2021.3.6.

アレルギーの改善に役立つハーブを学ぶ「ネトル」Nettle

監修 = 木村 正典(博士〈農学〉)

Herbs for Improvement of Allergies

「ネトル」 Nettle

【 学 名 】Urtica dioica L.
【 科 名 】イラクサ科
【使用部位】全草
【主要成分】フラボノイド(クエルセチン)、フラボノイド配糖体(ルチン)、クロロフィル、フィトステロール(β-シトステロール)、β-カロテン、ビタミンC、葉酸、ミネラル(ケイ素、カルシウム、カリウム、鉄)
【 作 用 】利尿、浄血
【 適 応 】リウマチ、花粉症、アトピーなどのアレルギー疾患、痛風

花粉症の症状緩和や浄血の働きに優れたハーブ

ヨーロッパ原産のネトルはヨーロッパでは2000年以上も前から知られ、メディカルハーブとして長く利用されてきました。ビタミン、ミネラル、フラボノイド、食物繊維、タンパク質など幅広い栄養素をバランスよく含むことから、天然のマルチビタミンとも呼ばれ、近年はサプリメントやお茶など健康食品の素材としても注目されています。ネトルには様々な効果がありますが、中でも特徴的なのは、浄血・造血作用と、花粉症などのアレルギー症状の緩和作用です。体内の老廃物の排出を促して血液をきれいにすると共に、豊富に含まれるクロロフィルや鉄が造血を助けるため、貧血をはじめとする血液のトラブル改善に役立ち、アレルギー疾患では、不快な症状に直接 働きかけるというよりも、アレルギー体質そのものに働きかけて改善に導きます。ドイツでは春先に起こるアレルギーなどの不調を予防するためにハーブティーを集中して飲む療法があり、「春季療法」と呼ばれていますが、ネトルはその時に必ず選ばれるハーブです。ネトルの摂り方の1つとして参考にしてください。

EFFECT ネトルの効果・効能

高い栄養効果で注目されているネトル。ハーブティー用のドライハーブが一般的ですが、精油、サプリメント、コーディアル(シロップ)などの形態でも販売され、育てて利用している人も増えています。いずれも継続して摂ることで、効果を実感できるでしょう。

1 花粉症の症状緩和

ヒスタミンやフラボノイドのクエルセチンの作用で、花粉症などのアレルギー性鼻炎やぜんそくの症状を緩和し、アレルギー体質を改善します。

2 貧血の予防・改善

鉄分の含有量が多く、鉄分の吸収を高めるビタミンCも豊富に含みます。クロロフィルには、浄血や造血作用が認められています。

3 動脈硬化の予防・改善

血液をきれいにすることが得意で、血管壁を強化するフラボノイドを含み、血流をスムーズにして動脈硬化を予防・改善します。

4 デトックス

利尿作用をもつフィトステロールが体内の老廃物の排出を助けます。前立腺肥大による男性の排尿障害の改善にも効果を発揮します。

5 健康維持・エイジングケア

高い抗酸化作用をもつビタミンCや各種のポリフェノールを含み、免疫力アップ、生活習慣病予防、美肌づくりなど、日々の健康維持やエイジングケアに役立ちます。

TOPICS ネトルの棘とげにアレルギー成分が !?

ネトルの名前は英語の「needle(針)」と同じ語源で、和名のイラクサも漢字では「刺草」と書きます。その名の通り、ネトルの葉や茎は細かい棘に覆われ、肌の弱い人などは触れるとピリピリとした痛みを感じる場合もあるそうです。これは棘にヒスタミンやアセチルコリンなどの発痛成分が含まれているためです。ヒスタミンは鼻づまりや目のかゆみといったアレルギー症状を引き起こす物質として知られているため、花粉症の人がネトルを摂るのはかえって逆効果では?と思われるのではないでしょうか。これは微量のヒスタミンを長期間摂取することで、体が慣れてアレルギー反応が和らぐというホメオパシーの原理の一例といわれます。
実際の花粉症の治療でも「減感作療法」といって、体内に時間をかけて微量のアレルゲン(抗体)を投与し、体をアレルゲンに慣らしてアレルギー症状を和らげる治療法がありますが、それに似ていますね。

ATTENTION! 乳幼児、妊娠中・授乳中の方、服薬中の方は、医師のアドバイスを受けてから使用してください。

ボタニカルアート = 田中 沙織

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第54号 2020年12月