2020.12.27

美肌効果の高い身近なハーブ

日本メディカルハーブ協会国際情報委員

髙田直子

肌によいハーブといえば……?

肌によいハーブというと、どのようなハーブが思い浮かぶでしょうか。代表的なところでは、豊富なカロテノイドにより皮膚や粘膜の修復作用のあるカレンデュラ(Calendula officinalis)、高い消炎作用により肌荒れなどの皮膚トラブルに使われるジャーマンカモミール (Matricaria chamomilla, Matricaria recutita)、粘液質を豊富に含み保湿効果の高いウスベニアオイ(Malva sylvestris)やリンデン(Tilia europaea)、美白作用が知られているマルベリー(Morus alba)、それに「ビタミンCの爆弾 」との呼び名をもつローズヒップ (Rosa canina)あたりでしょうか。

これらのハーブはハーブティーとして飲用するだけでなく、チンキでローションを作る、浸出油、軟膏などで皮膚を保護するなど、体内、体外両面からの働きかけが期待できます。

実は美肌効果の高い身近なハーブ

肌への美意識が高いといわれる日本人女性にとって、美肌対策は世代を問わず、とても気になるところですね。ところで、海外では「日本人女性の 肌はとてもきれい」と一般的にいわれています。私たち日本人に特有な習慣や食生活などに、知らず知らずに美肌に奏功しているものがあるのでしょうか。

ハーブの臨床研究報告を調べてみると、私たち日本人にとってとても身近な食材に、実は高い美肌 効果があることが分かりました。例えば、緑茶(グリーンティー)(Camellia sinensis)は、紫外線から皮膚を保護し、女性の肌質を改善することが報告されています(①参照)。アメリカで実施された臨床研究でも、同様な研究結果が報告されました 。

緑茶が紫外線から肌を保護
ドイツで女性60名を対象に二重盲検で無作為に緑茶ポリフェノール飲料(総カテキン1,402 mg/日含有)またはプ ラセボを摂取する群に分け、12週間観察したところ、緑茶摂取群では紫外線による皮膚の紅斑の抑制や皮膚の弾力、密度、保水性、血流量や酸素濃度の増加が認められました。
J Nutr. 2011 Jun;141(6):1202-8. doi: 10.3945/ jn.110.136465. Epub 2011 Apr 27.

そして、味噌や豆腐、醤油、納豆 、油揚げなど、私たち日本人の食生活に欠かせない大豆(Glycine max)は 、 閉経女性の肌状態を改善することが報告されています(②参照)。また、近年中国で実施された臨床研究でも、大豆オリゴペプチドに は紫外線 B(UV-B)からの保護作用があることが報告されています。

大豆イソフラボンが閉経女性の肌を改善
ブラジルで閉経女性30名が毎日大豆の濃縮抽出物 100 mgを摂取したところ、6ヶ月間後には肌の表皮の厚 みや弾性繊維、コラーゲン、シワの状態、血管状態が改善
しました。
Clinics (Sao Paulo). 2009; 64(6): 505-10.

その他に美肌効果が期待できるハーブとし て、アロエベラ(Aloe vera)や朝鮮人参(Panax ginseng)、オート(Avena sativa)といったハーブにも、 保湿作用やシワ改善、肌荒れへの作用などが報告されています。

ハーブには 、まだまだ解明されていない様々な成分や作用があります。今後も引き続き、美肌に効くハーブについて世界の研究報告に注目しつつ、会員の皆様にお伝えしていきたいと思います 。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第45号 2018年9月