2021.5.6.

がんの化学療法による悪心・嘔吐におけるジンジャーの有効性

学術委員

河野加奈恵

ジンジャー(Zingiber officinalis)は我々の生活の中で最も身近なメディカルハーブだ。制吐作用を持つジンジャーのがんの化学療法による悪心・嘔吐における有効性についての試験が近年いくつも行われている。

乳がん患者ついてジンジャーの有効性を調査した9つのランダム化比較試験を精査したシステマティック・レビューでは、ジンジャーが化学療法の急性期の吐き気を軽減する可能性が確認されている(Saneei Totmaj A et al, 2019)。

また、服用量については576人のがん患者を対象にしたプラセボ二重盲検多施設治験で確認された。この試験ではジンジャー服用量を1日0.5gと1.0gと1.5gに分けて実施され、全てのジンジャー服用量において効果が確認されたが、特に0.5gと1.0gで大きく症状が改善することが確認された(Ryan JL, 2017)。

がん患者の中でも特に進行がん患者においては、嘔吐や栄養不良により体重減少し衰弱した状態の悪液質症候群(anorexia​—cachexia subscale;以下ACS)の発生頻度が高く、QOL(生活の質)を著しく低下させ、また、治療の選択肢も狭める。この度、小さい臨床試験だが、進行がん患者を特定したジンジャーのACSにおける有効性が調査された。さまざまながんの進行がん患者15人を対象にジンジャーパウダーのカプセル(1650 mg)を14日間服用したところ、すべての患者で元々持っていた症状、特に悪心、運動障害、逆流などの症状の改善が顕著に見られ、また、胃の電気活動(gastric myoelectric activity;GMA)の乱れも9人で改善したことが確認された(Bhargava R et al, 2019)。難しいACSのコントロールの1つとして身近で安全なジンジャーを活用できるかもしれない。

Bhargava R, Chasen M, Elten M, MacDonald N. The effect of ginger (Zingiber officinale Roscoe) in patients with advanced cancer. Support Care Cancer. 2020 Jul;28(7):3279-3286. doi: 10.1007/s00520-019-05129-w. Epub 2019 Nov 19. PMID: 31745695.

Ryan JL, Heckler CE, Roscoe JA, Dakhil SR, Kirshner J, Flynn PJ, Hickok JT, Morrow GR. Ginger (Zingiber officinale) reduces acute chemotherapy-induced nausea: a URCC CCOP study of 576 patients. Support Care Cancer. 2012 Jul;20(7):1479-89. doi: 10.1007/s00520-011-1236-3. Epub 2011 Aug 5. PMID: 21818642; PMCID: PMC3361530.

Saneei Totmaj A, Emamat H, Jarrahi F, Zarrati M. The effect of ginger (Zingiber officinale) on chemotherapy-induced nausea and vomiting in breast cancer patients: A systematic literature review of randomized controlled trials. Phytother Res. 2019 Aug;33(8):1957-1965. doi: 10.1002/ptr.6377. Epub 2019 Jun 21. PMID: 31225678.

(6/5/2021 報告:河野加奈恵 学術委員)