Elder Flower

エルダーフラワー

エルダーフラワー

学名:Sambucus nigra
英名:Elder Flower
和名:マリアアザミ、オオアザミ
科名:スイカズラ科

イギリスの田舎を歩くと、エルダー(西洋ニワトコ)の木を生け垣に使っているのを目にすることがあります。エルダーは3mを越すこともあるスイカズラの科の高木で、若い枝の芯が抜きやすいためパイプツリーの名がつけられています。

学名のサンブカという名はギリシアで用いられたトロンボーンに音色の似た楽器からつけられており、また、エルダーという言葉はアングロサクソン語のエルド(炎)から来ています。芯を抜いて中空にした木を、火を起こすのに用いたためと言われていますが、その一方で、炎という言葉はメディカルハーブとしての対象者の症状を表しているとも考えられます。つまり激しいアレルギー症状を起こし、カタル(粘膜の炎症)と呼ばれるくしゃみ、鼻水、涙目などが手のつけようがないほどひどくなった状態をこのハーブは鎮めてくれるのです。そのため、欧米では「インフルエンザの特効薬」との呼び名も広まっているほどです。

有効成分としてはルチン、クエルセチンといったバイオフラボノイド(ビタミンP)やビタミンC、それにパルミチン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸を含みます。バイオフラボノイドは植物に広く見られる淡黄色の色素成分で、エルダーフラワーやリンデン(西洋ボダイジュ)の色が示すように、これらの植物に多く含まれています(ちなみに、リンデンも幼児のインフルエンザなどに発汗作用や抗アレルギー作用を期待して用いられます)。アレルギーを起こすと毛細血管がもろくなって、それが広がってしまうため“どうにも止まらない”状況に陥るのですが、バイオフラボノイドは毛細血管を丈夫にしてアレルギーが広がるのを防ぐ働きをしてくれるのです。

また、ビタミンPはビタミンCと一緒に摂ると相乗効果を発揮します。レモンの輪切りを考えると果汁にはビタミンCが、そして房のところには淡黄色のビタミンPが多量に含まれているように、自然はビタミンPとビタミンCをすでに“ブレンド”しているのです。エルダーフラワーにも、ビタミンPの他にビタミンCが含まれているため相乗効果が期待できます。ただし、炎症によってビタミンCは消費されてしまうので、さらにビタミンCを補給するとなお良いことになりますから、エルダーフラワーとローズヒップのブレンドをお勧めしたいと思います。

さて、エルダーフラワーはマスカットの風味を持ち、大変おいしいハーブティーとしても知られていますが、このおいしさと効能を生かした飲み物がコーディアルと呼ばれる飲料です。エルダーフラワーコーディアルは花を砂糖とともに煮つめた花汁シロップで、ハチミツやレモン、ジンジャーなどで風味を整えます。最近では日本でも入手が可能になり、かぜのひき始めや花粉症の症状に効くヘルシードリンクとして広まりつつあります。冷水で割っても楽しめますが、効果を期待する場合はお湯で割って飲むことをお勧めします。メディカルハーブの基準を定めたドイツのコミッションEモノグラフでも、できるだけ熱くして飲むことを勧めています。

・安全性:「メディカルハーブ安全性ハンドブック」では、クラス1(適切な使用において安全)