2021.3.29

腸の健康に役立つハーブを学ぶ 踏み跡植物「オオバコ Plantain」

博士(農学)

監修=木村正典

Herbs for Intestinal Health

【 学 名 】Plantago asiatica L.
【 科 名 】オオバコ科
【使用部位】全草
【主要成分】イリドイド配糖体(アウクビン)、フラボノイド(プランタギニン、ホモプランタギニン)、β – シトステロール、アスコルビン酸、クエン酸
【 作 用 】利尿、鎮咳、去痰、健胃、整腸、便通改善、強壮、抗炎症、血糖降下
【 適 応 】咳、痰、腹痛、下痢、食欲不振、むくみ、肌荒れ、便秘、高コレステロール血症、糖尿病など

食物繊維が豊富な種子に整腸や便秘改善の効果が

オオバコは、日本を含むアジア全域で広く見られるオオバコ科の多年草です。繁殖力が旺盛で、道ばたや空き地、庭先などに自生することから、「雑草」として扱われますが、古くから民間療法に利用されてきた身近なメディカルハーブの1つです。

オオバコの葉を煎じたオオバコ茶は、咳や痰、むくみなどに効く薬草茶として知られ、漢方の生薬としては、鎮咳、去痰、利尿、整腸、瀉下(便秘の改善)などの目的で用いられます。また、若菜は和え物や天ぷらにして食べられる有用な植物でもあります。

Plantago ovata Forssk.(和名:インド オオバコ)
Plantago indica L. (旧学名:Plantago psyllium L.、和名:エダウチオオバコ)

最近では、オオバコの近縁種の種皮(ハスク)を精製した「サイリウム」が、便秘やダイエット系のサプリメントとして人気です。サイリウムの原料に用いられるオオバコは、「Plantago indica L. (旧学名:Plantago psyllium L.、和名:エダウチオオバコ)」や、「Plantago ovata Forssk.(和名:インド オオバコ)」などで、日本の在来種のオオバコとは別種です。サイリウムは食物繊維が豊富で水を含むと大きく膨らむ性質があり、便秘薬にも配合されています。ただし、過剰な摂取は下痢や腹痛などを引き起こすため、注意が必要です。

EFFECT オオバコの効果・効能

オオバコの一般的な摂り方は、採取したものを乾燥または焙煎し、お茶として飲む方法です。種子や根、葉など全草に有効成分を含んでおり、健康に役立つ様々な効果を発揮します。

01 のどの調子を整える効果

オオバコの全草に含まれるフラボノイドのプランタギ二ンには、呼吸中枢に作用して呼吸運動を緩和し、のどの調子を整え、咳を抑える働きがあります。また、気管や気管支の分泌を促進する作用により、痰がきれやすくなります。オオバコの全草から抽出されたエキスは、一般の鎮咳去痰薬の成分としても用いられています。

02 腸内環境を整える効果

サイリウムなど、種皮に多い水溶性食物繊維は、水分と一緒に摂ると腸内で大きく膨らみます。それにより大便のカサが増してやわらかくなると共に、腸が刺激されてぜん動運動が活発になり、便通が改善します。善玉菌を増やし有害物質を排出してくれるので、腸内細菌のバランスを整え、大腸がん予防にも有効です。

03 生活習慣病の予防・改善効果

サイリウムなど、種皮に含まれる食物繊維には、脂肪を吸着して排出することでコレステロール値の増加を抑えたり、食物の消化を遅らせて、急激な血糖値の増加やインシュリンの分泌を抑制したりする働きがあります。そのため、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化、肥満など生活習慣病の予防改善効果が期待できます。

TOPICS 踏まれても平気 ! たくましいオオバコ

オオバコの名前は、葉のサイズが大きいことに由来し、漢字で「大葉子」と表記します。地方によって呼び名は、オンバコ、オバコ、ギャ-ロッパ、カエロッパなどいろいろあり、子どもが花の茎の部分を引き合って遊ぶので「スモウトリグサ(相撲とり草)」とも呼ばれます。

また漢方で生薬として使われる時は、全草はシャゼンソウ(車前草)、種子はシャゼンシ(車前子)と呼ばれます。荷車や牛車、馬車の通るような道によく繁茂していたことでしょう。これは、オオバコの種子に多糖類が含まれており、水や雨に濡れるとネバネバし、それが動物や人間の足、車の車輪などに付着して運ばれ、あちこちに繁殖していることによります。葉の部分もとても丈夫で、人間に踏まれたくらいでは傷つきません。

何ともたくましいオオバコですが、踏みつけられないような場所では他の植物よりも草丈が低いため、陰になって逆に生存競争に負けてしまいます。このようにあえて人や動物がよく通る道に生え、踏みつけられながら育つ植物を「踏み跡植物」といい、オオバコはその代表格なのです。

ATTENTION!

サイリウムなどの種皮(ハスク)は腸閉塞、食道狭窄、異常な腸の狭小化には禁忌です。病気の治療で薬を服用中の人は、薬の吸収を阻害する可能性があるため、医師・薬剤師に相談してから使用してください。冷え性の人や妊娠中・授乳中の人は使用しないほうがよいとされています。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第55号 2021年3月