2021.1.21

その先の病気を予防するために今日から始める新習慣(2)病気を追い出す フィトケミカルを毎日の食卓に

いりたに内科クリニック院長

入谷栄一

食生活の見直しから始めよう

生活習慣の中でも食事は特に大切な要素。まず、食生活の見直しから始めてみましょう。

食事は内容だけでなく摂り方も重要なポイント

食生活が整うと、体調がよくなるだけで なく、無理なく適正体重に近づき精神も安定します。次のポイントを押さえましょう。

バランスよく食べる……体によいといわれるものでも同じものを大量に食べ続けるのはNG。幅広い食品を摂るようにしましょう。

規則正しく食べる……朝食を摂ったり摂らなかったり、まとめ食いをしたりといった不規則な食習慣は、消化吸収だけでなく代謝やホルモンの分泌に影響し、体調不良や肥満を招く原因となります。

よくかんでゆっくり食べる……過食を防ぎ、肥満の予防になります。唾液がよく出ることで、虫歯や口臭の予防にもつながり、栄養素の消化吸収もよくなります。

腹八分目を心がける……食前にお茶を飲む、一口食べたら箸を置くなど工夫しましょう。いつもお腹いっぱい食べないと満足できない人は、ストレスを食事で解消していないか見直しを。

野菜から食べる……野菜・海藻・きのこなどの食物繊維が豊富なおかずを先に食べることで、糖の吸収速度を穏やかにし、高血糖によるダメージや肥満を防ぎます。

夜遅い食事を避ける……寝る前の食事は肥満の原因となりやすいだけでなく、睡眠の質の低下にもつながります。できるだけ就寝3時間前には食事を終えるようにし、どうしても摂る場合は軽く済ませましょう。

外食は賢く利用する……外食や市販の弁当 類はエネルギーと塩分の過多、野菜不足 になりがち。利用する場合は単品よりも品数の多い定食を選んだり、野菜や海藻のおかずを追加したり、主食を少なめにオーダーしたりしてバランスをとりましょう。

健康的な食事の例として「昔の和食から塩分を引き、低脂肪の乳製品を加えた食事」や、「魚介類や野菜をたっぷり使う地中海食から脂質を減らした食事」があります。参考にしてみましょう。

病気を追い出す植物性成分 フィトケミカルを毎日の食卓に

植物の力をとり入れよう

ポリフェノールやリコピン、イソフラボンなどの植物性成分は「フィトケミカル」(phyto は植物、chemical は化学成分の意味)と呼ばれ、強力な抗酸化作用やがん抑制作用、免疫増強作用をもつことが知られています。人はフィトケミカルをつくり出すことはできませんが、それらを含んだ野菜や果物を食べることで植物の力をとり入れ、抗酸化力や免疫力を高めることが可能です。

フィトケミカルは主に野菜や果物の色素や香り、苦味、渋み、辛み成分に含まれています。しかも、1つの野菜や果物には複数のフィトケミカルが含まれ、緑茶を例にとっても、カテキン、カフェイン、テアニン、サポニン、クロロフィル、GABAなど、関与しているフィトケミカルは実に豊富です。これらの相乗効果で、私たちは健康に役立つ様々な働きを得ることができるのです。

フィトケミカルには色素成分が多いため、色で考えると分かりやすく、効率的に摂取できます。日頃から様々な色の食品を摂るように意識することで、自然と栄養素をまんべんなく摂ることができるでしょう。

色鮮やかな夏野菜には、ポリフェノールやカロテノイドが豊富に含まれます。

毎日の体と心の調整にメディカルハーブを役立てよう

フィトケミカルを効率よく摂ることのできる方法の1つが、メディカルハーブです。食前にハーブティーを1、2杯飲めば胃が膨れて満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを抑えることができます。さらに、ハーブのリラックス作用によってストレスからくる暴飲暴食や嗜好品の摂り過ぎを防ぐ効果も期待できます。また、塩分の摂り過ぎが気になる人は、料理にハーブの香りや味を加えれば、薄味でも満足感の高い食事になります。

生活習慣病対策としてハーブをとり入れる場合は、以下を参考にしましょう。

いりたに内科クリニック院長
入谷栄一 いりたにえいいち
総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。日本メディカルハーブ協会理事。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第48号 2019年6月