2022.9.12

生活習慣を見直して、歯周病を予防しよう!

いりたに内科クリニック院長

入谷栄一

歯周病の直接の原因はブラッシングの不徹底によるプラークの蓄積ですが、実際は生活習慣や健康状態など様々な要因が絡み合って起こると考えられています。
こうした要因を見直していくことが、歯周病の予防・改善のポイントとなります。

プラークだけが原因ではない。歯周病のリスクファクターとは

ほとんどの人の口の中には、歯周病の原因となる菌が存在するといわれています。これらは体が健康な時はあまり悪さをしませんが、体の抵抗力が落ちると細菌に感染しやすい状態になり、容易に歯肉の炎症を引き起こします。過労やストレスが続いた時などに、一気に歯周病が悪化してしまうことがあるのはこのためです。

また、喫煙、口呼吸、歯ぎしり、間食といった生活習慣や、糖尿病などの基礎疾患、感染症なども歯周病を進行させる原因となります。女性の場合、妊娠中や出産後、更年期などホルモンバランスがいつもと違う状態の時には歯周病が悪化しやすいので注意が必要です。

歯周病は初期であればブラッシングで炎症を抑え、再発を防ぐことができます。少しでも気になる症状があれば早めに歯科を受診し、その後も定期的なチェックを怠らないようにしましょう。

歯周病の原因

プラーク(歯垢)
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●生活習慣…ストレス、喫煙、歯ぎしり、口呼吸、食生活の乱れ、睡眠不足など。
●健康状態…ホルモンバランスの乱れ、糖尿病、感染症、疲労、加齢、遺伝、肥満など。
●口の中の環境…歯磨きの頻度や方法、虫歯、噛み合わせの悪さ、歯並び、不適合なかぶせもの、口腔内の乾燥など。

今日からさっそく実践!歯周病ケアのポイント

POINT 1 正しい歯磨き

丁寧なブラッシングで、しっかりと汚れを落とすことが最も大切です。毎日歯を磨いているのに虫歯や歯周病になる人は、正しく磨けていない可能性があるので、歯科でブラッシングの指導を受けましょう。歯間ブラシやデンタルフロスもプラークの除去に有効です。

POINT 2 禁煙

喫煙は免疫力を低下させて歯周組織の抵抗力を弱め、歯周病菌の増殖を助長します。また、喫煙していると出血しにくいため、歯周病に気づくのが遅れることもあります。喫煙者は吸わない人に比べ、歯周病リスクが2~8倍といわれます。

POINT 3 定期的な歯科検診

かかりつけ歯科医をもち、特に症状が出ていなくても少なくとも年に1度、可能なら半年に1度はチェックとクリーニングなどプロのメンテナンスを受けましょう。歯垢が固まって歯石になるとブラッシングでは落とすことができません。ブラッシング法も定期的に指導してもらうと安心です。

POINT 4 食生活の見直し

だらだら食いや間食が多いと口腔内が酸性に傾き、虫歯や歯周病ができやすくなります。甘いもの、やわらかいものは歯に付着しやすく、プラークの原因に。噛み応えのある食べ物をよく噛んで食べることは、歯と歯茎の健康に役立ちます。

POINT 5 体の抵抗力を落とさない

ストレス、過労、睡眠不足などは歯周組織の抵抗力を弱め、歯周病菌の増殖を助長します。また、自律神経の乱れを引き起こして唾液の分泌が悪くなり、口腔内の自浄作用が低下する原因ともなります。

POINT 6 口呼吸をしない

口呼吸で口の中が乾くと、唾液による自浄能力が下がり歯周病菌や虫歯菌などが繁殖しやすい環境になります。また、細菌やウイルスが侵入しやすくなり、全身の免疫力も低下するといわれます。意識的に口を閉じるよう心がけましょう。

いりたに内科クリニック院長
入谷栄一 いりたにえいいち
総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。当協会顧問。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第61号 2022年9月