PCOSを伴う不妊女性の妊娠率と代謝パラメータに対するナツメ、メトホルミン、ミオイノシトールの効果:ランダム化比較試験

ナツメ(学名Ziziphus jujuba)は、古くからアジア地域で食用および薬用に利用されてきた果実である。甘味を有し、乾燥させて茶や薬膳に用いられることが多い。ビタミン類やポリフェノールなどの抗酸化成分を豊富に含み、伝統医学においては滋養強壮、消化機能の調整、血行促進などの作用が期待されてきた。近年では、血糖値や脂質代謝への影響にも注目が集まっている。
本研究は、最新論文として報告された、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による不妊女性を対象に、ナツメ抽出物の有効性を検討したランダム化比較試験である。PCOSは、月経不順、排卵障害、高アンドロゲン血症などを特徴とし、加えてインスリン抵抗性や脂質異常症を伴いやすい疾患である。そのため、生殖機能のみならず代謝異常の管理も重要な課題である。
対象は18~45歳の女性196名であり、無作為に4群へ割り付けられた。各群は、①ナツメ水アルコール抽出物、②メトホルミン、③ミオイノシトール、④プラセボを12週間摂取した。主要評価項目は妊娠率であり、副次評価項目として体重、BMI、空腹時血糖値、脂質プロファイルなどの代謝指標が測定された。
その結果、妊娠例はナツメ群10例、メトホルミン群7例、ミオイノシトール群5例、プラセボ群4例であったが、統計学的有意差は認められなかった。すなわち、ナツメ摂取が妊娠率を有意に向上させたとは結論づけられなかった。
一方、空腹時血糖値、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールなどの代謝指標においては、ナツメ群で有意な改善が認められた。これは、ナツメがインスリン抵抗性および脂質代謝の改善に寄与する可能性を示唆するものである。重大な副作用は報告されず、安全性も概ね良好であった。
以上より、ナツメ抽出物はPCOS女性の妊娠率を明確に向上させる効果は示されなかったものの、代謝改善の観点から補完的治療としての可能性が示唆されたと考えられる。
【引用文献】
Mashhadi F, Ghaebi NK, Rakhshandeh H, Khadem-Rezaiyan M, Roudi F, Nematy M. Effects of Ziziphus jujuba, metformin, and myoinositol on pregnancy rates and metabolic parameters in infertile women with PCOS: a randomized controlled trial. J Ovarian Res. 2026 Jan 30;19(1):51. doi: 10.1186/s13048-025-01867-0. PMID: 41618368; PMCID: PMC12879483.





