2018.6.1.

よい眠りを誘うのはローズマリー?

日本メディカルハーブ協会国際情報委員会

桂川直樹

ハーブと眠りとの関係について、これまでセントジョンズワートやバレリアンなど、世界中で臨床研究が行われてきました。

2018年2月に発表された論文では、新たに1つのハーブ「ローズマリー」が加わることになりました。イランで行われた研究(右囲み参照)で、睡眠の他、記憶力、不安緩和についても有意差が確認されたのです。この論文の評価については、他の研究者たちによる再現研究を待ちたいところです。

イランの研究事情

ところで、近頃イランではハーブの臨床研究がとても盛んで、世界のハーブ臨床研究数を大幅に底上げしています。では、なぜイランなのでしょうか。

イランというと、とても遠い国、女性は頭にスカーフを被り、魅惑的で異国情緒を感じさせる国、という印象がありますね。欧米やインド、中国、周りの中東の国々と比べて、伝統薬としてのハーブ利用が著しく盛んということはなさそうです。

また、医学では人種差が重視されていて、イラン人を対象にした研究は、欧米で報告できる臨床研究となることがあります。しかし今回の研究では欧米のハーブ薬の臨床研究ではなく、地元のハーブを用いているようです。とはいえ、世界には他に多くの産地があるので、ローズマリーを売り込みたい、という意図でもなさそうです。

イランでは女性の進学率がとても高く、特に医学部や理系の進学者では女性のほうが多いようです。そういえばこの論文では共著者4名のうち、3名が女性でした。引き続き、女性研究者の活躍にも注目していきたいと思います。

ローズマリーが記憶力、不安、うつ、睡眠を改善

2017年にイランで男女68名の学生を対象に、二重盲検で無作為にローズマリー500mgのカプセルを摂る群とプラセボを摂る群とに分けて調査しました。カプセルを摂る群は1ヵ月後に記憶力が改善し、不安を緩和して、さらに睡眠の質が有意に改善していることがわかりました。
Complement Ther Clin Pract. 2018 Feb;30:24-28.

近年の研究ピックアップ(生活習慣病など)

レスベラトロールの糖尿病への影響

2017年6月までに発表された研究論文から9報(283人)で2型糖尿病へのレスベラトロールの効果についてメタ解析を実施。空腹時血糖、インスリン濃度、血圧などが顕著に改善し、レスベラトロールは2型糖尿病に有益かもしれないことが分かりました。
Nutr Metab (Lond). 2017 Sep 22;14:60.

クランベリーが尿路感染症の再発リスクを低減

2017年7月までの研究論文から、18歳以上の尿路感染症患者女性を対象としたクランベリー介入による無作為化臨床試験7件(1498人)を対象にメタ解析を行ったところ、クランベリーは尿路感染症の再発リスクを26%低減させることが分かりました。
J Nutr. 2017 Dec;147(12):2282-2288.

緑茶とハイビスカスの血圧、脂質の比較研究

2017年にイランで健康な成人男性(54人)を対象に行われた研究です。二重盲検で無作為に3群にわけ、緑茶、ハイビスカス、もしくは偽薬を6週間投与したところ、ハイビスカス群のみ収縮期血圧が有意に低下し、拡張期血圧や脂質には影響がありませんでした。

ARYA Atheroscler. 2017 May;13(3):109-116.

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第44号 2018年6月