2018.3.1.

普段使いでも楽しみたい! ソウパルメット 実験・体験録

生活の木 カルチャー事業本部 / シニアハーバルセラピスト

星野佑樹

ソウパルメットは、ハーバルセラピスト認定試験の範囲である、基本のメディカルハーブ 30 種に含まれ、多くの学習者にとって、必ず触れるハーブといっても過言ではありません。しかし、「植物性のカテーテル」というあだ名もある通り、期待される主な作用・適応として前立腺肥大・前立腺炎や残尿感といった、壮年期以降の男性の不調に対するものが紹介されることが多く、剤型としてカプセル剤が推奨されるといった点から、普段あえて手にする機会は少ないという方も、多いのではないでしょうか。

ルーツをさかのぼると、ソウパルメットは米国南東部を原産地とし、その先住民は泌尿器の不調にとどまらず、去痰、消炎、抗菌、強壮、鎮静、さらには栄養補給にと多岐にわたり、治療薬としても食糧としても、この果実を珍重していたことが記録に残されています。

そうした背景を考えれば、泌尿器や前立腺の不調という枠にとらわれず、日常の健康増進のためソウパルメットを取り入れることも、先人たちの実践と長い歴史に裏打ちされているといえるのではないでしょうか。

では、実際に活用するにあたり、どのような剤型が考えられるか、検討してみましょう。

市場では、先述のようにソフトカプセル状のサプリメントが大半を占めていることが目につきます。

国外、特にアメリカやヨーロッパでは、チンキやブレンドティー、パウダーなども販売されていますが、主流はやはりカプセル剤であるようです。

これはフィトステロール、脂肪酸などの重要な主要成分が脂溶性であること。そして、それらを効果的に摂取するには、フレッシュな果実のエキスを手軽に取り入れられるカプセル剤が効率的であり、また後述の独特の香り・風味を気にする必要もないからでしょう。

それ以外の剤型では、脂溶性の成分も抽出でき、内服にも向く、チンキ剤が特に適しているのではと考えます。茶剤も脂溶性成分の抽出には適さない面はありますが、手軽さやブレンドといったハーブならではの楽しみ方という意味では無視できません。

ホールタイプのソウパルメット

ますは、ハーブティーとして

カットタイプのソウパルメット。使いやすいのが特徴。

チンキを作成する前に、ソウパルメットの香り・風味を知るために、ハーブティーとして味わってみましょう。乾燥したソウパルメットの果実はハーブ専門店などで手に入りますが、固く、そのままでは抽出されにくいため、細かく砕いて使用するか、カットタイプを使うとよいでしょう。

乾燥した状態で嗅いでみると、果実が発酵したような、アルコール臭と独特の酸っぱい香りが鼻をつきます。好みは分かれそうですが、悪臭というわけではありません。

ティーバッグに入れて、ポットで抽出します。熱湯を注ぎ、5 分経っても、色はあまり出てきません。8分ほど抽出して、ようやく淡黄色になってきます。蓋を開けると、先ほどのアルコール臭を強くしたような香りが広がり、むせそうになりました。一方、味のほうは口をつけた瞬間に感じるような特徴はなく、香りに比べ印象は強くありませんが、後味として独特の酸味が口の中に残ります。

香りを気にしなければ、単品でも飲むことができますが、正直な感想としては、あえてそのものを楽しもうと思うような風味ではありません。ブレンドを考える際には、香りや風味の強いハーブが合いそうです。実際に試した、おすすめブレンド 3 種を紹介します。いずれも独特の香りと酸味が気にならず、ハーブティー初心者にも飲みやすい組み合わせです。

ソウパルメットのおすすめブレンド

活動的になりたいときに…ソウパルメット + マテ + ペパーミント
リラックスしたいときに… ソウパルメット + リンデン + パッションフラワー
栄養補給、疲労回復に…ソウパルメット + ローズヒップ + ハイビスカス

ソウパルメットチンキを作成

ソウパルメットチンキ

  • 材料: ソウパルメット 10 g、ウォッカ(Alc.40%)100mL
  • 器具: 広口ガラス瓶、遮光スポイト瓶、電子ばかり、計量スプーン
作り方:
  1. ソウパルメットを計量して、広口ガラス瓶に入れ、さらにウォッカを加える。
  2. 蓋をしっかり締めて、冷暗所で浸出させる(抽出を促すよう、1日1度、振るようにした)。
  3. 2週間程度経過したら、抽出液を濾紙やお茶パックなどで濾して、ソウパルメットを除く。
  4. 適量を、携帯用の遮光スポイト瓶に移し、完成。

完成したチンキは、濃い紅茶程度の色合いで、香りはウォッカと合わさったためか、まるでブランデーのような豊潤さがあり、酸っぱい香りは丸くなった印象です。

左から、漬け込んだばかり、2 週間抽出、2 週間抽出しハーブを取り除いたもの

チンキの作り方は上に示したように至ってシンプルです。実際の例としては、好みの飲食物に 1回 1-2ml程度のチンキを加え、服用します。まずは、カップ1杯の湯に加えてみたところ、ほんのり淡黄色がつきましたが、香りはほんの少しのアルコール臭以外にほとんどなく、後味に少し酸味を感じる程度です。ほとんどの飲食物に、香りや味を気にせず、加えられると思います。

チンキが完成してから 1週間の短い期間ですが、実際に毎日2-3回ずつ使用してみました。飲み物以外にも、例えばスープやカレーに滴下したり、サラダにドレッシングとともに垂らしたりと、シーンを選ばないため、使いやすいです。ただ、冷たい物や香りが強い物のほうが滴下した直後の多少のアルコール臭が気にならないため、より好ましいかもしれません。

私は特に泌尿器系のトラブルなどは抱えていないものの、チンキを摂取してしばらくすると、徐々に身体が温かくなり、利尿されるように感じました。

また、ハーブティーに、このチンキを加えると、普段より意識がぱっとして、活動的になったように感じたほか、講座で長時間話した後の喉の痛みが、楽になったようにも感じました。

ハーブは使用し始めてから、作用を体感できるまで数ヵ月はかかるといわれますので、今後も活用を続け、数ヵ月が過ぎたときに、どのような変化を感じられるようになるか、試してみたいと思います。

(参考文献)

1)メディカルハーブ事典,日経ナショナル ジオグラフィック社( 2014)
2)リエコ・大島・バークレー, ハーブの薬箱, 文化出版局( 2013)
3)The ABC Clinical Guide to Herbs, American Botanical Council(2003)

生活の木 カルチャー事業本部 / シニアハーバルセラピスト
星野佑樹 ほしの・ゆうき
株式会社生活の木 カルチャー事業本部。シニアハーバルセラピスト。AEAJ認定 アロマテラピーインストラクター、総合旅行業務取扱管理者。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第43号 2018年3月