2020.10.9.

舞鶴草・姫委蕤の大群落 – 襟裳岬の植物エネルギーをお届けします!第2回

北海道医療大学薬学部薬用植物園・北方系生態観察園 准教授

堀田清

はじめに

今年も、6月5-6日、6月9-10日の2回、日高路の貴重な植物たちの開花状況調査のために襟裳岬を訪れました。襟裳岬の大地は6月になると、多くの植物たちはそれまで溜め込んでいたエネルギーを一気に開放するように花を咲かせ始め、枯れ葉色の大地を、しだいに華やかな大地に変えていきます。

矮性のヤマツツジがオレンジ色の大地に!

えりも町市街を通り過ぎ、襟裳岬に続く道を道なりに運転していくと、突然、オレンジ色の大地が目に飛び込んできます。なんと樹高が50センチメートルほどの矮性のヤマツツジの大群落が一斉に開花していました。今年は、思わず近寄ってじっくりそのすばらしさを堪能してきました。

時に40メートルの強風が通り抜けるためでしょうか、一部枯れている部分もあって、山の中に生きていれば3メートルほどの高さにまで成長できるのに……などと思いつつ、それでも懸命に生きるヤマツツジの生命力に大いに感動した私です。 1年でわずか1週間ほどの季節限定の素敵な瞬間です。

ヤマツツジの大群落

車をとめ、襟裳岬に向かう道路の右側のミヤコザサの大地を歩いていくと、オオバナノエンレイソウが咲 いていました。いつも大群落を形成するオオバナノエンレイソウを見ているだけに拍子抜けの感がありますが、枯れ草色の大地にポツンと咲いているオオバナノエンレイソウもまたよしです。

オオバナノエンレイソウ

ミヤコザサを越えた先には、30メートル以上の海食崖が続くすばらしい景観が待っています。そして、6月第1週には、センダイハギの大群落が海食崖の斜面を黄色に染め上げます。

さらに、海食崖の岩にへばりつくように生きているエゾイヌナズナが満開なんです。

誰も来ない場所で、波が打ち寄せる音を聞きながら植物たちを愛でることのできる大地に1人、心からの笑顔にしかなれませんね。

センダイハギ
エゾイヌナズナ

襟裳岬駐車場西側のお花畑

襟裳岬には広い駐車場がありますが、その西 側が6月上旬から9月上旬まですばらしいお花畑になります。それも、植物たちの草丈が図鑑に記載されているそれよりも1/4程度。フツウの植物たちではありません。全てが特別なのです。

海を眺めながら見るハクサンチドリ、 その林床には気がつきにくいほど草丈の小さなマイヅルソウの大群落があって、可憐な花を咲かせます。

ハクサンチドリ
マイヅルソウの大群落
マイヅルソウの花

絶えず強風にさらされている風衝地にポツンと花を咲かせるチシマキンバイも素敵ですし、草丈15センチメートルにも満たないヒメイズイの群落があり、なぜかその多くは上向きに花を咲かせています。もちろん前号で紹介したミヤマアズマギクの大群落も開花していますので、存分に旬の植物たちのすばらしさを堪能できます。

チシマキンバイ
ヒメイズイ
ミヤマアズマギク
オオハナウド
北海道医療大学薬学部薬用植物園・北方系生態観察園 准教授
堀田清 ほりた・きよし
薬学博士。北海道大学大学院薬学研 究科博士課程修了後、同大学助手、北海道医療大学薬 学部助教授、同大学薬用植物園長を歴任後、現職。北 海道医療大学発ベンチャー企業、(株)植物エネルギー を設立し、代表取締役社長を務める。2017年12月、 えりも観光大使に就任。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第45号 2018年9月

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