2020.10.11.

日本ハーブ療法研究会報告 2018年秋

日本ハーブ療法研究会

事務局 金田俊介

1. 日本ハーブ療法研究会とは

「薬」(くすり)の語源は「草を磨り潰して使うから」とか「奇(く)すしき力を発揮するから」など 諸説ありますが、漢字の成り立ちは「草で楽になる」というのがしっくりきます。「楽」は 「療」に由来するとの説もあるようですが、いずれにしても私たちの祖先は薬草を使って病気や不調に対抗していました。そして現在にいたるまで、世界中で薬草が使われてきたといえるでしょう。 日本でも伝統的に薬用植物を使用しており、漢方薬はいまだに病院でも処方されるほど ポピュラーです。 風邪を引いた時に葛根湯を服用されたことのある方 も多いのではないでしょうか。

さらに近年、日本人にはあまり使用経験のなかったいわゆる西洋ハーブも認知度が高まり、使用者も増えてきているようです。健康増進を目的とするメディカ ルハーブを利用したハーブ療法の利用も広まりつつ あり、我が国でも現代医療を補完する医療分野の1つの柱となりうる可能性を秘めています。しかし、西洋ハーブに関する主な情報は海外での研究によるも のや海外での伝統的な先人の知恵によるものがほとんどであり、我が国における科学的な根拠に基づく情報発信は数少ないのが現状です。

我が国でもハーブが一般に広く普及しつつある状況を考えると、日本でのハーブ療法に関する学術的な基盤を整備し、正しいハーブ療法の普及に寄与する必要が あると考えました。そこで発起人として医学・薬学・農学に関する研究者や医療従事者が集まり、ハーブ療法に関する学術的な研究発表、議論、情報交換の場となるべく日本ハーブ療法研 究会が2012年に設立されました。

薬草園見学会の様子(第2回、京都)

2. 現在までの主な活動

2012年の設立記念集会は日本メディカルハーブ 協会の主催により東京・飯田橋で開催され 、研究会主催として初の学術集会は2013年、東京・築地の国 立がん研究センターで開催されました。研究会は医学・薬学・農学をベースに様々な領域の研究者などが連携してハーブ療法の学術的基盤をつくり上げていくことを目指しており、初回は医学系をテーマにし、渡邊昌先生が大会長に就任されました。第2回は薬学系、第3回は農学系と続き、第4回は再び医学系、 第5回は薬学系と、毎年学術集会を開催し続けております。

京都薬科大学や東邦大学での学術集会では薬草園見学会も開催しました。開催時期によっては あまり薬草の見学には向かない時期もありますが、それでも充実したお昼休みになったのではないでしょうか。

  • 写真2:講演の様子(第5回、千葉)

日本ハーブ療法研究会 学術集会

  • 2013 第1回 開催場所:国立がん研究センター(東京・築地) 大会長:渡邊昌
  • 2014 第2回 開催場所:京都薬科大学(京都・山科) 大会長:松田久司
  • 2015 第3回 開催場所:東京農業大学(東京・世田谷) 大会長:阿部尚樹
  • 2016 第4回 開催場所:東京有明医療大学(東京・有明) 大会長:川嶋朗
  • 2017 第5回 開催場所:東邦大学(千葉・船橋) 大会長:林真一郎

学術集会以外では特別講演会(2015年、京都、明治国際医療大学との共催)や、市民公開講座の 協賛(2016年、京都)や国際シンポジウムの後援(2016年、徳島)なども行ってきました。

2018年は、12月9日(日)に東邦大学薬学部(千葉)にて「健康長寿のためのハーブ療法の臨床的意義」をテーマに、第6回の学術集会(大会長:蒲原聖可 先生)が開催されます。今回は賛助企業によるセッションが初の試みとてプログラムに組み込まれました。一般演題も複数題発表されますし、昼休憩では今年も東邦大学様のご厚意により薬草園見学会を開催する予定です。学術集会は少し専門的な発表内容にはなりますが、普段はなかなか聞けない先生方の発 表や最前線のハーブ療法研究の発表などとても濃い内容の発表が多数あります。学術集会はどなたでも参加できますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。詳細は日本ハーブ療法研究会のホームページ
(http://jsphyto.org/)をご参照ください。

最後になりましたが、設立時よりご賛助を賜ってお ります日本メディカルハーブ協会様および会員の皆様 に厚く御礼申し上げます。今後も年に1回の学術集会がベースになりますが、活動の範囲を広げていき、 信頼されるハーブ療法の学術的基盤となるべく活動を続けてまいりますの で、引き続きご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

講演の様子(第1回、東京)

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第45号 2018年9月