2023.3.12

女性の健康 : 女性のライフステージ別ヘルスケア 成熟期(せいじゅくき)

いりたに内科クリニック院長

入谷栄一

エストロゲンの分泌量は20代でピークに達し、およそ20年間の成熟期を経て、ホルモンを分泌する卵巣の機能は少しずつ低下していきます。

更年期になると分泌量は急激に減少し、やがて閉経を迎えてエストロゲンの分泌がなくなります。こうしたエストロゲン分泌量の変化に伴って、体の状態や起こりやすい不調も変わってきます。

女性のライフステージ別ヘルスケア:成熟期(せいじゅくき)

こんな時期

10代後半から女性ホルモンの分泌量が急増し、20~30代半ばは高いレベルで安定します。卵巣機能が最も活発で、妊娠・出産に必要な体の環境が整う大切な時期ですが、同時に進学、就職、結婚、出産、子育てと、様々なライフイベントがあり、健康管理がおろそかになりがちです。

そのためストレスや不規則な生活習慣でホルモンバランスが乱れ、更年期の不定愁訴に似た症状が現れるケースも少なくありません。

また、女性生殖器系の病気にかかりやすい時期でもあります。現代は妊娠・出産が減ったことで1人の女性が経験する月経の回数が増え、月経のトラブルや子宮内膜症などの病気に悩む人も増えています。

起こりやすいトラブル

月経痛、月経前症候群(PMS)、月経不順、肌荒れ、便秘、頭痛、肩こり、貧血、性感染症、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、不妊、睡眠のトラブル、うつなど

ケアのポイント

  • ストレスコントロールのスキルを養う
  • 自分の健康は自分で守るセルフメディケーションの意識を高める
  • PMS対策として、基礎体温をつけ、ホルモンリズムを把握する
  • 月経痛やPMSの時期はあらかじめ大事な用事は避け、できるだけ体を休める。つらい場合は漢方や低用量ピルなどで対処が可能なので、がまんしないで医師に相談する
  • 強い月経痛、月経過多、不正出血などの症状がある場合は、受診して原因を確かめる
  • 2年に1回は婦人科検診を受ける
  • 体(特におなかや腰回り)を冷やさない
  • 卵巣機能の低下や骨粗鬆症、不妊などの原因となるため、無理なダイエットをしない
  • 30代後半からは、更年期を迎える心の準備をしておく
いりたに内科クリニック院長
入谷栄一 いりたにえいいち
総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。当協会顧問。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第63号 2023年4月