2018.3.1.

高血糖ー糖尿病を中心にー

医療法人社団勝榮会 いりたに内科クリニック 理事長・院長

入谷栄一

はじめに

糖尿病は、血液の中のブドウ糖濃度が高い状態(高血糖)が続くことで、目、腎臓、神経、心臓、脳、皮膚などにさまざまな合併症が起こる病気です。

糖尿病になっても、最初のうちはほとんど無症状です。しかし徐々に全身の血管や神経が傷ついていきます。のどの渇き、疲れ、頻尿などの症状が現れるようになるのは、病気がある程度進んだ状態です。

糖尿病はきちんと治療すれば、合併症を予防できます。特に早く見つけて、早く治療を始めるほど、血糖のコントロールも合併症の予防もできます。そのため、健康診断で血糖が高いといわれた方や心配な症状がある方は、早めに医療機関を受診してください。

原因

血糖値は、体の中の「インスリン」というホルモンの働きで、ほぼ一定の値に保たれています。この血糖を調節する仕組みがうまく働かなくなり、血糖値が高い状態(高血糖)が続くようになってしまうのが糖尿病です。

症状

血糖値が高くても、最初のうちは、ほとんど症状を感じることはありません。しかし、高血糖が続くと、のどの渇き、疲労感、多尿・頻尿などの症状が現れるようになり、次第に全身の血管や神経が傷ついて、全身のさまざまな臓器に障害が起こってきます。逆に、糖尿病になっても、食事療法や運動療法、薬によって血糖をきちんとコントロールできれば、合併症を予防できます。

血糖値とHbA1cの値、臨床症状より診断されます。次の(1)~(4)のいずれかに当てはまる場合を「糖尿病型」といい、(1)~(3)のどれかと(4)を満たせば「糖尿病」と診断します。

  1. 空腹時に測定した血糖値(空腹時血糖値)が126mg/dL以上
  2. ブドウ糖を飲んだ2時間後に測定した血糖値(ブドウ糖負荷試験2時間値)が200mg/dL以上
  3. 食事の時間に関係なく測定した血糖値(随時血糖値)が200mg/dL以上
  4. HbA1cが6.5%以上

治療

治療の基本は食事療法、運動療法となります。

特に2型糖尿病は、食事や運動などの生活習慣が深く関係しています。食事療法と運動療法で血糖値が改善しないときや、血糖値が非常に高く、急いで下げる必要がある場合などに薬物療法が行われます。1型糖尿病では、インスリンによる治療が最初から欠かせませんが、血糖値をよりよくコントロールし、インスリンの量を減らしていくためにも、やはり食事療法、運動療法は基本治療として続けていくことが大切です。

糖尿病を防ぐ食生活

  • 食物繊維が豊富な野菜をたっぷり摂る(1日350g以上、緑黄色野菜は120g以上)
  • 甘いものや脂っぽいものを食べ過ぎない
  • 薄味にする
  • ごはんは少なめに、お茶碗は小ぶりにする
  • 食事は決まった時間に、ゆっくり時間をかけて食べる
  • ながら食いはやめる

※糖尿病の治療を受けている人は主治医に食事相談をしてください。

高血糖に使われるハーブ

マルベリー

糖尿病の治療薬にα-グルコシダーゼ阻害薬があります。このお薬は「食後高血糖の改善」、「炭水化物の吸収遅延作用」を有します。メディカルハーブにおいて「マルベリー」がこの作用をもっています。まだ糖尿病薬が必要でない食事療法の段階においては心強い味方となるでしょう。ポイントは必ず食直前に摂るようにしてください。

糖尿病を防ぐ適度な運動

運動は、肥満の防止になり、筋肉をつけて基礎代謝を増やします。運動を行えば、それだけ糖尿病の発症率が低くなることが知られています。

  • 隣りの駅まで歩く、遠回りして歩く、階段を使うなど、日常生活に運動を取り入れましょう
  • 歩く目安は、男性なら1日9,000歩以上、女性なら1日8,000歩以上
  • 1日30分、少し早足で軽く汗ばむ程度が最適

※糖尿病の治療を受けている人は主治医に運動の可否の相談をしてください。

糖質制限

最近ではこの言葉を聞いた方のほうが多いと思います。糖質制限に関しては、医師、管理栄養士の間では支持派と不支持派に二分され、結論が出ていないのが現状です。一般的に糖質制限は、カロリー制限と脂質制限を合わせた食事法よりも体重減少効果が高く中性脂肪値も減少するといわれています。一方では、高脂肪食による心血管発症のリスクを増やすとのデータもあります。

「糖尿病学会ガイドライン2016」においては、「炭水化物の摂取比率が低く、タンパク質の摂取比率が高い集団では、心血管発症率ならびに総死亡率が高かった」と記載されている一方で、カナダの研究者らが2017年に発表した「PURE」では、「炭水化物の摂取割合が高いと総死亡リスクが上昇。脂質とタンパク質の摂取割合が高いと総死亡率は低い」と真逆の意見が出ており、今後の更なる研究に期待します。

おわりに

医学界では糖質制限派とカロリー制限派で意見が分かれており、どちらの食事法が優れているのか議論がされていますが、糖尿病は食事だけでなく、ストレス、運動不足、遺伝などさまざまな要因が複雑に絡み合っています。糖質制限だけで予防や治療をしようという試みは危険と考えています。また、ダイエットのための糖質制限ではなく、糖尿病治療の糖質制限では注意点がある場合もあるので医師と相談してください。

 

医療法人社団勝榮会 いりたに内科クリニック 理事長・院長
入谷栄一 いりたに・えいいち
東京女子医科大学第一内科 非常勤講師 / 当協会理事。総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医、がん治療認定医、結核・抗酸菌症認定医、インフェクションコントロールドクター。著書『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第43号 2018年3月