2020.12.23

感染症予防に役立つハーブ「ティートリー」を学ぶ

当協会理事

木村正典

PICK UP HERB ! ティートリー Tea tree

【 学 名 】 Melaleuca alternifolia (Maiden & Betche) Cheel
【 科 名 】フトモモ科
【使用部位】(葉部を蒸留して得た)精油
【主要成分】 テルピネン – 4 – オール、1、8 – シネオール、αおよびγ – テルピネン
【 作 用 】抗菌、抗真菌、抗ウイルス、消炎、鎮痛
【 適 応 】白癬症・カンジダアルビカンス・黄色ブドウ球菌・大腸菌などによる感染症、口腔などの炎症

強い抗菌・抗炎症作用をもち スキンケアにも役立つハーブ

オーストラリア原産のティートリーは、先住民のアボリジナルの人々が古くから伝統医療で用いてきたことで知られています。その優れた抗菌・抗炎症作用は西欧世界でも注目され、1920年代には葉を蒸留した精油が、当時の殺菌消毒薬であった石炭酸の13倍も効果が高いことが報告されています。その後、第2次世界大戦下で普及が進み、戦後は抗生物質にその座を取って代わられましたが、近年、抗生物質に対する耐性菌が出現したことなどから再び注目を集めています。

現在では育てて楽しむ方も増えていますが、精油は蒸気吸入、塗布、湿布、洗浄などの方法で、かぜ、インフルエンザ、ヘ ルペス、膀胱炎、カンジダ症などの感染症や口腔のケアに使用されます。強い抗菌・抗真菌作用をもつ一方で、皮膚や粘膜に 対する刺激が少なく、安全性が高いこともティートリーの大きな特徴です。そのためスキンケアなど美容分野での活用も試みられています。また、主要成分の1つであるテルピネン-4-オールがウイルスの増殖を抑えるという報告もあり、抗ウイルス薬としての活用にも期待が高まっています。

USES ティートリーの利用法

ティートリーの精油はスパイシーで爽快さがありますが、香りを楽しむというよりは、効能重視の精油です。かぜの予防をはじめ、スキンケア、口の中の洗浄、空気の浄化、洗濯や食器洗い、リフレッシュなど、いろいろなシーンで利用することができます。

①うがい

コップにぬるま湯を注ぎ、ティートリー精油1〜2滴と、お好みで塩を一つまみ加えてうがいする。

※ 精油を直接お湯にたらさないこと 。

②かぜのひき始めの入浴

大さじ2杯の塩にティートリー精油5滴を混ぜてバスソルトをつくる。お風呂に入れて体を温め、早めに寝る。蒸気と共に精油が吸入され鼻づまりや喉痛にも有効。

③口臭予防

コップ1杯のぬるま湯に、ティートリー精油1〜2滴を入れて口をゆすぐ。歯周病の予防、口内炎のケアにも有効。

④にきび・水虫・傷

ジェルやクリームなど小さじ1杯あたり5滴の割合でティートリー精油を加えてよく混ぜる。コットンや綿棒につけて患部に塗る。希釈してやけどや床ずれ、日焼けのケアにも。

⑤フケ予防・頭皮ケア

シャンプーを小分けにし、50cc あたりティートリー精油を5滴加えてよくふって混ぜる。手指の腹で頭皮をやさしくマッサージするように洗う。

⑥空気の浄化(芳香浴)

ディフューザーで拡散させる、マグカップに60°Cくらいのお湯を入れて精油を数滴落とす、ティッシュに精油を数滴たらして置くなど、いろいろな方法で。

⑦洗濯・食器洗い・拭き掃除

ティートリー精油を洗濯洗剤には1回あたり5滴、食器用洗剤には 50ccあたり5滴加える。雑巾を洗うバケツに3滴、洗濯のすすぎの水に5滴たらしてもOK。

TOPICS  キャプテン・クックも愛用 !? 2つの「Tea tree」

ティートリーは英語の「Tea tree」からきていますが、茶の木とは異なります。そのため「Ti tree」と表記したり、学名の「メラレウカ」で呼んだりすることも多いようです。名前の由来は、18世紀の探検家、キャプテン・クックがオーストラリア大陸を発見した際、この葉を煎じて飲んだからといわれますが、先住民のアボリジナルが、葉をけがの治療に用いたり、お茶のように飲んだりしていたためという説もあります。

ところで、マヌカハニーで知られる「マヌカ」も英語で「Tea tree」と呼ばれています。マヌカは、 ニュージーランドではとてもよく見かける常緑低木樹。マヌカとアロマで使われるティートリーは見た目が全く違いますが、両方ともフトモモ科の植物です。マヌカが英語で「Tea tree」と呼ばれるようになったのも、キャプテン・クックが航海中のビタミン不足を補うために、マヌカを煎じて飲んだからといわれます。

ATTENTION!

◆精油は学名を確認し、天然成分100%の高品質のものを使用してください。
◆パッチテストを行ってから使用し、使用して皮膚に異常が現れた時はすぐに使用を中止して、医師に相談してください。

ボタニカルアート = 田中 沙織

当協会理事
木村正典 きむらまさのり
当協会理事。(株)グリーン・ワイズ。博士(農学)。ハーブの栽培や精油分泌組織の観察に長く携わると共に、都市での園芸の役割について研究。 著書に『有機栽培も OK! プランター菜園のすべて』(NHK 出版)など多数。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第53号 2020年9月