2021.11.25.

セントジョンズワート油,ザクロ種子油とクルクミンとの併用による創傷治癒効果

学術委員

村上志緒

セントジョンズワート(オトギリソウ科 Hypericum perforatum)とザクロ(ミソハギ科 Punica granatum)はどちらも傷を癒すとして方雨用され,伝承されてきた。そしてウコン(ショウガ科 Curcuma longa)の成分クルクミンは抗炎症作用を持ち,大いに活用されているハーブだ。

今回紹介する研究は,セントジョンズワートの浸出油とザクロ種子の圧搾油(ポメグラネイトシードオイル)を抗炎症作用のあるクルクミンと組み合わせた場合の創傷治癒の効果について,培養細胞であるHaCaT細胞(ヒト表皮角化細胞)用いて検討したものである。

HaCaT細胞のみで添加なし,セントジョンズワート油,ザクロ種子油,感冒薬によく含有されている抗炎症剤イブプロフェン,およびクルクミンを添加,そして併用による細胞毒性/増殖効果を測定した。

また,セントジョンズワート油,ザクロ種子油,クルクミン,イブプロフェンの非細胞毒性濃度を調べた後,創傷治癒特性を調べるために細胞遊走アッセイを行った。

その結果,クルクミンとセントジョンズワートの組み合わせの創傷治癒効果は大きく,また,クルクミンとザクロの種子油の組み合わせによる効果も大きく,それらはイブプロフェンとの組み合わせよりも優れていた。

これらの結果より,セントジョンズワート油,ザクロ種子油は,クルクミンやイブプロフェンの抗炎症作用を増強して,創傷治癒特性をさらに改善したことが示唆された。

ウコン, セントジョンズワート,ザクロ・・。これら及びこれらのブレンドによる創傷治癒の有効性は,炎症を抑え,敏感で傷んだ肌のケアにと美容の領域を含めて活かすことが期待されるだろう。

参考)
HaCaT 細胞:ヒト表皮角化細胞
成人男性皮膚から樹立された不死化角化細胞(ケラチノサイト)株。Human adult から特別な Ca2+濃度と温度(Temperature)条件にて樹立された。

細胞遊走・細胞浸潤アッセイ:
細胞運動性を調べる実験系。免疫応答,胚発生,血管新生,再生,腫瘍転移,創傷治癒などのプロセスおよび病理的なプロセスの多くに関与。

〔文献〕Ebru Uzunhisarcıklı, Mükerrem Betül Yerer. Role of Hypericum perforatum oil and pomegranate seed oil in wound healing: an in vitro study. Z Naturforsch C J Biosci. 2021 Sep 1. doi: 10.1515/znc-2020-0301.

(11/25/2021 報告:村上志緒)