2017.3.1.

日本ハーブ療法研究会 第4回学術集会 報告

日本メディカルハーブ協会学術委員

小野薫

当協会が賛助している日本ハーブ療法研究会の第4回学術集会が2016年12月18日に東京・東京有明医療大学で開催されました。今西二郎先生(明治国際医療大学)の開会挨拶の後、以下のプログラムが行われ、活発な質疑応答もあり、有意義な学術集会となりました。

会長講演:川嶋朗先生

高騰する医療費や医師・患者双方の姿勢など現代医療には多く問題点がある。一次予防が重要であるが、なかなか生活習慣の改善に至らない。現代病は食源病ともいえるが、食生活は自分でコントロールすることができ、人任せにしない姿勢が大切である。現状の問題点と我々が今後とるべき道について発表された。

特別講演I:降矢英成先生

現代医学を基盤としながら、代替療法、特に植物療法を取り入れている心療内科の開業医の立場から、臨床における取り組みと、セルフケアを行うための植物療法の講座の開講や企業に喜ばれた産業医活動でのレクチャーなどの教育における取り組みについて発表された。

特別講演II:山本百合子先生

人間は単なる物質的な「からだ」だけの存在ではなく、「いのち」「こころ」「精神」の構成要素をもち、この4つの構成要素の不調和が病気の状態を作り出す。この不調和な状態を改善の方向へ導こうとするアントロポゾフィー医学における植物療法について、アジア初の認定クリニックでのアントロポゾフィー薬剤を用いた臨床例とともに発表された。

特別講演III:入谷栄一先生

在宅診療では、患者のみならず家庭全体も診る必要がある。ハーブは医薬品にできないことを可能にする。自分の健康状態と相談してうまく使うことで、家族の健康管理にもハーブは利用できる。14年近く携わってきた在宅診療の経験から現代医療とハーブ療法を融合させた事例などについて発表された。

特別講演IV:橋口玲子先生

特に慢性疾患において「自己効力感」が高まると治療がうまくいく。ハーブや精油を使って得られた「生理的情緒的高揚感」や「達成経験」は自己効力感、自尊感情を高める。ハーブや精油がどのように回復に役立ったか具体的な症例を通して発表された。

特別講演V:今西二郎先生

アロマセラピーではプラセボをおくことが難しいため、質の高い臨床試験を行うことが困難である。工夫して試みた臨床試験で確認できた結果から、アロマセラピーは有用な補完・代替医療のひとつとなりうると期待できる。今後、認知症予防効果の検証なども予定していることが発表された。

 

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第39号 2017年3月