2021.8.8.

月経困難症の痛みをフェンネルでコントロール

フェンネル(Foeniculum vulgare)は、駆風作用や去痰作用があり、食用ハーブやハーブティーとして、世界で愛用されている身近なハーブの一つだ。

フェンネルは中医学では伝統的に冷えと痛みを伴う胃腸障害や月経困難症に用いられてきた。欧米でも鼓腸や疝痛に伝統的に使用されてきたが、その鎮痙作用が月経痛を軽減するとして、現在、月経困難症の治療の代替療法としても使用されている。その主要な精油成分のトランスアネトールが鎮痙・鎮痛作用があるとされ、動物実験においてもフェンネルの精油が血中のプロスタグランジンレベルを下げることが確認されている[1]。

原発性月経困難症の治療に対するフェンネルの有効性に関してはいくつかの臨床試験が行われているが、今回、膨大なデータを対象に過去に行われた臨床試験を精査するメタアナリシスとシステマティック・レビューが発表された[2] 。このレビューでは最終的に12のランダム化対照試験(RCT)の結果を精査し、フェンネルが原発性月経困難症の痛みを軽減するのに、従来の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による薬物療法と同じくらい効果的であると結論付けている。

これら12 の臨床試験ではフェンネルのチンキ剤のカプセルや精油が用いられている。精油の経口摂取、特にトランスアネトールの長期の大量摂取は、肝毒性が高まり健康被害が起こるリスクが高いため、医師の監督下以外での使用は控えるべきであるが、長期の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)服用による胃腸症状や神経症状などの副作用のリスクを軽減するためにも、フェンネルの脂溶成分が抽出できるチンキ剤の安全な利用が確立されるのが期待される。

〔文献〕
[1] Ostad SN, et al. The effect of fennel essential oil on uterine contraction as a model for dysmenorrhea, pharmacology and toxicology study. J Ethnopharmacol. 2001 Aug;76(3):299-304. doi: 10.1016/s0378-8741(01)00249-5.

[2] Lee HW, et al. Fennel for Reducing Pain in Primary Dysmenorrhea: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Nutrients. 2020 Nov 10;12(11):3438. doi: 10.3390/nu12113438.

(8/8/2021 報告:河野加奈恵 学術委員)