2021.7.17.

菜園レッスン 育てて、学んで、生活に活かす

当協会理事

木村正典

今回は、「挿し木」の原理と方法を学びます。
ミントやラベンダーなど夏の暑さにも強いハーブを、
挿し木から育ててみましょう。

挿し木のメカニズム

植物には「全能性」といって、1つの細胞から元の植物体に復元する能力があります。細胞培養できる最良の環境を作ることができれば、植物のどの部分を用いても繁殖可能です。しかし、簡単に挿し木をして殖やそうという場合は根や芽の出やすい部分を「挿し穂」として用いる必要があります。

植物は、根、茎、葉の3つの器官からできています。根も葉も茎から出ます。従って、茎を挿すことが挿し木を成功させるポイントになります。根や葉は茎の節から出やすいので、節を有効利用します。節とは葉のつけ根の部分で、この節から葉の他にも、茎(新芽、枝)や巻きひげ、花(果実)、根などが出ます。繁殖力のとても旺盛な植物は、茎の切り口からでも途中からでも根を出しますが、一般には節から根や茎が出やすいので、節を意識して挿し木をします。

挿し木の方法

1. ポリポットやセルトレーに無肥料の赤玉土をつめ、たっぷり灌水する。鉢受けなどで水がたまらないようにする。

2. 茎を10cm程度ハサミで切り、下から1/2程、葉を切り落とす。この際、節を最低でも2つ以上残す。1つが土の中に入って根を出すように、もう1つが地上に出て側枝(茎)を出すようにする。挿し穂の先端を切り、側枝が出やすいようにする。大きな葉は切って1cm程度にする。

3. 夏場はすぐに水に挿すなどして吸水させ、挿し穂がしおれないように気をつける。

4. 土に割り箸などで穴をあけて挿し穂を挿す。
5. 直射日光や風が当たらないようにして、水分の蒸散を防ぐ。鉢受けなどで水がたまらないようにしながら毎日灌水し、ポットの下から根が出てきたら植え替える。1ヵ月くらい時間のかかるものもある。

挿し木で育ててみよう

ミント 初心者向け
(挿し木成功率約90%)

清涼感のあるペパーミント、甘い香りのスペアミント、りんごの香りで雑草のように広がるアップルミント、アップルミントの斑入りのパイナップルミント、小さい葉で地上を這うように育つ香りの強いペニーロイヤルミントなど、多くの品種があります。いずれのミントも挿し木で簡単に増えますので、初心者向きのハーブです。挿し木にあたっては、葉が大きいので、1cm程度、割合にして1/4~1/5に切ることで蒸散を抑えてしおれを防ぎます。

ラベンダー 中級者向け
(挿し木成功率50%以下)

「ラベンダーの中のラベンダー」ともいうべきイングリッシュ系ラベンダーは、北海道ではよく育ちますが、梅雨と梅雨明け後の猛暑のある内地は少し苦手です。一方、穂の先端にリボンのついているのが特徴のフレンチ系ラベンダーは暑さに強く、内地でも育てやすい種類です。挿し木はミントほど簡単ではありません。茎の先端は緑色で木化していません。ちょうど木化し終えたあたりの葉のよく出ている部分を選んで挿し穂にしましょう。

当協会理事
木村正典 きむらまさのり
(株)グリーン・ワイズ。博士(農学)。ハーブの栽培や精油分泌組織の観察に長く携わると共に、都市での園芸の役割について研究。著書に『有機栽培もOK! プランター菜園のすべて』(NHK 出版)など多数。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『HERB & LIFE』 VOL.9:2015年6月