2021.3.6.

アレルギーのメカニズムとセルフケア アレルギーのきっかけは「皮膚」にあった !(1)

くろかわ皮フ科院長

黒川晃夫

最新の知見をとり入れて快適な毎日を

アトピー性皮膚炎、ぜんそく、アレルギー性鼻炎(花粉症)、食物アレルギーなどなんらかのアレルギーを抱えている人は日本人の2人に1人に上るといわれています。アレルギー性鼻炎の増加と低年齢化が進む一方で、一昔前は子どもの病気という印象のあった食品アレルギーやアトピー性皮膚炎を成人になってから発症するケースも少なくありません。不快な症状を少しでも減らし、快適な毎日を送るために皮膚疾患を中心にアレルギーの原因や発症の仕組みを知り、適切なセルフケアを実践していきましょう。

アレルギーによる皮膚トラブルを防ごう ポイントは正しいスキンケア

生活習慣の中でも食事は特に大切な要素。まず、食生活の見直しから始めてみましょう。

食事は内容だけでなく摂り方も重要なポイント

近年、アトピー性皮膚炎に関する常識が昔とは大きく変わってきました。その中で、保湿によるスキンケアの重要性が注目されています。最新の情報や正しいケア法を知り、皮膚トラブルの予防・改善に役立てましょう。

ライフスタイルの変化に伴ってアレルギー疾患が増えている

私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵をやっつけて排除しようとする免疫の仕組みが備わっています。アレルギーは、この免疫機能が食べ物や花粉など本来は無害なものに対しても過剰に反応してしまうことで起こる病態をさします。日本では、高度経済成長期と呼ばれる1970年頃を境に、アレルギー疾患が右肩上がりに増加してきました。その背景には、食の欧米化、大気汚染、住宅の気密化など、ライフスタイルや生活環境の変化があるとされます。また、衛生環境が整備される一方で、衛生志向が行き過ぎ、泥んこ遊びをする子どもが減るなど、いろいろなものに触れる機会が少なくなったこともアレルギー疾患の増加に拍車をかけたと考えられています。

アレルギー疾患の年齢別患者数の割合
(厚生労働省:平成 17 年度患者調査より)


数値は発症年齢ではなく、病院にかかった人を示しています。アトピー性皮膚炎やぜんそくは5歳未満の患者が目立っていますが、成人にもアレルギー患者が多く存在することが分かります。

アレルギーは免疫の暴走その真犯人は「IgE抗体」

アレルギーについてはいまだ不明なことが多いものの、研究が進む中で、徐々にそのメカニズムが分かってきました。アレルギーの発症には、白血球の免疫細胞によってつくられるの化学物質が放出され、炎症が起こることになるのです。このように、異物に対して免疫が「IgEアイジーイー抗体」と呼ばれるタンパク質がかかわっています。食品、花粉、ホコリなどアレルギーを引き起こす「アレルゲン」が体に侵入すると、免疫細胞がこれを異物として認識し、アレルゲンに対抗するIgE抗体がつくり出されます。IgE抗体は、粘膜や皮膚などに存在するマスト細胞(肥満細胞)に結合し、アレルゲンが侵入するたびに増えていきます。そしてある量を超えると、マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出され、炎症が起こることになるのです。このように、異物に対して免疫が働き、アレルギー反応を起こす状態になってしまうことを「感作かんさ」と呼んでいます。

アレルギーのきっかけは「皮膚」にあった !

最新の研究で、皮膚からアレルゲンが侵入する「経皮感作」がアレルギーのきっかけになることが明らかになりました。皮膚には水分を保持し、異物の侵入を防ぐ「バリア機能」がありますが、皮膚が乾燥していたり、引っかき傷や湿疹があったりすると、ホコリ、ダニ、花粉、食品などが皮膚から体内に侵入し、そこで感作が成立すれば、アレルギーを引き起こします。皮膚は表面積が広いため、鼻粘膜や口から吸入されるより多くの物質が侵入することになります。

アレルギーは、アトピー性皮膚炎から始まって、食物アレルギー、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎といったように次から次へと連鎖して発症することが多く、これを「アレルギーマーチ」と呼んでいます。アトピー性皮膚炎はその 端緒であり、乳児期からスキンケアをいかにしっかり行うかが、アレルギーマーチを克服する決め手になります。

アレルギーが起こるメカニズム

ボタニカルアート = 田中 沙織

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くろかわ皮フ科院長
黒川晃夫 くろかわてるお
1994年、大阪医科大学卒業。同大学附属病院にて臨床研修。市立枚方市民病院(現市立ひらかた病院)主任部長、大阪医科大学(現大阪医科薬科大学)准教授を経て、2020年4月、兵庫県尼崎市にてくろかわ皮フ科開院。大阪医科薬科大学非常勤講師を歴任。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。医学博士。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第54号 2020年12月