Saw Palmetto

ソウパルメット

ソウパルメットは小さな低木のヤシ科の植物で、北米南部を原産として特にフロリダに 自生する。有史以来その果実は、常にネイティブアメリカンの食べ物であり薬であった。

薬としては胃痛や赤痢の症状改善と共に利尿や性的な強壮効果を得るために用いられた。 米国で 1990 年代半ば頃よりハーブ売上高 10 位以内を占めており、2000 年の主な小売店 の総売上は 43 百万ドル以上で、ハーブ全体の売上の第 6 位であった。欧州ではソウパル メット抽出物は良性前立腺肥大症  benign prostatic hyperplasia: BPH)に対する植物 療法として多く用いられ、ドイツでは頻繁に処方される植物製剤の一つである。

20 世紀 初頭にはヘルスケアプロフェッショナルは様々な前立腺の症状にソウパルメットを推奨 してきた。ソウパルメットは1906年から1916年の米国薬局方(U.S. pharmacopeia) や、1926 年から 1950 年の米国医薬品集(National Formulary)に掲載されている。20 世紀には米国薬局方註解 23 版(U.S. Dispensatory 23rd edition )に前立腺肥大化の治療薬として掲載されている。

【適応】

良性前立腺肥大症(BPH)
※独コミッション E は軽度の BPH(ステージI・II)への適応を認可している。

【作用】

内用:抗エストロゲン作用/尿流量増加/残尿量減少/排尿痛軽減/夜間尿減少/抗炎 症作用/抗滲出作用

【主な使用法】

効果を明らかにするには 4-6 週間の服用が必要である。

  • 〔果実及び適切に調製したガレノス製剤〕1-2g を服用する。
  • 〔果実〕10g を 1 日 2 回服用する。
    〔エキス〕1:1(g/ml) のエキス1-2mlを1日2回服用する。または1:2(g/ml) のエキス2-4ml を1日2回服用する。
    〔生エキス〕10:1-14:1(w/w)のエキス 160mg を 1 日 2 回、または 320mg を 1 日 1 回服用する。※約 85-95%の脂肪酸含有。
    〔乾燥エキス〕4:1(w/w) のエキス 400mg を 1 日 2 回服用する。※約 25%の脂肪酸含有。
  • 〔ハーブティー〕活性成分が親油性で水に不溶のため効果がみられない。

注:多くの臨床試験は生エキスで行われている。

【禁忌】

進行した BPH で残尿量のひどい場合は禁忌である。前立腺がんでないことが明らかな場 合に使用する。 妊娠と授乳:女性にはほとんど用いられないが、強いホルモン作用があるため、妊娠、 授乳時の女性には推奨しない。

【副作用】

稀に胃腸障害がみられ、大量摂取による下痢や、空腹時摂取による吐き気を催すことが ある。951 名を対象としたソウパルメットエキスの効能についての臨床試験において、 3%の被験者で血圧上昇が起こったが、この結果はソウパルメットの服用と関連している ということではない。ソウパルメットの安全性は医薬品であるフィナステロイドよりも 高く、勃起不全、射精障害、性欲減退といった性的な機能不全はほとんどみられない。3 年間の臨床試験でソウパルメット服用患者の 2%に胃腸障害、尿路感染、射精障害、勃起 不全が認められた。

【薬物相互作用】

相互作用が明らかに認められる医薬品はない。多くの臨床試験では、利尿薬、αブロッ カー、抗凝固薬を服用している男性を被験者から除いているため、それらとの相互作用 がないとはいえないが、これまでに報告はない。

【臨床的展望】

計 7,210 名を対象にした無作為、単盲検、プラセボ、二重盲検などの 19 の臨床試験を行 い、2 試験以外のすべての試験で BPH の症状改善効果が認められた。有効性が見られな かった 2 試験は、排尿障害の症状改善効果が認められなかったという報告と、プラセボ と比較して有意差が認められなかったという報告である。

いくつかの臨床試験では、テストステロン、ジヒデロテストステロン(DHT)、血清中の前立腺特異抗原(PSA)の値に有意な変化はなく、その他にもテストステロン、LH、FSH の値は変化していなかったとい う報告がある。BPH 患者の少なくとも 30-50%がプラセボ投与後に症状が改善したとの 報告が知られている。18 試験のメタアナリシスの結果、ソウパルメットの治療 30 日後 には泌尿器症状と尿流量が改善したことが実証され、有害作用はほとんどないことも明 らかとなった。またソウパルメット標準化製剤を用いて BPH 合併症を防ぐための長期的 効果を調べることが望まれる。BPH 患者を対象とした臨床試験のメタアナリシスにより ソウパルメットはプラセボと比較して最大尿流量と夜間尿を有意に改善したことが示された。

一方、ソウパルメットが PSA 値を下げるので前立腺がんが隠蔽されるのではとい う懸念があるが、総数 1,256 名を対象としたいくつかの大規模試験ではこのような結果 は示されなかった。最近報告された 7 つの臨床試験についてのメタアナリシスでは、3 ヶ月間の試験により、夜間尿の回数が減少し(1 晩に 0.5 回)、最大尿流量がプラセボよ り 1.5ml/sec も増加したことが示された。BPH 患者 1,809 名を対象にソウパルメットエキスである Permixon と医薬品フィナステライドを比較した 6 ヶ月間の臨床試験の結果、 両群で同様な症状改善効果(Permixon37% 、フィナステライド 39%)と最大尿流量の 改善が示された。5 試験では BPH の治療にソウパルメットとネトル(イラクサ科 Urtica dioica)を併用し、その効果を調べている。元来ソウパルメットは前立腺肥大を縮小せず に症状を改善すると考えられているが、ソウパルメット、ネトル、レモンから抽出した フラボノイド、ビタミン A の混合により前立腺肥大を収縮させる効果が認められた。同 じソウパルメットの混合製剤に関する別の臨床試験では、バイオプシー(生検)により前立 腺組織の DHT 値が有意に減少したことが示された。

2009 年 3 月発行

編集:特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会・学術調査研究委員会
提供:アメリカン・ボタニカル・カウンシル

このモノグラフは American Botanical Council により 2003 年に発行された The ABC Clinical Guide to Herbs, Mark Blumenthal (senior editor), © を翻訳したものです.
Translated from The ABC Clinical Guide to Herbs, Mark Blumenthal (senior editor), © 2003 by the American Botanical Council (www.herbalgram.org).

Courtesy of American Botanical Council.

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