Japanese peppermint

ハッカ

近縁の西洋ハーブ:ペパーミント Menta piperita、スペアミント Menta spicata

植物

日本各地および東アジアの温帯地方のやや湿った原野、道端に自生し、薬草、香料用に栽培される。草丈約20~80cm。細い毛があり、全体に強い芳香がある。花期は8月~10月、葉の付け根に淡紫色の唇型の小さな花を球形につける。ハッカ類は交雑しやすく、変種が多い。岡田稔監修 『牧野和漢薬図鑑』 北竜社 2002

  1. 使用部位 地上部日本公定書協会編 『第15改正日本薬局方解説書』 廣川書店 2006
  2. 生薬名 ハッカ(薄荷)
  3. 薬味・薬性 辛・涼鈴木洋『漢方のくすりの事典』 医歯薬出版 1994
  4. 概論

ハーブで親しまれているペパーミントに比べて1メントールの含量が多く、スキッとした香りが特徴です。地上部を水蒸気蒸留すると精油が得られ、これを冷却するとlメントールの結晶が得られます。結晶を取り除いたものをハッカ油と呼びます(文献2)。明治から昭和にかけて、合成メントールができるまでは日本産の天然メントールが世界中に輸出されていました。伊田喜光、寺沢捷年監修 『モノグラフ生薬の薬効・薬理』 医歯薬出版 2003

ハッカは、漢方では解表(身体の表面から邪気を出す)の効果があるとされ、消炎、解熱、発汗の目的で風邪、喉の痛み、咳、頭痛、皮膚疾患用の処方に配合されています。また、清涼感があり身体の余分なエネルギーを調整するため、自律神経安定に用いられる処方にも配合されています。難波恒雄監修 『和漢薬の事典』 朝倉書店 2002(文献3、4) 民間茶としては芳香性健胃、駆風(腸内のガスをとる)の作用を期待して消化不良、おなかの張りのほか、頭痛、めまいなどにも用いられます。(文献5)

近年の薬理作用研究では、ハッカエキスに利胆、鎮痛、抗炎症・抗アレルギー作用の報告、ハッカ油としては鎮痙、末梢血管拡張、抗菌作用などが報告されています。難波恒雄監修 『和漢薬の事典』 朝倉書店 2002

成分

精油 lメントール30~67%、酢酸メチル5~31%、lメントン2~22%、1-8シネオール、βカリオフィレン、lリモネン、イソメントン、ゲルマクランD、ピペリトン、プレゴンなど。日本公定書協会編 『第15改正日本薬局方解説書』 廣川書店 2006

適用

健胃・駆風

使用法(文献1)

1日量10gを水400mlで煎じ、1日2回服用する。岡田稔監修 『牧野和漢薬図鑑』 北竜社 2002

安全性

同属植物のペパーミントは、米国ハーブ製品協会の安全性ハンドブックでは、クラス1に分類されている。メディカルハーブ広報センター監修『メディカルハーブ安全性ハンドブック』東京堂出版 2001