2021.1.21.

その先の病気を予防するために今日から始める新習慣(1)女性は更年期がひとつの節目

いりたに内科クリニック院長

入谷栄一

健康には生まれもった体質だけでなく、生活習慣が深くかかわっています。10年、20年後にも高い QOL(生活の質)を維持するために、現在のライフスタイルを見直し、病気になりにくい体をつくりましょう。

将来も健康を維持するためには日常生活の積み重ねが大事

食事、運動、睡眠といった毎日繰り返している習慣は、体調やメンタルに影響を与え、私たちの健康に直結する大切な要素です。現在のライフスタイルを見直し、日々の健やかさを保つことは、将来の病気を防ぎ、QOL(quality of life =生活の質)の高い状態を維持して、いつまでも自分らしく生き生きと暮らしていくことにもつながります。

日頃の生活習慣が病気の発症や進行に深くかかわっているものを「生活習慣病」と呼びます。糖尿病、高血圧、脂質異常症、がん、心筋梗塞こうそく、狭心症、脳卒中、骨粗鬆症こつそしょうしょう、膝関節症、歯周病など、生活習慣病に含まれる病気は多岐にわたります。

生活習慣病のリスクを測る指標の1つとされているものに「メタボリックシンドローム」がありますが、これは内臓の周辺に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」に、高血圧、脂質異常症、高血糖などを併せもった状態をいいます。1つひとつの症状は軽度でも、複数重なることで血管の老化である動脈硬化を急速に進め、心臓病や脳卒中の発症リスクを高めてしまうことが分かっています。

生活習慣病やメタボリックシンドロームは中高年男性の病気と思われがちですが、年齢や性別を問わず注意が必要です。女性は特に、ホルモンバランスが変化する閉経後に生活習慣病が急増します。また、食事やライフスタイルの変化で、子どもにも生活習慣病予備軍が増えているのが現状です。今は問題がないから大丈夫と思い込まず、10年、20年後の健康を考えて、生活を見直しましょう。

ライフスタイルの見直しは 食事・運動・休養を3本柱に

体と心を健やかに保つには、バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠が不可欠です。日常生活ではさらに、ストレスコントロール、適正体重の維持、節酒、禁煙を心がけましょう。できることから取り組み、1つでも改善すれば、それだけ確実に健康に近づき、生活習慣病のリスクも減っていきます。

健康維持のためには、「活性酸素」を増やさないことも大切です。活性酸素は通常の呼吸でも発生し、殺菌作用などプラスの働きもしますが、増え過ぎると正常な細胞を傷つけ、病気や老化を促進します。活性酸素は紫外線、ストレス、大気汚染、アルコール、喫煙、過度な運動などで大量に発生するため、これらをできるだけ避けるようにしましょう。

加えて、年に1度は定期健診を受けて自分の健康状態を把握し、変化があればそのつど見直していくことも大切です。

女性は更年期がひとつの節目

出典:厚生労働省平成 29 年国民健康・栄養調査結果の概要

女性ホルモンのエストロゲンには血管をしなやかに保つ働きや内臓脂肪を蓄えにくくする働きがありますが、閉経以降は女性ホルモンの保護がなくなり、女性も内臓脂肪型肥満、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などのリスクが高まっていきます。この時期はライフスタイルの見直しがとりわけ重要です。

メタボリックシンドロームと関係が深いのは、お腹の臓器の周りに脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」。内臓脂肪は皮下脂肪よりも食事の節制や運動で減りやすいといわれます。

その先の病気を予防するために今日から始める新習慣(2)へ続く

いりたに内科クリニック院長
入谷栄一 いりたにえいいち
総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。日本メディカルハーブ協会理事。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第48号 2019年6月