2026.2.21

パキスタンでの小売鶏肉から回収された多剤耐性大腸菌に対するハーブエキスの抗菌活性

学術委員

辻恵子

日本国内における「薬剤耐性(AMR)」は、2016年には政府が「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を策定し、抗菌薬の適正使用推進や研究開発に取り組んでいる。しかし、2019年推定、2種類の薬剤耐性菌による菌血症患者の推定死亡者数は年間8,000人にのぼるとされており(政府広報オンライによる)、未だに一般市民の意識向上や医療従事者の連帯強化など、課題は残っている。

パキスタンのラホール市で小売鶏肉サンプルの多剤耐性大腸菌の蔓延を調査する研究が行われた。抗生物質の大量使用による大腸菌(E. coli)の多剤耐性の発生率の上昇は、疾患治療における重大な課題であり、汚染された小売鶏肉は、多剤耐性大腸菌の大きな拡散源の1つである。

大腸菌分離株の73.86%が多剤耐性パターンであることがわかった。この結果より、抗生物質の大量使用が大腸菌の多剤耐性発生率を高めている現状を浮き彫りにしている。

そこで、6種類のハーブの粗エタノール抽出物のMDR大腸菌表現型に対する抗菌活性をin vitroで評価したところ、平均最小発育阻止濃度(MIC)は以下の結果となった。

・クローブ 1.15mg/mL

・シナモン 0.5mg/mL

・ミント 1.38mg/mL

・コリアンダー 1.99mg/mL

・カロンジ 2.41mg/mL

・ニンニク抽出物 8.60mg/mL

平均最小発育阻止濃度(MIC)とは、菌の増殖を抑えるのに必要なハーブ抽出物の濃度を示しており、値が低いほど少ない量で効果を発揮できると考えられる。

クローブとシナモンは、他のハーブ抽出物と比較して抗菌活性が高く、ミントとコリアンダーは中間の結果を示し、ニンニクとカロンジは、最も低いことを示した。

本研究で得られた結果から、選択されたハーブの粗エタノール抽出物、特にクローブとシナモンは顕著な抗菌活性を有することが明らかになった。したがって、これらの抽出物は多剤耐性大腸菌に対する抗菌剤の有望な代替品として、また調理済み食品保存の使用に対する可能性を示唆、と結論付けている。

【引用】

Shaheen AY, Sheikh AA, Rabbani M, Aslam A, Bibi T, Liaqat F, Muhammad J, Rehmani SF. Antibacterial activity of herbal extracts against multi-drug resistant Escherichia coli recovered from retail chicken meat. Pak J Pharm Sci. 2015 Jul;28(4):1295-300. PMID: 26142503.