2022.5.31.

薬草観察ツアー in 高知(ハーブサミットバスツアー2021)

古長谷莉花

日程:2021年10月30日(土)~11月1日(月) 会場:牧野植物園、中芸地域

世界中、日本中で旅をしながら植物と人に出会い、その叡智を広めていくことが私の仕事です。新型コロナウイルスの影響で海外へ出られなくなった中で始めたのが「日本植物採集の旅」でした。

いつもは一人で旅をして、現地の友を尋ねながら取材に行く。そんな気ままなスタイルではなく今回参加したのは薬草観察バスツアー。慣れないスタイルの旅でも迷わず申し込んだのは、牧野富太郎の情熱、馬路村の軌跡、モネの庭の美に出会う贅沢な二泊三日の旅だったからです。

高知県立 牧野植物園では、ここにはいないはずの牧野先生の情熱に触れることができました。川原園長の薬草に関する講演から始まり、園内を散策。植物保管庫だけでも10人ものスタッフがいる舞台裏に足を踏み入れました。館内の資料展示も豊富であり、牧野先生の天衣無縫な人柄と波乱の人生について学べます。当時も、現代の私たちにとっても「植物を仕事にして生きていく、食べていく」というのは容易な道ではありません。私も「田舎に小さな一軒家を建てられるくらいお金を使っているのではないか…」と、そろばんをはじくと、うっかりがっくりきてしまうことも。それでも、豊かな商家を傾けさせてしまうくらいの大金を使い学問を続けた牧野先生には笑われてしまうくらい小さなことなのでしょう。

続く北川村「モネの庭」マルモッタンでも同じく胸が熱くなりました。庭師の川上先生が案内するモネの庭の美しいことといったら!広大な庭を、二次元の絵画から三次元に展開していく想像力と根気強さ。フランスのモネ財団から、世界で唯一モネの名を冠することを許された庭園なのです。

情熱と挑戦なくしては自分の道はつくれない。そんな気づきが勇気になりますね。

参加者との交流、知の共有は想定外の特別なお土産となりました。あらゆる情報が手に入り、ルール化された社会で、偶然の出会いは稀有な存在です。世界のどこかに咲く植物が、私たちに新しい扉を開いてくれるのではないでしょうか。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第59号 2022年3月