2021.9.14

犬・猫のハーバルケア: 愛しいペットたちをハーブで健やかに

株式会社ノラ・コーポレーション代表取締役

金田俊介

Herb Conditioning ペットのハーバルケアはホリスティックな視点で

犬や猫にも私たち人間と同じように自分で自分を癒やし、治療する自然治癒力が備わっています。しかし現代に生きるペットたちは自然から引き離され、環境的なストレスや化学物質の影響など様々な要因から本来の自然治癒力が弱まり、病気や不調を起こすリスクが高くなっているといわれます。また、獣医学の進歩でペットたちの寿命が延びている一方で、老化に伴う慢性的な病気が増え、西洋医学的な薬剤で特定の臓器だけを治すことへの限界に多くの人が気づき始めています。
 
そんな現代の犬や猫に必要なのが、ホリスティックな視点からのケアです。ホリスティックには「全体に」という意味があります。例えばペットが関節炎になった場合、関節だけに問題があるわけではなく、背後には免疫機能の問題や栄養不良、胃腸障害など様々な要因が潜んでいます。こうした場合、薬で腫れや痛みなどの症状を抑えても、根本的な治療にはなりません。私たちにはペットの体全体、そして心にまで目を向けたケアが求められています。
 
心身に働きかけて全身的に体調を整えるハーバルケアは、ペットのホリスティックケアに最適な方法の1つといえます。私たち人間がハーブを使うのと同じように、食べ物や飲み物として与えたり、体の洗浄や湿布に使ったりと、ハーブの活用法は様々。まず、いつもの食餌にハーブをプラスすることから気軽に始めてみましょう。

※ハーブは必ず細かく粉末(パウダー状)にしてから与えてください。

栄養補助食 毎日の食餌にプラスして栄養バランスを整える

次の割合で混ぜ合わせます。

スピルリナ 1
〔ドライハーブ〕
フラックスシードパウダー 1
ネトル 1
ダンディライオンの葉 1
アルファルファ 1

〔使い方〕

  1. ハーブをミルにかけ、パウダー状にする。
  2. 犬は食餌の量450gに対して小さじ1。猫には小さじ1/2の割合で、通常の食餌に振りかけて毎日与えます。

POINT
ミネラルやビタミン、脂肪酸、タンパク質など、体の機能を正常に保つために欠かせない栄養素を豊富に含むハーブのブレンドです。体に負担をかけることなく効果的に栄養を補給できますが、与え過ぎには注意し、量を守って使用するようにしましょう。

自然治癒力を高めるにはバランスのよい食餌が第一

フラックスシード

【 学 名 】Linum spp.
【 科 名 】亜麻科
【使用部位】種子
【主要成分】α-リノレン酸、食物繊維、リグナン、タンパク質、ビタミンB₁、モリブデン、銅、マグネシウム、リン
【 作 用 】栄養補給、抗酸化、強壮、消化器官の鎮静、便秘の改善、血圧・血糖値・コレステロール値の改善

POINT
フラックスシードは水分を吸収して胃の中で膨らむので、与える時は必ず食餌と一緒に水をたくさん飲ませるようにしましょう。生のフラックスシードを使う場合は、フライパンで炒ってから擦って粉末にして与えてください。

ネトル

【 学 名 】Urtica dioica
【 科 名 】イラクサ科
【使用部位】葉、茎
【主要成分】タンパク質、鉄、カルシウム、リン、マグネシウム、ビタミンC、葉酸、β-カロテン、カリウム
【 作 用 】栄養補給、抗炎症、収れん、強壮、血液浄化、アレルギー症状の緩和、貧血の改善

POINT
「天然のマルチビタミン」と呼ばれるネトル。葉のティーは、ペットの被毛に栄養を与えたり、皮膚のかゆみやノミに刺された痕の症状を和らげたりする洗浄液としても使用できます。

ダンデライオンの葉

【 学 名 】Taraxacum officinale
【 科 名 】キク科
【使用部位】葉
【主要成分】タンパク質、ビタミンC、K、D、B群、鉄、マンガン、リン、カリウム、マグネシウム
【 作 用 】栄養補助、代謝機能の調整、消化機能の促進、利尿、抗炎症、肝臓機能の強壮、便秘の改善、唾液分泌の促進


POINT
和名を西洋タンポポといい、葉は古くから民間療法で利尿や強壮に用いられてきました。苦み成分には消化を促進する働きがあり、慢性消化不良や食欲不振などの症状を改善します。

アルファルファ

【 学 名 】Medicago sativa
【 科 名 】マメ科
【使用部位】葉、茎、つぼみ
【主要成分】タンパク質、食物繊維、ビタミンA、B₁、B₁₂、C、D、E、K、微量ミネラル、葉緑素、サポニン、クマリン
【 作 用 】栄養補給、抗炎症、抗酸化、利尿

POINT
家畜の飼料としても使用され、関節炎やリウマチ、痛風に最も効果の高いハーブの1つとしても知られています。弱ったペットの体重増加や高齢のペットのケアに適しています。

飼い主もペットと一緒に楽しみながらハーバルケアを

※使用の際は、ハーブは細かく粉末(パウダー状)にしてください。

ペットの状態をよく観察して必要な時は獣医に連れて行く

ハーバルケアに向いているのは、慢性的な不調の改善や病気の予防です。中毒による激しい下痢や嘔吐、出血や骨折を伴うひどいけがなど、自宅で対処できない重い症状の場合や、軽い不調でも長引く場合は、かかりつけの獣医に連れて行き、診断を仰ぐようにしましょう。

また、動物たちは時には人間以上に品質に敏感です。ペットのケアに用いるハーブは、できるだけオーガニックで質のよいものを選び、湿気や高温などで劣化しないよう管理にも気をつけましょう。そして飼い主も一緒になって楽しむ気持ちでハーバルケアを行えば、よいエネルギーは必ずペットにも伝わります。

ノミとりパウダー

ノミが嫌うハーブを合わせて駆除

次の割合で混ぜ合わせます。

〔材料〕
ケイ藻土 1
〔ドライハーブ〕
ナツシロギクの花 2
マレインの花 2
ヤロウの花、葉、茎 2
セージあるいはタイム 1

〔使い方〕

  1. ハーブをミルにかけ、パウダー状にする。
  2. 被毛に毎日振りかけて、ブラッシングする。

POINT
ケイ藻土は安全な自然素材ですが物理的刺激があるため、乾燥症や皮膚炎、過敏症の動物の皮膚には使用できません。また、目や粘膜には絶対に入らないように注意が必要です。

皮膚疾患の基本処方

体質を改善して根本的な治癒を目指す

次の割合で混ぜ合わせます。

〔ドライハーブ〕
バードックの根 2
ダンデライオンの根と葉を同量 1
レッドクローバーの花 1
〔チンキまたはティー〕
クリーバーズ

〔使い方〕
ドライハーブはミルで細かくパウダー状にし、体重18㎏に対し大さじ1の割合でそのまま与えるかフードに振りかけ、クリーバーズはチンキなら体重18kgに対し小さじ1/4(1mL)、濃いティーなら大さじ2(30mL)の割合で与えます。
さらに必須脂肪酸も皮膚疾患対策には欠かせません。この処方と一緒に、フラックスシードオイルやイブニングプリムローズオイル、ボリジの種子やクロフサスグリの種子のオイル、フィッシュオイルなどを与えます。
体重18kgに対していずれかのオイル小さじ1も加えましょう。

POINT
慢性的な皮膚疾患は、内臓の病気や免疫機能の低下、栄養不良などが原因であるケースが少なくありません。体質改善作用のあるハーブで、皮膚疾患を起こしにくい体をつくります。

慢性関節炎の基本処方

栄養価が高く、補助食としての利用も可能

次の割合で、ハーブを混ぜ合わせます。

アルファルファ 2
ダンデライオンの根 2
パセリ 1
カレンデュラ 1

〔使い方〕

  1. ハーブをミルにかけ、パウダー状にする。
  2. 体重13㎏に対し大さじ1の割合で、いつもの食餌に振りかけるか、混ぜて与えます。

POINT
関節の修復に必要な栄養素を豊富に含むハーブや、リンパの流れをよくするハーブを組み合わせました。
基本処方にさらにヤロウを1の割合で加えると、血管を強くする働きもプラスされます。

便秘の基本処方 

便秘の時やお腹が張って苦しそうな時に

次の割合で、チンキ、または濃いティーを混ぜ合わせます。

ダンデライオンの根 2
マシュマロウの根 2
オレゴングレープ 1
イエロードック 1
フェンネル 1

〔使い方〕

犬には冷ました濃いティーを小さじ1
または体重14㎏に対しチンキ1mLを1日に2〜3回

猫にはティーを小さじ1/4〜1/2
または体重7㎏に対しチンキ0.25〜0.5mLを1日に2〜3回与えます。

POINT
腸のぜん動運動を促すハーブや、体の排出力を高めるハーブを組み合わせています。
便秘は食餌のバランスが悪いと起こりやすいので、ペットが便秘になった時は、食餌内容の見直しも必要です。

痛みの基本処方

リウマチや関節炎の痛み、お腹の痛みなどに

次の割合で、ドライハーブ、またはチンキ、
または濃いティーを混ぜ合わせます。

フェンネルシード 1
マシュマロウの根 1
カモミール 1

〔使い方〕
犬にはドライハーブ大さじ1(ミルにかけ、パウダー状にする)、チンキ1mL、濃いティー大さじ2のいずれかを1日2回、少量の食餌に振りかけて与えます。
猫には犬の半量を与えます。犬の場合、体重によって使用量を加減してください。

POINT
マシュマロウは粘液を含むハーブで、粘膜に潤いを与えて組織を刺激から守り、炎症による痛みを緩和してくれます。
カモミールやフェンネルも、抗炎・鎮痛作用をもつ代表的なハーブです。

※ドライハーブの状態で振りかける場合は、細かく粉末(パウダー状)にしてから与えてください。

イラスト = SANDER STUDIO

株式会社ノラ・コーポレーション代表取締役
金田俊介 かなだしゅんすけ
当協会監事。博士(医学)、薬剤師。順天堂大学大学院修了。米国立補完代替医療センター(NCCAM)の代替医療研究所(自己免疫疾患および炎症性疾患部門、サウスカロライナ大学医学部)研究員を経て株式会社ノラ・コーポレーション入社、現在に至る。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第57号 2021年9月