2023.3.21

「つなぐ棚田遺産」オフィシャルサポーターとしてのJAMHAの取り組み

JAMHA SDGs委員会副委員長

佐藤香

美しい地域環境資源を未来へ「つなぐ棚田遺産」

棚田 白米千枚田の夕景
農林水産省「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」パンフレットより

1.千葉県鴨川市 大山千枚田

東京から一番近い棚田として知られる大山千枚田は、千葉県最高峰の愛宕山の麓に位置し、大小375枚の棚田が階段状に並んでいます。昔ながらの雨水を水源として耕作している希少な「天水田」は日本でもここだけとか。

自然環境に優しいこの耕作方法により、棚田一帯は生物多様性の宝庫になっています。春には棚田に張られた水が美しく輝き、夏には眩しい緑に、彼岸花の開花する秋には稲穂が金色に染まり、冬の夜にはライトアップされ幻想的な光景が出現します。1年を通じて多くの人々が心の安らぎを求めて訪れています。(文・写真:佐藤香)

2.大阪府河内長野市 惣代そしろの棚田

今回訪れた惣代の棚田は住宅地から奥に入った、河内長野市の「隠れ里」とも称されるのどかな風景にありました。NPO法人里山ひだまりファームの薮本氏が中心になって、つなぐ棚田遺産認定に尽力されてきたとか。

里山ひだまりファームでは、高齢化で作業ができなくなった人の田畑を、代わりに共同で管理していて、活動の一環として体験学習なども行っているとのこと。惣代の棚田は、1700年代から変わらず守り続けられているそうです。(文・写真:JAMHA地区委員 石指紀子)

棚田について

『棚田』は、いにしえの人々の英知によって農の歴史と共に中山間地に築かれた田んぼで、日本の水田総面積の1割を占め、単に食糧生産の場所にとどまらず、土砂崩れなどの防災、水資源貯蓄、自然環境保護、美しい景観形成、伝統文化継承など、様々な役割を果たしています。

つなげよう棚田

日本各地に数多くの『棚田』があり、全国つなぐ棚田遺産分布図はその一部です。維持の難しい棚田は、近年、担い手の減少や高齢化などで、荒廃の危機に面しています。価値ある『棚田』を守り、次世代に引き継ぐため、農林水産省では、棚田地域の活性化や棚田の有する多面的な機能への理解促進を目的として、優良な棚田を認定する取り組み「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」を実施、2022年2月に棚田百選として271の棚田が選定されました。

JAMHAの取り組み

JAMHAでは、生態系を大切にした自然とつながるハーブ栽培やハーバルライフの普及・啓発と、環境に対する意識向上の推進を掲げ活動をしています。そこで、この度、JAMHAは「つなぐ棚田遺産オフィシャルサポーター」となり、次のような取り組みを検討しています。

1.普及広報支援

HP・会報誌等で「つなぐ棚田遺産」の趣旨、棚田の有する多面的機能を周知

2.地域振興支援

(1)会員を中心としたイベントによる支援

  1. 農作業支援(田植えや稲刈りなどのお手伝い体験)
  2. 観光支援(SNSなどでの紹介、棚田におけるワークショップ開催)
  3. 販促支援(会員などによる農産物購入や購入先開拓)

(2)協会の専門性による支援

  1. 棚田周囲や畦の植栽による新たな特産物や観光資源化の提案と支援(雑草抑制や観賞だけでなく、土壌浸食防止や様々に利用できるハーブの植栽)
  2. 休耕田における稲以外の植栽による新たな特産物の導入支援(放任・自殖を基本とし、混植による生態系を保全する植栽)

まずはぜひお近くの棚田に足を運んでみてください。地域の自然の豊かさと地域の魅力を感じることでしょう。会員さんによる棚田レポート(書式自由)をお待ちしています。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第63号 2023年4月