2025.9.25

ハーブのある暮らしを楽しむ<夏>:ビューティークラフト

Naturopathic Practitioner

前田 アンヌ


肌と心に潤いを届ける和と洋の恵みで叶えるナチュラルケア

季節の変わり目や、紫外線の影響で、揺らぎやすい春夏の肌。
ローズヒップや柿の葉、ザクロオイルなど、自然の恵みを活かしたスキンケアで、内側から澄んだ輝きを育てましょう。

ひとつあると応用が効く!
ローズヒップのグリセライト

 ローズヒップの熱に弱い成分や、脂溶性成分も、バランスよく抽出できるグリセリン基材。保存性にも優れ、アルコールに敏感な方でも安心して使える保湿素材です。一般的に、製剤全体の5〜10%程度を目安に配合します。
冷蔵庫で3〜6カ月保存可能です。

材料・作り方

(水とグリセリンを約25:75の割合で混合)でき上がり約40mL

[材 料]乾燥ローズヒップ(細かく挽いたもの)12.5g
      植物性グリセリン(純度99%)53mL、精製水21mL

[作り方]
❶消毒した瓶にローズヒップ→精製水→グリセリンの順に入れ、よく混ぜる。
❷直射日光の当たらない室温で2〜4週間、毎日振るか撹拌して抽出。
❸ガーゼなどで濾過し、遮光瓶に移して冷蔵庫で保存。

柿の葉とローズヒップのフェイシャルスプレー

 古来より止血や消炎に用いられてきた柿の葉と、肌のくすみを取りはらうローズヒップで、ビタミンCの補給と肌の炎症ケアを同時に叶えましょう。紫外線を浴びた後に、肌を優しく労わるレメディのような化粧水です。

[材料(でき上がり約100mL)]
ローズヒップ(乾燥)・大さじ1/柿の葉(乾燥)・大さじ1/精製水または芳香蒸留水・100mL

※シンプルな処方にしたい方は「精製水」、香りや微量成分を楽しみたい方は「芳香蒸留水」を

*option
ローズヒップのグリセライト・1〜5mL(保湿がほしい方に)/精油・1〜3滴(グリセライトに混ぜておく)

[作り方]
ローズヒップと柿の葉を耐熱容器に入れ、70℃に温めた水を上から注ぐ。
ふたをして30分、抽出しながら冷ます。
❸ペーパーフィルターで濾し、オプションを加えて、消毒した容器に移す。
❹冷蔵庫で保存し、1、2週間で使い切る。

ザクロオイルとローズヒップのジェルセラム

 さらりとしているのに、潤いは濃密な、肌なじみのよいジェルセラム。乾燥や紫外線ダメージを受けた肌のケアにおすすめです。

[材料(でき上がり約35mL)]
ローズヒップのグリセライト・2.5mL(約3g)/アロエベラのジェルまたは芳香蒸留水・30mL/ザクロオイル・2〜3mL (約1.8〜2.7g)

*option
キサンタンガム・0.2〜0.3g (テクスチャーの調整に)/精油・1〜2滴(グリセライトに混ぜておく)

[作り方]
アロエベラジェルにローズヒップ・グリセライトを加え、よく混ぜる。
①の材料にザクロオイルを、少しずつ加えながら、分離しないように丁寧に混ぜ合わせる。
❸必要に応じてキサンタンガムを加えてテクスチャーの調整をし、全体が均一になったら清潔な容器に移す。
❹冷蔵庫で保存し、2週間以内に使い切る。 

[ローズヒップのグリセライトの使い方(例)]
●保湿アロマバス(1回分)/ローズヒップのグリセライト大さじ1に精油5滴を加え、浴槽のお湯に混ぜる。
●ローズヒップリンス(1回分)/水1Lにクエン酸小さじ1/2、ローズヒップのグリセライト小さじ1/2、精油2滴を加える。風呂で洗い流す、またはスプレー容器に詰めて、洗い流さないリンスとしても。
●手作り石けんやリップクリームの材料にも応用可能。

ATTENTION

保管と使用上の注意
手作りのコスメは、清潔な環境で作製し、清潔な容器で作成・保管してください。安全のため、パッチテストを行い、
異常があればすぐに使用を中止しましょう。できるだけ早めに使い切ることを心がけてください。

Naturopathic Practitioner
前田 アンヌ まえだ あんぬ
認定ナチュロパスとしてオーストラリアNSW州をベースに2005年から活動。「日々の暮らしに自然療法を」をモットーに、誰にでも生活の中で活かし使える、現代自然療法を提案している。コンサルティング、企業アドバイス、イベント出演、自然療法関連の執筆も行う。
Instagram:@anne.naturopathy

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第72号 2025年6月