Evening Primrose Oil

イブニングプリムローズ

月見草油  Evening Primrose Oil

Oenothera biennis

和名:月見草 / 科名:アカバナ科 /使用部位:種子

月見草は北アメリカ原産の植物で,アメリカの植物療法を起源として広く世界で活用されるようになった.種子から採取できる月見草油(Evening Primrose Oil: EPO)は,数多くの科学的研究がされており,植物性のサプリメントとして今日最も汎用されているものの一つである.

月見草油はサプリメント,薬または食品として世界30カ国以上で販売され,2000年には米国で,ハーブ系のサプリメントや食品,そして薬の総合売上の10位にランクされた.臨床研究は,必須脂肪酸(Essential Fatty Acid : EFA)の欠乏に関連した,湿疹やアトピー性皮膚炎,生理前症候群(PMS),炎症及び糖尿病性末梢神経障害などの治療について焦点が当てられている.月見草油は必須脂肪酸の中でもγ-リノレン酸(GLA)を7~10%と多く含む.

【適応】

  • アトピー性皮膚炎/生理に伴う乳房痛/授乳/尿毒症の皮膚症状/必須脂肪酸の欠乏
  • 乳児のアトピー性皮膚炎/脂漏性皮膚炎/強化特殊調製粉乳/PMS/糖尿病性神経障害
  • シェーングレン症候群に関連したドライアイ/レイノー病/関節リウマチ

【作用】

  • 血漿,赤血球,血小板脂質の必須脂肪酸の組成,及び糖尿病でない人やI型糖尿病患者のα‐トコフェロールのレベルの改善
  • 母乳の総脂質量及び必須脂肪酸含有量の増加
  • ジホモ-γ-リノレン酸(DGLA)が低レベルの人の血清脂質や脂肪組織の脂肪酸
  • 組成への影響
  • 正常な細胞構造の維持
  • プロスタグランジンの前駆体としての機能

【主な用法】

※1カプセルに月見草油500mg, GLA 40mgを含有.

内服

  • アトピー性皮膚炎:1回4~6カプセルを1日2回
  • 生理に伴う乳房痛:1日6カプセルを4~6ヶ月間
  • 糖尿病性神経障害:1日8~12カプセル
  • 授乳援助:1回4カプセルを朝夕の1日2回
  • レイノー症:1日10~20カプセル
  • 尿毒症の皮膚症状:1回2カプセルを1日2回
  • 関節リウマチ:1日10~20カプセル
  • ※月見草油は即効性はなく長期連用が必要である.効果が現れるには4ヶ月間推奨された用法で服用することが必要である.少なくとも1年以上の安全な長期使用が可能である.

※月見草油は直接摂取するか,牛乳などの液体や食べ物と一緒に摂取する.食べ物と一緒に摂取することで月見草油による胃腸への刺激を最小限に抑える.抗酸化作用のあるビタミンEと同時に摂取すると必須脂肪酸をフリーラジカルによるダメージから保護する.マルチビタミンとの同時摂取により必須脂肪酸代謝で必要な栄養的補因子(例えばビタミンB6やマグネシウム)を提供することが考えられる.

外用

  • アトピー性皮膚炎:20%の月見草油を含むw/o型(油中水型)乳剤を1日2回,4週間以上患部に塗布.

【禁忌】

統合失調症の患者やフェノチアジンのようなてんかん薬を服用している患者は月見草油を用いる前に医療機関と相談するべきとの報告がある.しかし最近公表された多価不飽和脂肪酸による統合失調症の治療についての治験では,月見草油の統合失調症に対する有意な治療効果はなかったが,同時に副作用もなかったとの報告がある.

妊娠と授乳:制限事項は特にない.月見草油が含むGLAや必須脂肪酸は母乳の重要な成分である.WHO によると妊娠女性の1日の総カロリー摂取量の5%は必須脂肪酸を摂るべきとのことである.

【副作用】

推奨用量での副作用は稀である.頭痛,軽度の吐き気,腹部膨満感が起こることがある.過剰な服用では軟便や腹痛が起こることがある.

【薬物相互作用】

特にない.ステロイド系や非ステロイド系抗炎症薬は必須脂肪酸代謝に影響を与える可能性がある.そのためステロイド薬の服用患者には月見草油が有効である.

【臨床的展望】

被験者1154人による22例の臨床研究のうち16例で,PMS,皮膚症状,糖尿病性神経障害及び関節炎を含む適応についての月見草油の効能を実証している.7例の二重盲検試験・比較対照試験で,皮膚症状(尿毒症の皮膚症状,手の慢性皮膚炎,アトピー性皮膚炎など)で月見草油の効果を実証している.2例はPMSに対する効果の実証である.その他の二重盲検試験・比較対照試験では,生理に伴う乳房痛,糖尿病性神経障害,関節リウマチ及び閉経によるほてり,そして母乳の脂質組成の改善への月見草油の効果を実証している.初期の肝臓ガン患者の生存期間への効果についても実証された.

311人の患者を対象としたアトピー性皮膚炎に関する9例の比較対照試験では,血漿中の必須脂肪酸濃度の上昇にて改善を確認し,痒みの症状の改善は有意に大きいことが報告され,大きな効果が実証されている.

2009年2月発行

編集:特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会・学術調査研究委員会

提供:アメリカン・ボタニカル・カウンシル

このモノグラフはAmerican Botanical Councilにより2003年に発行されたThe ABC Clinical Guide to Herbs, Mark Blumenthal (senior editor), © を翻訳したものです。

 Translated from The ABC Clinical Guide to Herbs, Mark Blumenthal (senior editor), © 2003 by the American Botanical Council (www.herbalgram.org). Courtesy of American Botanical Council.