2024.2.5

第28回全国ハーブサミット 「森のハーブとひと」水源の森からのメッセージ

ハーブ&ライフコーディネーター・メディカルハーブコーディネーター

中津川さゆ美

日程:2023年9月16日(土)・17日(日) 会場:山梨県早川町

パネルディスカッションの様子

町の96%が森林である“やまだらけのまち”山梨県南巨摩郡早川町にて、第28回全国ハーブサミットが開催されました。

2021年以来2年ぶりの開催で、南アルプスユネスコエコパークに登録される自然豊かな町へ大変多くの方がお集まりになりました。

初日は望月町議会議長、辻町長よりご挨拶ののちに基調講演・3つの講演と、パネルディスカッションがありました。

講演(敬称略)

・「樹木の精油、その力と未来」 谷田貝光克(東京大学名誉教授)
・「ハーブの視点が生む新たな森の里の価値」 木村正典(JAMHA理事・事務局長)
・「森林の新たな活用」 有山隆史(林野木材利用課)
・「山だらけの早川で暮らすということ」 辻一幸(早川町長)

医学、環境、林業など様々な側面から森林ハーブとの携わり方や未来へつないでいく術の知見やお知恵を伺うことができました。

翌日は、硯島地区のパジェロの森にて、森林内全体とシカの侵入を防ぎ多様性を保護した区域との違いを公益財団法人オイスカの方にガイドいただきました。その差は歴然で、森林は食圧により土が多く見え、茂っているのはシカが食さない数種ほどであるのに対して、保護区域には圧倒的に豊かな植生がありました。保護区域では、多様性が織りなす澄んだ空間でより濃い森林浴ができたような気がします。

伐採した杉

また、杉のダイナミックな伐採を目の前で見せていただき、林業において不要となる杉葉をその場で収穫し町民会館でチンキ作りや芳香浴を楽しみ、トトラボみずともり研究所では蒸留体験も見せていただきました。じっくり寝かせた杉の蒸留水をいただいたのですが、甘くまろやかでとても感動的でした。その後のハーブフェスティバル会場で購入したハーブの苗も自宅で育て楽しんでいます。

トトラボみずともり研究所での蒸留体験

2日間を通して、心身をリフレッシュすると共に森林というかけがえのない恵みから生まれる循環や保全の大切さ、その環境や副産物より生まれるハーブから得られる健康や楽しさという恩恵を改めて実感することができました。ありがとうございます。来年の北海道名寄大会の開催も非常に楽しみです。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第66号 2023年12月