2016.3.1.

日本ハーブ療法研究会第3回学術集会報告

日本メディカルハーブ協会学術委員

金田俊介

当協会が賛助している日本ハーブ療法研究会の第3回学術集会が2015年12月12日に東京・東京農業大学世田谷キャンパスで開催された。日本ハーブ療法研究会は医学・薬学・農学の専門家たちが分野を超えて、ハーブ療法に関する研究を活性化するための場として設けられた。第1回の学術集会は医学系ということで渡邊昌先生が国立がんセンターで、第2回は薬学系ということで松田久司先生が京都薬科大学でそれぞれ開催しており、3回目は農学系として、東京農業大学教授の阿部尚樹先生が会をオーガナイズした。

会長講演──阿部尚樹先生

ハーブやきのこは健康目的のために摂取されることがあり、何らかの疾患に罹患している場合は医薬品と一緒に摂取することも考えられる。そこで、それらに含まれる機能性成分と医薬品の間の相互作用について、主にCYPとの関係から発表された。

特別講演Ⅰ──久保田紀久枝先生

風味とは、呈味と香りが合わさって作られるものであり、香りは食品の嗜好性に大きな影響を与える。膨大な香り研究の中から、閾値以下の濃度で存在する香り(つまり、分子としては存在しているが、人間の嗅覚としては感じることのできないほどの香り)が風味に関与するということも発表された。

特別講演Ⅱ──中山勉先生

茶ポリフェノールの生理活性についてはよく知られているが、例えば抗菌作用などはどのようにして発揮されるのか。リン脂質に対するカテキン類の分子間相互作用について解析した。カテキンの幅広く非特異的な効果を支えるデータであろう。抗酸化作用についても化学構造から明らかにするなど、主に物理化学的見地からの機能性成分の解析について発表された。

特別講演Ⅲ──江口文陽先生

きのこについて、その基礎的な知識から栽培法にいたるまで、さらに機能性きのこのもつ生活習慣病に対する可能性についても疾患モデルマウスなどを用いた解析結果など、多岐にわたる発表だった。エノキを加工して使いやすく、かつ機能性を高める方法も開発され、発表された。

一般演題も含めたすべての発表においてレベルが高い研究結果が示されており、とくに機能性成分の分野ではしっかりと基礎研究のデータが揃えられてきていると感じた。今後はいかに臨床と結びつけることができるか。そして私たちの暮らしに反映することができるか。日本ハーブ療法研究会がその橋渡し的な役割になれればと思う。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第35号:2016年3月