野草研究家 菊池はるみさんを迎え佐渡島の野草の知恵を学ぶ
日程:2025年10月5日(日)
会場:北鎌倉 たからの庭
ハーバルプラクティショナー 真木文絵


アイマスク作りに使う野草は佐渡から
布は佐渡の古民家から見つかったものだそうです
まだ暑さが残る10月5日、野草研究家である菊池はるみさんのお話を伺うため、北鎌倉のたからの庭を訪ねました。佐渡で生まれ、ずっと佐渡で暮らしているはるみさんは、地元に残る古書やお年寄から聞き集めた言い伝えなどを調べ、佐渡の野草について独学で研究されています。自然とのつながりを強く意識した生活を実践しながら、その大切さを精力的に発信されているのです。
日本海最大の離島である佐渡は、沖合で暖流と寒流が交わっています。そのため、北方系と南方系の両方の植物が共存しており、多様な植物生態系が存在しているという大きな特徴があります。
江戸時代から金鉱で栄えた佐渡は幕府直轄の地(天領)でした。薬草が多いことに注目した徳川吉宗は採薬師を送り込んで調査をし、1700種もの植物が自生していること、そのうち食べられる植物は127種、薬になる植物は417種あることを記録として残しました。佐渡は害獣による食害がほとんどないため、現在も多くの品種がそのまま残っているとのことで、大変驚きました。
幕府が薬草を保護した結果、佐渡では予防医学が大いに発展したそうです。その時代から、島の人々は工夫を凝らした形でオウレン、サイシン、ヤマトリカブトなどの薬草を日常的に利用し、病気の予防や症状の軽減に役立ててきました。そして、現在、はるみさんは現代的なアレンジも加えながら、野草使いを伝承されているのです。
当日は野草クラフトコーラを試飲し、野草ホットアイマスク作りの実習を行いました。味覚と指先の触覚を使って、はるみさんの自由自在な野草ワールドを体験することができ、大いに刺激を受けた講座でした。
今回のお話で一番印象に残っているのは「土地有薬論」という考え方でした。佐渡野草研究家の伊藤邦男氏の言葉で、「その土地、その民族には、その土地、民族なりの生活や病気があり、それを治す薬も必ずその土地に存在する」というものです。その土地に生きている野草は、そこに必要なものだという、シンプルですが考えさせられる言葉です。
苗を植えたり、種を蒔いたりして成長を楽しみにしている庭のハーブたちがいつまで経っても貧弱なのに比べ、もともと生えていたカキドオシやゲンノショウコ、ドクダミには確実に勢いがあり、テリトリーを拡大していることに気づきます。はるみさんのように、自生している意味をもっと考え、もっと仲良くなって、よりよいバランスのとれた共生した庭作りを目指そうと思いました。








