2型糖尿病患者におけるネトル(Urtica dioica)の摂取が血中脂質、肝酵素、一酸化窒素レベルに及ぼす影響:二重盲検無作為化臨床試験

糖尿病は最も一般的な疾患の一つであり、その高血糖状態は酸化ストレスを引き起こす要因の一つである。酸化ストレスは心血管疾患および糖尿病性微小・大血管合併症における重要な代謝異常であることが知られている。
イラクサ科の多年生草本であるネトル(Urtica dioica L.)は、伝統的に薬用植物として利用されてきた。これまでの研究により、関節リウマチや糖尿病などの様々な疾患に対するネトルの有益な効果が示されてきたが、糖尿病合併症に対する効果についての証拠は乏しく、特に糖尿病患者の一酸化窒素(NO)血清レベルに対する影響についての報告は存在しない。したがって、本研究の目的は、2型糖尿病患者における心血管系リスク因子および酸化ストレスバイオマーカーに対するネトル含水アルコール抽出物の影響を評価することである。
本研究は、2型糖尿病女性50名を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。対象者は経口血糖降下薬(メトホルミンまたはグリベンクラミド)を服用中で、HbA1c 10%以下、中性脂肪400 mg/dL未満などの基準を満たす者とした。ネトル群(n=25)には抽出液5 mLを1日3回、プラセボ群(n=25)には同様の対照液を食後に8週間投与した。 介入後の結果として、ネトル群では対照群と比較して、空腹時血糖(FPG)および中性脂肪(TG)が有意に低下(p<0.05)した。一方、プラセボ群ではこれらの指標に有意な改善は認められなかった。脂質プロファイルでは、ネトル群においてHDLコレステロールが有意に上昇(p<0.05)したが、LDLコレステロールには有意差は認められなかった(p>0.05)。 肝酵素に関しては、ネトル群においてALT(SGPT)が介入前およびプラセボ群と比較して有意に低下(p<0.001)したが、AST(SGOT)には有意な変化は認められなかった(p>0.05)。さらに、酸化ストレスおよび血管機能関連指標として、ネトル群では一酸化窒素(NO)およびスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)がいずれも有意に上昇(p<0.001)した。
以上より、8週間のネトル抽出物摂取は、2型糖尿病患者において血糖および脂質指標(TG、HDL)を改善し、肝酵素(ALT)を低下させるとともに、NOおよびSODの上昇を通じて酸化ストレス関連指標の改善を示した。これらの結果から、ネトル抽出物は補助療法としての可能性が示唆された。
[文献] Amiri Behzadi A, et al. Effects of Urtica dioica supplementation on blood lipids, hepatic enzymes and nitric oxide levels in type 2 diabetic patients: A double blind, randomized clinical trial. Avicenna J Phytomed. 2016;6(6):686-695.





