2017.9.1.

クランベリーで尿トラブル改善

(株)エルハート代表取締役ハーバルセラピスト

山田伸子

訪問看護をご存知でしょうか?

病気や障害をもった方が慣れ親しんだ地域やご家庭において安心して療養生活が送れるように看護師が自宅に訪問し、医療保険や介護保険を使用して、看護ケアや療養上のアドバイスなどを提供する仕事です。病院との大きな違いは、看護師がご自宅に訪問するため、それぞれの環境やニーズに合わせてその方の生活に即したアドバイスやケアが提供できることです。

ケアを提供する上で心がけていることは、ご利用者様の生活者としての側面も忘れずに尊重することです。

できればお薬に頼りたくない、たくさんお薬を飲んでいるから、食事や生活改善などで症状を緩和する方法はないかとご相談を受けることも多くあり、そういう思いも受け止めながら在宅チームで共有し、最善の方法を共に考えています。

さて、医療や介護を提供する訪問看護の中でも最近はアロマやハーブの相談を受けることも増えてきました。ハーブの中でも在宅の現場で一番活用されているのはクランベリーではないでしょうか。

最近でも、一年近く膀胱留置カテーテルを挿入されている方のお宅で、どんな消臭剤を使用しても部屋の尿臭が消えなかったのが、クランベリーカプセルを摂取し始めて1週間程度で臭いが消え、尿の濁りや浮遊物も軽減されため、ご家族様にも喜ばれたことがありました。

クランベリーの摂取はカプセルやタブレットで

クランベリーの摂取方法ですが、100%のジュースや、ドライフルーツを食べていただいたりしています。ただ、高齢者の場合、酸味でむせ込むこともあって、効果があるとわかっていても100%のクランベリージュースは摂取するのが困難だったことがありました。そんな中ハーバルセラピスト講座の講義の中で、クランベリーにカプセルやタブレットがあることを知りました。

主治医と相談し、早速膀胱留置カテーテルを挿入されている80代の女性の方に試してみたところ、今までカテーテル交換後、3日程度で徐々に紫色尿バッグ現象が起き、尿中に浮遊物や混濁が見られていたのが、服用後は浮遊物も少なくなりカテーテルの閉塞などのトラブルも減少しました。紫色尿バッグ現象も軽減され、それまで毎週カテーテル交換をしていたのが2~3週間はもつようになりご負担も軽減されました。

その方は、高齢で寝たきりでもあるのですが、カプセルは飲み込めるので、とろみ剤を使用して、とろみとともにカプセルを飲んでいただいています。カプセルは大きいため飲みにくい方の場合には、カプセルを開けてゼリーなどに混ぜて食べていただいてもよいと思います。

膀胱留置カテーテルと訪問看護

私とクランベリーの出会いは、10年以上前になります。膀胱留置カテーテル(尿管)を入れている方の尿臭や膀胱炎予防のため、訪問診療の先生からその効果を教えていただいたことが始まりです。膀胱留置カテーテルというのは、病気で排尿が困難な人に対し膀胱へ直接管を通し、袋へ尿が排出されるようにする処置です。問題としては、かなり高い確率で膀胱炎になることです。膀胱炎は女性に多く見られる症状ですが、原因は細菌、特に大腸菌の感染とされています。症状としては、排尿痛や血尿、頻尿、尿混濁が見られます。膀胱留置カテーテルをされている方は、袋やチューブに血尿や混濁をはっきり見てとることができ、本人も痛みを訴えるので、ご本人様もご家族様もお辛いところでもあります。また、長期間にわたり、尿管を入れている方は、膀胱炎を繰り返したり、ときに管や畜尿のバッグが紫色や青色になる方もいらっしゃいます。紫色尿バッグ現象というのですが、これは、慢性の尿路感染症を起こしているため起きる現象です。慢性便秘症と尿路感染(保菌を含む)を合併したときに細菌が青い色の色素を作り出してしまうのです。尿路感染の治療として抗生剤を投与すれば、一時的に改善しますが、大半の方はすぐ再発するため、紫色尿バッグ現象が起こっても様子見となっています。また尿臭も強くなるため通常1ヵ月もつ尿バッグを毎週交換することもあります。

紫色尿バッグ現象

クランベリーの成分と期待される効果

クランベリーに多く含まれているキナ酸は、体内で馬尿酸という酸性物質になり、尿中に排泄されます。これは、アルカリ尿を正常な状態のpHに近づけるといわれています。アルカリ性の尿は、感染を起こしやすく、結石もできやすくなります。そのようなときにクランベリージュースやビタミンCが多いものを摂取するとアルカリ尿が酸性化することにより、尿路感染や尿路結石の予防となります。またアルカリ尿が緩和されることで臭いや濁りが軽減するとされています。

クランベリーの膀胱炎や尿道炎などの泌尿器系疾患を予防する効果はキナ酸とプロアントシアニジンというポリフェノールの働きによります。プロアントシアニジンはクランベリーの赤い色素で、抗菌、抗酸化、抗ウィルス作用などがあります。プロアントシアニジンには細菌の増殖を抑制し、尿路に細菌が付着するのを防ぐ効果があります。

紫色尿バッグ現象だけでいえば、ほかにも便秘の改善なども必要になってきますので、一概にカプセルのみの服用で改善されるとはいいがたい側面もあります。クランベリーは、薬ではないので過信しすぎず、必要に応じて薬を使用することも大切です。

また、尿が酸性であると石ができやすく、尿がアルカリだと膀胱炎になりやすいため、尿酸の薬を内服していたり、結石ができやすい人には注意も必要です。

クランベリーに限らずですが、持病をおもちの方やお薬を内服中の方は、サプリメントを使用する際には、主治医にご相談されるのがよいかと思います。

料理や美容にも

クランベリーの実からジャムを作ったり、ソースを作ったり、100%クランベリージュースの酸味を緩和するためゼリーにしたり、クリームチーズと混ぜたりなど、さまざまな工夫をすることで楽しんでいる方もいます。お薬ではないので、ご自身での調整や工夫ができるところが楽しいところだと思います。楽しみながら症状が緩和できるのは一石二鳥だよと介護者の方の笑顔を見るのも嬉しいことです。

クランベリーなどのハーブの相乗効果は、病気を予防するだけではありません。クランベリーに含まれるアルブチンは、シミ、ソバカスの原因となるメラニン色素の生成を防ぐ作用があるといわれ、美白効果も期待されています。そうなると、女性はいくつになっても嬉しいものです。

尿路感染予防や尿臭の改善を目的として、クランベリーを摂取していたご利用者様が寝たきりの方でも、だんだんと肌がもっちりとしてきて美肌になり、「うちの母は肌がきれい!」とおっしゃる娘さんと一緒に喜んだこともありました。

昨今は、いかに病気にならないようにするか、未病が注目されており、健康意識も高まっています。病気がありながらもご自宅でお過ごしの方は、いつも病気のことばかり考えているわけではありません。私たちと同じ生活者でもあります。介護者の方も、患者様の食事や環境の工夫を楽しみながら行っている方も大勢いらっしゃいます。ハーバルセラピストで得た知識を在宅の現場で活用することで、利用者様の生活の潤いの手助けになれるようこれからも楽しみながら仕事で生かしていきたいと思っています。

(株)エルハート代表取締役ハーバルセラピスト
山田伸子 やまだ・のぶこ
福岡県出身、2002年から訪問看護師として従事。2009年に東京都調布市に、(株)エルハートを設立し、「訪問看護ステーションエルハートナースケア」を開設。代表取締役・所長として従事。http://www.lheart.jp/

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第41号 2017年9月