなんらかの被害を受けると、恒常的に放出していた匂いとは異なる匂い成分や量を放出します。香りは、揮発性であるため、離れた場所にいる様々な生物が利用できる情報となります。そしてその香りは、被害によって異なり、例えばある虫Aに食べられているときには、Aを捕食する天敵昆虫を誘引し、別の虫Bが食べた時には、Bの天敵昆虫を誘引することができます。つまり、植物と天敵昆虫が香りでコミュニケーションをとっているのです。さらに、近隣にいる植物が、食害ストレスを受けた植物からの香りを受容し、前もって誘導反応を始め防衛力を高める場合が報告されてきていています。これは、香りを介した植物間コミュニケーションと呼ばれていて、樹木を含めこれまでに40種以上ですでに報告されています。
 本講演では、自身が行ってきた研究を中心に、この匂いを介した植物間コミュニケーションを紹介します。さらに、この現象を農業に活かした研究についても紹介したいと思います。