2025.12.2
花の名山 伊吹山の夏 憧れと現実と ~エコロジカルハーバリズムの視点から考える植物観察ツアー~
日程:2025年8月1日(金)
会場:伊吹山
井上典子

伊吹山の自然とともに
今回、伊吹山の植物観察会に参加し、この山の奥深い魅力をあらためて感じることができました。数年前に友人達と訪れたときは大雨のため、植物も景色もほとんど見られず心残りでしたが、今回はお天気に恵まれ、爽やかな風に吹かれながら山頂まで散策することができました。ガイドさんがものすごく丁寧に花々の名前や特徴を説明してくださり、固有種や絶滅が心配される貴重な植物をじっくり観察できたのは大きな喜びでした。紹介してくださった植物は60種以上です。
登山道のあちこちでは、鮮やかな橙色のコオニユリや黄色に輝くキオンが顔を出し、目を楽しませてくれます。山頂近くではシモツケソウの花が一面に広がり、桃色のじゅうたんのような景色!さらに、太古の名残を伝えるウミユリの化石にも出会い、伊吹山がいかに長い歴史と豊かな自然を抱いているかを改めて実感しました。魅力が多すぎて、心に収まりきらないほどでした。
そして何より心に残ったのは、北西の風に乗って優雅に姿を現したイヌワシです。大きく羽を広げ、青空をゆったりと舞う姿は、まるで山そのものの守り神のようで、奇跡の瞬間に立ち会えたことに深い感動を覚えました。
しかし同時に、この美しい自然も鹿の食害や異常気象による土砂災害の傷跡など厳しい現実にも対面。保護活動の成果によって少しずつ草花が戻りつつある現在も、その背景には温暖化をはじめ人間の営みが大きく影を落としていることに心が痛みます。
それでも、子どもたちがイブキジャコウソウを育て、山へ植え戻している姿は未来への確かな希望です。伊吹山の豊かな自然と歴史を、次の世代に引き継げるよう私たちも努力したいです。







