2017.3.1.

アーティチョークの活用法

養命酒製造(株) 商品開発センター 上級研究員

白鳥 奈緒美

アーティチョークの蕾

概要

イタリアをはじめとするヨーロッパやアメリカなどで、花托と総苞片の基部が野菜として食されています。可食部は少ないものの、揚げたり茹でたり、オイル漬けの瓶詰なども売られています。

ハーブティーには主に葉が用いられ、カフェ酸誘導体のシナリンやセスキテルペンラクトンのシナロピクリン、フラボノイドのルテオリンやその配糖体のスコリモサイド、フィトステロールのタラキサステロールなどの苦味成分が含まれています。

これらの成分に胆汁分泌の促進やコレステロール値の抑制、上腹部の膨満の解消などの作用が見られています。またシナロピクリンは皮膚細胞の光老化を抑制するとされ(1)Cynaropicrin from Cynara scolymus L.suppresses photoaging of skin by inhibiting the transcription activity of nuclear factor-kappa B.Tanaka YT, et al. Bioorg. Med. Chem. Lett.,23,4157-4161(2013).、美容目的のサプリや化粧品に葉のエキスが用いられています。

また、草姿と色鮮やかな花の造形の妙から観賞用としても栽培され、まさしく”菜食・健・美”なハーブとなっています。

ブレンドの考え方

複数の生薬から成る漢方薬の傾向として、配合される生薬の数が多いほど作用はマイルドで、幅広い効能があり、配合数が少ないほど作用はシャープで効能の幅は狭くなるということがあります。

こういった漢方的な視点からは、嗜好品としてのハーブティーには多種類のハーブをブレンド、特定の効能を狙うティーはシングル~ブレンドする種類は少なめになど、飲み分けするのも一法です。

アーティチョークリーフには苦味質が含まれているため、ティーはほろ苦い味がします。ブレンドする素材は、アーティチョークの効能を活かすもの、苦味を抑えて飲みやすくするものなどがよいでしょう。

ブレンドするハーブの例

  • スパイシーかつ甘い雰囲気のフェンネルと…フェンネルは葉と果実のどちらも使えますが、果実のほうがより甘い香りがします。消化器の不調に。
  • すっきりした香りのペパーミントと…飲み過ぎ・食べ過ぎに。ペパーミントと相性のよいリンデンをさらにブレンドしても。
  • ミルクシスルやダンディライオン根と…肝臓のケアに使われるハーブ同士のブレンドで相乗効果を。
  • ゴジベリー、ウルフベリーなどとも呼ばれるクコの実やリコリス(=甘草)と…クコには糖類のほか、抗脂肪肝作用のあるベタインが含まれ、水抽出物には血圧降下作用が認められています。リコリスは肝臓の解毒作用を強化するといわれ、甘味料として使われるグリチルリチンが含まれています。
  • ステビア、ジュニパーベリーや月桃葉と…ステビアはレバウディオサイドやステビオサイドなどの甘みを感じさせる配糖体成分を含み、糖尿病や高血圧などに用います。ジュニパーベリーや月桃葉は精油分が多く、精油の風味が苦味を抑制してくれます。ジュニパーベリーには利尿作用があり、美容によいとされる月桃葉は化粧品の素材としても使用されています。
  • シングルティーで飲む際には、ごく少量の塩を入れたり、ハチミツで甘みをつけたりすると苦味が抑えられ飲みやすくなります。

ブレンドの際は、ミルクシスルやリコリスなどの固いものは砕いて、ジュニパーベリーは軽くつぶして用いるとよいでしょう。

飲用する際の注意(2)メディカルハーブ安全性ハンドブック,東京堂出版(2001)

  • キク科植物にアレルギーがある方は注意が必要です(アーティチョーク、ミルクシスル、ダンディライオン、ステビア)。
  • 胆石・胆管障害など肝臓系の疾患のある方は使用を避けましょう(アーティチョーク、ダンディライオン根、リコリス)。
  • 妊娠・授乳中の方の使用は避けましょう(アーティチョーク、フェンネル、ミルクシスル、クコの実、リコリス、ジュニパーベリー)。

チンキ剤とは

ハーブをエタノールまたは含水エタノールで浸出して製した液状の製剤の総称です。冷浸法やパーコレーション法で作られますが、家庭で作りやすいのは冷浸法です。ハーブの有用成分が脂溶性ならば高濃度のエタノール溶液で、水溶性であれば保存性を考慮して30~40%濃度のエタノール溶液で抽出します。
飲用する場合は、30~40度の無臭蒸留酒のホワイトリカーやウォッカを使用するのが手頃です。薬局で販売されている無水エタノール(エタノール99.5%以上)は水と任意の比率で混ぜて、高エタノール濃度のチンキ剤を作れますが、飲用はできません。
リーフタイプのハーブは嵩高いので、ハーブ重量に対して10~15倍容量の抽出液を入れます。その際、抽出液の中にハーブが完全に浸っていることを確認します。直射日光の当たらない所に置いて、1日1回振り混ぜ、2週間程度で濾過して遮光タイプの保存容器に移します。濾過にはキッチンペーパーやコーヒーフィルターなど身近なものが使えます。チンキの保存期間の目安は冷暗所に置いて約1年です。

チンキ剤の使用例

  • 飲用する場合は、数滴を白湯や紅茶など好みの飲物に垂らして飲むとよいでしょう。
  • 精製水で10倍程度に薄めて化粧水やパックなどに。薄めたものは冷蔵庫で保存し、1週間を目途に早めに使い切りましょう。
  • チンキ剤をそのまま適量入れて入浴剤に、あるいは岩塩に混ぜて好みの精油で香りをつけたバスソルトにしても。

外用で使用する際の注意

肌に触れるものは必ずパッチテストをしてから使いましょう。何らかの異常が出た際はすぐに使用を中止しましょう。

 

   [ + ]

1. Cynaropicrin from Cynara scolymus L.suppresses photoaging of skin by inhibiting the transcription activity of nuclear factor-kappa B.Tanaka YT, et al. Bioorg. Med. Chem. Lett.,23,4157-4161(2013).
2. メディカルハーブ安全性ハンドブック,東京堂出版(2001)
養命酒製造(株) 商品開発センター 上級研究員
白鳥 奈緒美 しろとり・なおみ
養命酒製造(株)商品開発センター上級研究員。薬用植物の育種・栽培研究から現在は和洋のハーブを用いた商品開発に携わる。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第39号 2017年3月