2025.11.25

スパイスを使ってみよう

それぞれのスパイスの持ち味を活かすには、スパイスの形状と使い方を知り、
用途によって使い分けるのがコツです。
また、スパイスは何種類かを組み合わせることで違った香りや印象に変化します。
スパイス遣いの基本を学び、普段の食事に取り入れてみましょう。 スパイスは日本語では香辛料とも呼ばれ、一般に食品の調理のために用いる芳香性や刺激性をもった植物を指します。

STEP1 
スパイスの形状によって使い分ける 

 同じスパイスでも形状によって特徴があり、使い方も異なります。乾燥させたドライスパイスは生のままのフレッシュスパイスに比べ香りが強く、保存がきくのが特徴です。

 ドライスパイスも原型がそのまま残っている「ホールスパイス」と、ホールスパイスを粉砕した粉末の「パウダースパイス」に分けられます。

●ホール…

 香りが強く持続しやすいので、料理の始めに使うスタータースパイスに向いています。煮込み料理に最初から加える他、油を使う料理の場合は最初に油で加熱することでより深い香りを引き出すことができます。フライパンや鍋に油をひき、ホールスパイスを熱して油に香りを移す手法は「テンパリング」と呼ばれ、インド料理やイタリア料理のペペロンチーノなどでよく行われるものです。

●パウダー

素材に下味をつけたり、香りづけのために仕上げに振りかけたりする他は、料理の途中で使うのが基本です。煮込み料理の場合は、具材を入れて煮込み始めてから加えます。パウダーの中でも「粗挽き」は香りが強いので、料理によって使い分けましょう。

 手軽で使いやすく量も調節しやすいのがメリットですが、ホールに比べ香りが飛びやすい弱点があります。常に新鮮なものを用意し、開封したらなるべく早く使い切ることが大切です。ホールスパイスを買っておき、その都度スパイスミルや乳鉢などで挽いて使うと、より新鮮な香りが楽しめます。

●フレッシュ

 生のハーブ系スパイスは、さわやかな香りを活かしたい料理に向き、魚や肉の香草焼きに使ったり、サラダの材料や料理のトッピングとしてそのまま使ったりします。煮込み料理に使うブーケガルニはフレッシュハーブを何種類か束ねたもので、料理に深い奥行きを与えてくれます。

 ▶︎使い切れずに余った場合は、他の材料と一緒にブレンダーで攪拌してソースにしたり、オイルやビネガーに漬け込んで手作り調味料にしたりするのもおすすめです。

STEP2
スパイスをブレンドして使う

 複数のスパイスをブレンドし、スパイスの機能を総合させて使うことで1つのスパイスの個性だけが突出してしまうことがなく、全体がまとまって料理の奥行きも深くなります。「シーズニング」あるいは「ミックススパイス」と呼ばれるあらかじめブレンドされたスパイスが市販されていますが、自分でブレンドすることを覚えるとスパイスのおもしろさが分かるようになり、健康面を考慮してスパイスを選ぶことも可能になります。まずは3種類のブレンドから挑戦してみて、慣れてきたら自分だけのオリジナルブレンドをつくってみましょう。

ブレンドの基本例

すべてパウダースパイスでOKです。
煮込み料理や肉や魚のソテー、卵料理、サラダ、マリネ液などに幅広く使えます。

インド風
クミン(1):コリアンダー(2)、ターメリック(1/2)

●イタリア風
バジル(1)、タイム(1)、オレガノ(1)

●メキシコ風
パプリカ(1)、クミン(1)、オレガノ(1/2)

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第73号 2025年9月