2022.1.1.

ハーブ療法の母・聖ヒルデガルトの自然学(11)聖なる治療

国際ヒルデガルド会 DanielaDumann 認定 ヒルデガルトヘルスケアアドバイザー

長谷川弘江

9月17日は聖ヒルデガルトの帰天祭です。帰天とはキリスト教カトリックの言葉で信者が亡くなり天に召され、天国で永遠のいのちのうちに誕生したという考えです。

HILDEGARDIS FASTA

彼女の誕生日を知りたくてお会いした研究者の方々にお尋ねしていますが、古文書には残っていないとのお返事でした。
種村季弘著『ビンゲンのヒルデガルトの世界』に夏生まれという記述が。

また、著名人のホロスコープを解説しているサイトでは8月17日乙女座でないかと。(リンク)

聖ヒルデガルトは81歳の1179年9月17日の夜、日曜日から月曜日にかけて、ビンゲン、ルーペルツベルク修道院で亡くなりました。

「十字架のような不思議な耀く光が、部屋の上のほうに現われた」そうです。聖地ビンゲンでの帰天祭にここ数年毎年参加していました。去年は無観客動画配信になり、今年も登録制少人数とライブ配信でした。

去年の様子もアーカイブに残っています。

私が初めて参加した頃は参列者も少なく、柩をいただいて近所を回るので日本の御神輿のように地域の方に愛されているのを感じました。聖、教会博士と認められた2012年後、広場は超満員。

特にアメリカからのツアーの参加者をお見かけし、「日本でも聖ヒルデガルトは有名なのか?」とインタビューされました。

アメリカではまず戦争帰還兵のケアに聖ヒルデガルトの音楽が使われ、作曲家、プロデューサーのRichard Souther(リチャード・サウザー)がシンセサイザーを使って現代風にアレンジした“Vision:The Music of Hildegard von Bingen”が1994年のビルボードアルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞するくらいヒットしたそうです。

そして『神様のホテル 「奇跡の病院」で過ごした20年間』ビクトリア・スウィート/著(毎日新聞社2013年)スローメディスン/時間をかけて患者と向き合うことの実践で知られるアメリカラグナ・ホンダ病院の勤務医がヒルデガルト療法に出会い患者との交流に生かす。
この本が2012年カルフォルニア州ノンフィクション大賞を受賞し、ますます人気になり、興味をもたれたそうです。

ツアーの皆さんは自然療法を実践している方が多く、修道院近くのオーガニックの食事とアメニティーを用意しているホテルに宿泊しリトリートされると。

「Retreat」とは、避難・逃避という意味から日常生活から離れる時間をとり、心身をリセットし日常生活を活動的に再スタートすることだそうです。聖地巡礼はまさにそれだと。

私も帰天祭では障害がある方がサーブしてくれる修道院にできたカフェでヒルデガルトランチを食べ、ワインやハーブ・スペルト小麦製品・お守りや本を購入し、コンサートに参加し、次の日、ディジボーデンベルグの修道院跡地に電車で行きます。

現地ではツアーの方々が思い思いにヨガをしたり、歌われていたり、跡地の迷路をぐるぐる回ったり、絵を描いていらっしゃる中で安寧を祈りました。その時、「ドクター・ダイエット、ドクター・クワイエット、ドクター・メリーマン(The best doctors are Dr.Diet,Dr.Quiet,and Dr.Merryman.)」という言葉を教えてもらったのです。

古代医学のことわざで「腹八分目は医者いらず」に通じるこの言葉がヒルデガルト療法だと。フラワーエッセンス療法士の方も「『自然学』にハーブの朝露を使うとあり、通じると思った」と。

またビンゲンに戻り、ヒルデガルト・フォーラムにできたバリアフリーのホテルに宿泊し、ヒルデガルトスパイスたっぷりの食事をいただき、クナイプ式のシャワーを浴びて眠ったのです。

フォーラムの庭にもヒルデガルドガーデンがあり、お願いすると説明してくれますが、必ず「あなたは怒ってませんか?」と質問され、「セージの葉を鼻につっこみなさい」とおっしゃるので注意が必要です。セージの香りが怒りを和らげ、バラの香りが幸せな気持ちにさせてくれると『自然学』にあるからです。

ヒルデガルト修道院の本屋

ライン川に沿ってNHホテルの隣にある「川のほとり美術館」にも4元素を元にしたヒルデガルトガーデンができ、館内もヒルデガルトの生涯や遺産を拝見でき、二階の「VISION」の展示は必見です。

子供たちが中世の生活を体験できるプログラムもあります。街中には、聖ヒルデガルトの姿絵を描いたお家やヒルデガルトツーリストセンター・ヒルデガルト薬局もあり、お土産も買えます。

ヒルデガルトランチ

2019年、インフルエンザ・咳によいというヒルデガルトレメディを購入したのですが、アドバイスは「ガランガル・しょうが・シナモンのスパイスミックスを、1日小さじ1杯をハチミツやワインに入れて食べる」「食事後、フェンネルシード、もしくはタイム・ヒソップ・セージ・マロー・ミントをブレンドしたハーブティーでうがいをするように飲む」「1日にアーモンドを5、6粒食べる」でした。

この2年、日本でも出版された本に聖ヒルデガルトのことが「聖なる治療」として載っています。また、うかがえること、そして感謝と共に安寧を祈ります。

ヒルデガルトカンファレンスポスター
国際ヒルデガルド会 DanielaDumann 認定 ヒルデガルトヘルスケアアドバイザー
長谷川弘江 はせがわひろえ
ヒルデガルトフォーラム・ジャパン副代表。英国ハーブ医学校通信課程修了。ハーブ医学とヒポクラテス、ディオスコリデス、プリニウス、パラケルスス研究の大槻真一郎氏、ドイツハイルプラクティカー連盟(BDH)副会長・民族医療協会"Gyu zhi"主宰ペーター・ゲルマン氏に師事。伝承と身近な植物のルネサンスをテーマに活動中。『ヒルデガルトの宝石論―神秘の宝石療法(ヒーリング錬金術)』大槻真一郎著(コスモスライブラリー)で解説を執筆する他、著書多数。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第58号 2021年12月