2021.12.19

心と体のマネジメント:ストレスのメカニズム

いりたに内科クリニック院長

入谷栄一

ストレスを受けると、体に何が起こる?

ストレスは、冷えから胃腸障害、肌トラブル、がん、うつまで、心と体のありとあらゆる問題に関係します。ストレスがどのように病気を引き起こすのか、その体内メカニズムを理解しましょう。

ストレスに対する防御反応がやがて病気を引き起こす

私たちの体は自律神経、ホルモン(内分泌)、免疫の働きによって健康が保たれています。

ストレスの情報は、まず脳の中の大脳辺縁系という部分でキャッチされ、その情報が自律神経系と内分泌系に伝わることによって、身体に様々な影響を及ぼします。

人は強い刺激を受けて緊張すると、血圧が上がったり脈が速くなったりします。これは自律神経のうち“戦闘モード”の交感神経が優位になり、血管が収縮するためです。
同時に筋肉は硬くなり、呼吸は速く浅くなり、体温は低くなります。

また、ストレスを受けると、副腎から抗ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが多量に分泌されます。コルチゾールは体の様々な臓器に作用して、血糖値の上昇や血圧の上昇、心拍数の上昇などを引き起こします。

ストレスが不調を引き起こすメカニズム

ストレスを受けると、体はそれに対抗するために交感神経の働きを強めたり、抗ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を盛んにしたりして臨戦態勢に入ります。

この状態が続き、体が対抗しきれなくなると、心身に不調が起こることになります。

ストレスが引き金となって起こる心身症に悩む人が増えている

近年、増えている「心身症」は、心理・社会的ストレスが原因となって発症したり、症状が悪化したりする体の病気の総称で、代表的なものに過敏性腸症候群(IBS)、機能性ディスペプシア、アトピー性皮膚炎、本態性高血圧、頭痛などがあります。

これらの場合、症状を抑える治療だけでは再発を繰り返すケースが多く、病気の背景にあるストレスに対するアプローチが必要となります。

同じく心理・社会的ストレスによって発症する神経症、うつ病などの精神疾患も、その多くが体の不調を伴います。

不調が続く場合は放置せず、きちんと医療機関を受診するようにしましょう。ストレスを感じ、不定愁訴(疲労感、頭重感、めまい、イライラ、よく眠れないなど)があるなら、まず心療内科に相談するのもよい方法です。

心身症の一例

頭痛

検査をしても異常が見つからない「機能性頭痛(慢性頭痛)」の中でも、緊張型頭痛や片頭痛はストレスが引き金になりやすい。

アトピー性皮膚炎

アレルギー性の炎症で皮膚のバリア機能が低下し、かゆみを伴う湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す。

本態性高血圧症

高血圧の中で、血圧が高くなるはっきりとした原因が特定できないもの。日本人の高血圧の約90%が該当する。

機能性ディスペプシア

胃もたれやみぞおちあたりの痛み、膨満感など腹部に慢性的な症状が続くが、検査をしても明らかな原因が見られない。

過敏性腸症候群 (IBS)

腹痛や腹部不快感を伴う便通異常を繰り返す。下痢型、便秘型、下痢と便秘を交互に繰り返す交代型の 3 パターンがある。

いりたに内科クリニック院長
入谷栄一 いりたにえいいち
総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。 在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、 アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。 著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。当協会顧問。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第58号 2021年12月