2021.1.17.

桑の葉に特有の成分があり、糖尿病予防に効果を発揮する「マルベリー」

監修 = 木村正典

「マルベリー」 Mulberry

【 学 名 】Morus alba.L
【 科 名 】クワ科
【使用部位】葉
【主要成分】デオキシノジリマイシン(DNJ)、γ-アミノ酪酸(GABA)、クロロフィル、フィトステロール(β-シトステロール)、ミネラル(鉄、カルシウム、亜鉛)
【 作 用 】α-グルコシダーゼ阻害による血糖調整
【 適 応 】糖尿病、高血糖、高コレステロール血症、肥満などの生活習慣病予防

桑の葉に特有の成分があり 糖尿病予防に効果を発揮

日本では「桑(クワ)」として知られるマルベリー。学名の Morus はクワ属、alba はラテン語で「白い」を意味し、白色の実からきています。マルベリーの葉や根は各地で古くから民間薬として用いられてきました。また、生糸の原料となる蚕のエサとして重要な植物であり、養蚕の盛んだった1930年代頃までは日本全国で多く栽培され、里山の風景をかたちづくっていました。

マルベリーの葉は健康に役立つ様々な成分を含みますが、中でも特徴的なのは、デオキシノジリマイシン(DNJ)と呼ばれる成分です。DNJは体内で二糖類を分解する酵素であるα-グルコシダーゼの働きを阻害することで余分な糖の吸収を抑え、食後の血糖値の急激な上昇を抑えます。そのため高血糖によって起こる糖尿病をはじめ、生活習慣病や肥満の予防・改善効果が期待できます。この他にもクロロフィルやフラボノイド、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど有効成分を豊富に含むマルベリーは、毎日の健康サポートに大いに活用したいメディカルハーブです。マルベリーの葉を粉末にした粉茶タイプのものは、抽出したハーブティーよりもさらに効果的に栄養分を摂取できます。

ACTIVE INGREDIENT 体調のコントロールや美容にも役立つマルベリーの葉の機能成分

デオキシノジリマイシン(DNJ)
食事で摂った糖質の分解を阻害して、食後血糖値の上昇を緩やかにします。吸収を抑制された糖は腸で善玉菌のエサになり、腸内環境を整えて便秘やお腹の ハリを改善します。

γ-アミノ酪 酸 (GABA)
アミノ酸の一種。脳で抑制性の神経伝達物質として働き、イライラやストレスを和らげます。内臓の働きを高め、血圧を下げたり中性脂肪を抑えたりする効果 も期待されています。

クワノン
フラボノイドの一種。皮膚のメラニン色素の生成を阻害して、シミやくすみの予防に役立つといわれ、化粧品にも使用されています。

フィトステロール
脂質の一種で植物の細胞膜を構成する成分。食事で摂ったコレステロールの小腸での吸収を妨げる作用があり、高コレステロール血症や肥満の予防・改善に役立ちます。

クロロフィル
葉緑体に含まれている色素成分。体内の有害物質の解毒作用や消臭・殺菌作用をもつ他、発がん性物質の吸収を阻止することにより、がんを予防する可能性が 期待されています。

ケルセチン
タマネギの皮の色素としても知 られるフラボノイドの一種。強い抗酸化作用をもつ他、脂肪の燃焼促進、アレルギー症状緩和、血糖値降下など様々な作用が報告されています。

TOPICS  マルベリーの実にも健康効果がいっぱい

多くの種類があるマルベリーのうち、日本でよく見られるのは、ヤマグワ(Morus australis Poir.)、ホワイトマルベリー(M. alba L;. マグワ、トウグワ)、ロソウ(M. alba L;. マグワの一系統)の3種類。ヤマグワは初夏に濃紫色の実をつけます。童謡の「赤とんぼ」で「山の畑の、桑の実を、小籠につんだは、まぼろしか」と歌われているように、お菓子が豊富になかった時代、桑(マルベリー)の実は子どもたちの格好のおやつでした。ラズベリーに似た甘みと酸味をもつマルベリーの実は、そのまま食べるだけでなく、ジャムやジュース、果実酒などに加工するのに最適です。

マルベリーの葉と同様、実にも健康に役立つ様々な成分が含まれています。中でも豊富なのは、体の免疫力を高め、肌の健康にも欠かせないビタミンCと、むくみの改善や高血圧の予防に役立つカリウム。さらに、色素成分であるアントシアニンが含まれ、がんや老化の原因となる活性酸素の害から体を守ってくれます。

ボタニカルアート = 田中 沙織

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第48号 2019年6月